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損益計算書(P/L)の読み方と作り方

最終確認日 2026年10月31日

まず、よくある答え

損益計算書(P/L)は、1年間の売上高から費用を段階的に差し引いて、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つの利益を示す表です。例のA社は売上高6,000万円に対して、営業利益が300万円、当期純利益が160万円です(会社計算規則88条〜94条)。

財務指標の計算

貸借対照表と損益計算書の数字から、自己資本比率・流動比率・各利益率を計算式つきで出します。

指標を計算する

損益計算書の例:A社(小売業の小さな株式会社、3月決算)(1年間)

売上高60,000,000円
売上原価36,000,000円
売上総利益24,000,000円
販売費及び一般管理費21,000,000円
営業利益3,000,000円
営業外収益(受取利息・雑収入)200,000円
営業外費用(支払利息)600,000円
経常利益2,600,000円
特別利益0円
特別損失(固定資産除却損)400,000円
税引前当期純利益2,200,000円
法人税、住民税及び事業税600,000円
当期純利益1,600,000円

個人事業主の例:Bさん(雑貨のネットショップを営む青色申告の個人事業主)(青色申告決算書の1ページ目)

①売上(収入)金額9,000,000円
②期首商品棚卸高600,000円
③仕入金額5,000,000円
⑤期末商品棚卸高800,000円
⑥差引原価4,800,000円
⑦差引金額(売上総利益にあたる額)4,200,000円
経費の合計(地代家賃・荷造運賃・通信費・消耗品費・減価償却費など)1,800,000円
青色申告特別控除前の所得金額2,400,000円
青色申告特別控除額650,000円
所得金額1,750,000円

経費の内訳:地代家賃 600,000円、荷造運賃 480,000円、通信費 120,000円、消耗品費 200,000円、減価償却費 150,000円、その他の経費 250,000円

どちらも説明のための架空の数字です。青色申告決算書の丸数字は国税庁の様式の欄の番号です。

区分と5つの利益

会社計算規則88条は、損益計算書を売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失に区分するとしています。89条から94条で、その差し引きの結果を売上総損益金額、営業損益金額、経常損益金額、税引前当期純損益金額、当期純損益金額として表示すると定めていて、マイナスなら損失金額と書きます。

A社では、売上高6,000万円 − 売上原価3,600万円 = 売上総利益2,400万円、そこから販管費2,100万円を引いて営業利益300万円、営業外収益20万円を足して営業外費用60万円を引くと経常利益260万円です。特別損失40万円を引いた税引前当期純利益220万円から、法人税等60万円を引いて当期純利益160万円になります。

売上総利益とは営業利益とは経常利益とは

売上原価と販管費の違い

売上原価は、売れた商品の仕入値や製品を作った費用で、期首の在庫に当期の仕入を足し、期末の在庫を引いて計算します。販売費及び一般管理費(販管費)は、給料、家賃、広告費、減価償却費など、売るためと会社を運営するためにかかった費用です。

同じ人件費でも、工場で製品を作る人の給料は製造原価として売上原価に、営業や事務の人の給料は販管費に入ります。どちらに入れるかで売上総利益は変わりますが、営業利益は変わりません。

売上原価とは

営業外損益と特別損益

営業外収益と営業外費用は、本業以外で毎年のように生じる収益と費用で、受取利息や雑収入、借入金の支払利息などが入ります。特別利益と特別損失は、固定資産の売却や除却、災害の損失のように、その年だけ臨時に生じたものです。

経常利益は特別損益を除いた利益なので、毎年の稼ぐ力を比べるのに向いています。特別損失が大きい年は当期純利益が小さくなりますが、経常利益が保たれていれば本業と財務の力は落ちていないと読めます。

雑収入とは雑損失とは

見るべきポイント

まず売上総利益率(粗利率)を見ます。A社は40%で、中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)の小売業(法人)の29.5%より高い水準です。次に営業利益率(A社5%)で、販管費が粗利の中に収まっているかを確かめます。

前の年と比べて、売上が伸びているのに利益が減っていれば、原価か販管費のどこかが増えています。科目ごとに前年と比べると、家賃の値上がりや広告費の増加など、理由を見つけやすくなります。

作り方

総勘定元帳のうち、収益と費用の科目の1年間の合計を集めて、会社計算規則の区分の順に並べます。期末の棚卸で売上原価を確定させ、減価償却費、未払費用、貸倒引当金などの決算整理を入れてから並べるのが順番です。最後に、その期の所得にかかる法人税等を計上して当期純利益を出します。

棚卸資産とは減価償却の計算

個人事業主の損益計算書

青色申告決算書の1ページ目は、①売上(収入)金額(雑収入を含む)から、②期首商品棚卸高 + ③仕入金額 − ⑤期末商品棚卸高 = ⑥差引原価を引いて⑦差引金額を出し、⑧〜㉛の経費を差し引く形です。例のBさんは⑦差引金額が420万円、経費が180万円です。

会社と違って営業利益や経常利益の行はなく、引当金などを調整した㊸青色申告特別控除前の所得金額(Bさん240万円)から㊹青色申告特別控除額を引いて㊺所得金額を出します。事業主本人への給料は経費にならないので、法人の利益とは同じように比べられません。

青色申告決算書とは

よくある勘違い

「売上が多い会社ほどもうかっている」

→ 売上が大きくても、原価や販管費がそれ以上にかかれば利益は出ません。売上高と、5つの利益の両方を見ます。

「当期純利益が赤字なら本業も赤字だ」

→ 特別損失が大きい年は、本業の営業利益が黒字でも当期純利益が赤字になることがあります。どの段階の利益で赤字になったかを確かめます。

よくある質問

P/Lはどの期間の書類ですか。

事業年度の1年間(個人事業主は1月1日から12月31日)の合計です。貸借対照表が決算日1日の残高なのと対になっています。

販管費の内訳はどこで分かりますか。

会社では販売費及び一般管理費の明細を別に作ることが多く、法人税の申告書に添付する勘定科目内訳明細書や、会計ソフトの科目別の集計で確かめられます。

自分の費用をどの区分に入れるか迷ったら。

費用が本業のためのものか、臨時のものかで区分を考え、判断に迷う取引は税理士または税務署に相談します。

法人税等はどの時点の金額ですか。

その期の所得にかかる法人税・住民税・事業税の額で、決算日にはまだ払っていない分も含めて計上します。払っていない分は貸借対照表の未払法人税等になります。

月ごとの損益も分かりますか。

決算書は1年分の合計ですが、会計ソフトでは月次の試算表で月ごとの損益を出せます。季節で売上が変わる事業は、月次で前年同月と比べると変化に早く気づけます。

出典(確認日)

一般的な情報とセルフチェックの提供です(税理士法52条により、個別の税務相談や申告書の作成はお受けしていません)。個別の判断は税理士または税務署にご相談ください。