棚卸資産とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
棚卸資産は、期末に売れ残っている商品や製品、使っていない材料などの在庫を記録する勘定科目です(資産)。個人事業主と法人のどちらも使い、その額は売上原価の計算にそのまま影響します。
棚卸資産に入るもの
商品、製品、半製品、仕掛品、原材料が代表的です。国税庁の青色申告決算書の書き方は、消耗品費から除いた未使用の消耗品も棚卸資産に含めるとしています。法人の貸借対照表では、商品や製品などの科目に分けて表示することが多くあります。
評価方法と届出
評価方法を届け出ていない場合、法人も個人事業主も、最終仕入原価法による原価法で評価します(法人税法施行令31条1項、所得税法施行令102条1項)。期末に一番近い時期に仕入れたときの単価で、在庫全体を評価する方法です。
ほかの方法(総平均法、先入先出法など)を使うには届出が必要です。期限は、法人は設立第1期の確定申告書の提出期限、個人事業主は開業した年の確定申告期限です。時価が下がった在庫を時価で評価する低価法は、個人事業主では青色申告の人だけが選べます(所得税法施行令99条1項)。
期末の棚卸と仕訳例
期末日に在庫の数を数え、品目ごとに単価を掛けて棚卸表を作ります。数えた結果を帳簿に反映するのが決算での振替です。
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 前期末の在庫30万円を期首に振り替えた | 期首商品棚卸高 300,000円 | 商品 300,000円 | 対象外 |
| 今期末の在庫45万円を計上した | 商品 450,000円 | 期末商品棚卸高 450,000円 | 対象外 |
| 破損した商品2万円を廃棄した | 棚卸減耗損 20,000円 | 商品 20,000円 | 対象外 |
消費税と在庫
商品の消費税は仕入れたときに控除するので、在庫の振替や廃棄では消費税の行は出ません。期末に残った在庫について、控除した消費税を戻す必要もありません。
関連する科目
- 売上原価:期首在庫+仕入−期末在庫
- 仕入高:当期に仕入れた額
- 貯蔵品:未使用の切手や消耗品などを分けるときの科目
よくある勘違い
「在庫は売れるまで記帳しなくてよい」
→ 期末に残った在庫を棚卸資産として計上しないと、売上原価が多すぎて利益が小さく出ます。毎期末に数えて記帳します。
「評価方法は毎年好きに選べる」
→ 届け出た方法を続けて使います。変えるには変更の承認申請が必要で、届出がなければ最終仕入原価法です。
よくある質問
在庫の数え忘れに後で気づきました。
期末の在庫の額が変わると利益も変わるので、申告前なら決算を直します。申告後なら修正申告や更正の請求が必要になることがあります。
ネットショップの在庫も数える必要がありますか。
倉庫や委託先に預けている在庫も自分の棚卸資産です。預け先の在庫表で数量を確かめて含めます。
売れ残って価値が下がった商品はどうしますか。
低価法を選んでいれば時価で評価できます。原価法のままでも、破損や型崩れなどで売れなくなったものは評価損を計上できる場合があります。
見本品や展示品も棚卸資産ですか。
販売する予定のものなら棚卸資産です。販売せずに配る見本品は、配った時点で広告宣伝費などにします。
出典(確認日)
- 国税庁 令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方(2026-10-31)
- e-Gov法令検索 法人税法施行令(28条・29条・31条・69条)(2026-10-31)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(99条・100条・102条・145条)(2026-10-31)
- 国税庁 C1-25 棚卸資産の評価方法の届出(法人)(2026-10-31)
- 国税庁 A1-17 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続(2026-10-31)