月60時間を超える残業:割増50%と代替休暇、36協定への書き方
最終確認日 2026年10月17日
1か月の時間外労働が60時間を超えた場合、超えた時間には50%以上の割増賃金を払います(労働基準法37条1項ただし書)。中小企業の猶予は令和5年(2023年)3月31日で終わり、いまは企業の規模にかかわらず適用されます。労使協定で、50%への引上げ分の代わりに有給の代替休暇を与えることもできます。
残業時間の上限チェック(12か月)
毎月の時間外労働と休日労働を入れると、月45時間・年360時間、月100時間未満、2〜6か月平均80時間、年720時間、年6回の上限に当たる月と、来月あと何時間まで働けるかを表示します。
上限を確認する60時間超50%のルール
37条1項は、時間外労働に25%以上、休日労働に35%以上(割増賃金令)の割増を求め、ただし書で、延長した時間が1か月60時間を超えた場合はその超えた時間に50%以上を求めています。中小事業主に適用を猶予していた附則138条は削除され、令和5年4月1日から中小企業にも適用されています。
60時間には法定休日の労働は含めません。法定休日以外の所定休日の労働は、週40時間を超えれば時間外労働として60時間に数えます。
出典:e-Gov法令検索 労働基準法(第32条・第36条・第37条・第60条・第106条・第109条・第119条・附則第139条〜第143条)
計算の例
1時間あたりの賃金が2,000円の人が、ある月に時間外労働を70時間した場合、60時間までは2,000円×1.25×60時間で150,000円、60時間を超えた10時間は2,000円×1.5×10時間で30,000円、合計180,000円です。
残業時間の上限チェックで、この月を時間外70時間と入れると、月45時間を超えた月として特別条項の回数に数えられます。割増の計算とは別に、上限の管理にも入る月です。
代替休暇
過半数組合又は過半数代表者と労使協定を結べば、60時間を超えた分の引上げ分(50%と25%の差)の支払に代えて、有給の代替休暇を与えることができます(37条3項)。協定では、代替休暇の時間数の算定方法、1日又は半日の単位、60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内の付与期間を定めます(施行規則19条の2)。
代替休暇を取っても、25%部分の割増賃金の支払は残ります。取得するかどうかは労働者が決めます。
36協定届への書き方
様式第9号の2の特別条項の欄には、限度時間を超えた労働に係る割増賃金率を書きます。1か月の欄は、たとえば「35%(月60時間を超える時間外労働は50%)」のように、60時間超の率を書き添えると読み違えが減ります。36協定届 メーカーは、1か月の割増率が50%未満のとき、この一文を自動で書き添えます。
深夜・休日との重なり
深夜(午後10時から午前5時)の割増25%は37条4項が定め、時間外と重なれば加算します。60時間を超えた時間外が深夜に及ぶと、50%+25%で75%以上です。法定休日の労働は35%で、深夜に及べば60%以上になり、60時間の計算には入りません。
就業規則や賃金規程の割増率の定めも、60時間超50%に合わせておくのが一般的です。
出典:e-Gov法令検索 労働基準法(第32条・第36条・第37条・第60条・第106条・第109条・第119条・附則第139条〜第143条)
給与計算で確かめる項目
- 月の時間外労働のうち60時間を超えた時間を、法定休日の労働と分けて集計しているか。
- 60時間超の部分に50%以上を適用しているか。
- 代替休暇を使うなら、労使協定を結んでいるか。
- 賃金規程の割増率が法改正に合わせて更新されているか。
よくある質問
中小企業も月60時間超は50%ですか。
はい。2023年4月1日から中小企業にも適用されています。
固定残業代に60時間超の分を含められますか。
固定残業代を払っていても、実際の時間外が60時間を超えた分は50%以上で計算し、不足があれば差額を払います。
代替休暇は年次有給休暇で代えられますか。
代えられません。代替休暇は年次有給休暇とは別の休暇として与えます。