残業代は1分単位で計算する(端数処理のルール)
最終確認日 2026年10月15日
労働時間は1分単位で把握し、その分の賃金を払うのが原則です。1日ごとに15分や30分に満たない残業を切り捨てることは、賃金の全額払いに反するとされています。認められているのは、1か月の時間外・休日・深夜それぞれの合計の1時間未満について、30分未満を切り捨て30分以上を1時間に切り上げる処理などです。
固定残業代 設計ツール
今月の時間外・休日・深夜の合計を時間:分で入れると、通達どおりの端数処理をしたうえで残業代を計算します。
端数処理して計算する日ごとの切り捨てができない理由
賃金は全額を払わなければならず(労働基準法24条)、時間外労働には割増賃金を払わなければなりません(37条)。毎日の残業から15分未満を切り捨てると、実際に働いた時間の賃金の一部を払わないことになります。
厚生労働省も、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を払わないことは法違反になると案内しています。
通達で認められている端数処理
これらは、常に労働者に不利になるわけではなく事務の簡便のためのものとして、昭和63年3月14日付の通達(基発150号)で示されています。一部の資料では昭和62年と表記されていますが、内容は同じです。
- 1か月の時間外・休日・深夜それぞれの合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる
- 1時間当たりの賃金額と割増賃金額の円未満を、50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げにする
- 1か月の時間外・休日・深夜それぞれの割増賃金の総額の円未満を、同じく50銭基準で処理する
計算の例
ある月の時間外労働が日々の合計で20時間29分なら20時間、20時間30分なら21時間として計算できます。時間単価が1,327.43円なら、50銭基準で1,327円とし、20時間×1.25で33,175円です。
端数処理をしないで1分単位のまま計算しても構いません。どの方法をとるかは就業規則や賃金規程に書いておきます。
遅刻・早退の控除との違い
5分の遅刻を30分の遅刻として控除するような処理は、働かなかった時間を超える控除になるため、全額払いの原則に反するとされています。就業規則に減給の制裁として定め、労働基準法91条の範囲内で行う場合は別の扱いです。
月の賃金の支払額についても、100円未満の端数を50円基準で処理する方法や、1,000円未満を翌月に繰り越す方法が、就業規則に定めて行う前提で認められています。
1分単位で記録するための準備
タイムカードや勤怠システムの打刻を、始業と終業の実際の時刻で残します。残業の申請制をとる場合も、申請のない残業を黙認していれば労働時間にあたるため、実態と記録がずれないよう運用します。
よくある質問
タイムカードの打刻と実際の作業開始に差がある場合は。
労働時間は使用者の指揮命令下にある時間で判断します。始業前の準備や終業後の片付けが義務づけられていれば労働時間に含まれます。
15分単位で切り上げるのは問題ありますか。
労働者に有利な方向の切り上げは問題になりません。切り捨てだけが問題です。
給与ソフトの設定はどうすればよいですか。
残業の集計単位を1分にするか、月合計で30分基準の端数処理にするかを決めて設定します。日ごとの丸めの設定がある場合は、切り捨てになっていないか確認します。
出典(確認日)
- 愛知労働局 賃金計算の端数の取扱い(昭和63年3月14日 基発第150号より)(2026-10-15)
- 厚生労働省 リーフレット「労働時間は毎日適正に把握し、それに基づいて賃金を計算し、支払うことが必要です」(2026-10-15)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第32条、第36条、第37条)(2026-10-15)