固定残業代(みなし残業代)とは(会社側の基礎知識)
最終確認日 2026年10月15日
固定残業代は、一定時間分の時間外労働などの割増賃金を、実際の残業の有無にかかわらず毎月定額で払う仕組みです。通常の賃金と区別できること、何時間分かが分かること、その時間を超えた分を別に払うことが前提です。求人票の「固定残業代なし」は、残業した分を実際の時間で計算して払う給与体系という意味です。
固定残業代 設計ツール
月給と時間数を入れると、基本給と固定残業代の内訳を割増賃金のルールどおりに逆算し、求人票と労働条件通知書の文を作ります。
計算する仕組みと「固定残業代なし」の意味
固定残業代は、基本給に含める形と、固定残業手当など別の手当として払う形があります。どちらの形でも、決めた時間までの残業については定額で払い、その時間を超えた分は通常どおり計算して上乗せします。
求人票で「固定残業代なし」と書かれている場合は、定額の残業代を含めず、残業した時間に応じて割増賃金を払う形です。月給の額だけを比べると固定残業代ありの求人のほうが高く見えることがあるため、内訳を明示することが求められています。
出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件 Q&A「固定残業代を支払うこととすれば、残業や休日勤務をさせても別途に残業代を支払わなくてよいでしょうか?」
有効とされるための考え方
1点目と2点目は医療法人康心会事件(最高裁平成29年7月7日判決)と同年の通達、3点目は日本ケミカル事件(最高裁平成30年7月19日判決)で示された考え方として、厚生労働省のQ&Aで紹介されています。条件を満たさないと、固定残業代が残業代として扱われず、未払いの問題になることがあります。
- 通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分(固定残業代)を判別できること
- 固定残業代の額が、労働基準法37条の方法で計算した割増賃金の額を下回るときは、差額を払うこと
- 固定残業代が残業の対価として払われていることが、契約書の記載、会社の説明、実際の勤務状況から分かること
出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件 Q&A「固定残業代を支払うこととすれば、残業や休日勤務をさせても別途に残業代を支払わなくてよいでしょうか?」
求人票に書くこと
職業安定法5条の3と指針にもとづき、募集の段階でこの3点をすべて示すよう求められています。例:「月給25万円(固定残業代3万3,186円(時間外労働20時間分)を含む。20時間を超える分は別途支給)」。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代の時間数と金額(計算方法)
- その時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金を追加で払うこと
出典:厚生労働省 リーフレット「固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに次の①~③の内容すべてを明示してください」
労働条件通知書と給与明細
雇い入れるときの労働条件通知書にも、基本給と固定残業代の額、何時間分か、超過分を別に払うことを書きます。就業規則や賃金規程にも同じ定めを置いておくと、説明と運用がそろいます。
給与明細では固定残業手当を独立した行にし、超過分の残業代は別の行で払うと、本人にも内訳が分かりやすくなります。
よくある質問
残業がほとんどない月も固定残業代は払いますか。
払います。実際の残業が少なくても定額を払うのが固定残業代の仕組みで、残業が少ない月に減らすことはできません。
固定残業代に深夜や休日の分も含められますか。
含めることはできますが、どの労働の何時間分かを明示し、それぞれの割増率で計算した額を下回らないようにします。分かりやすさのため、時間外労働だけを対象にする例が多いです。
いまの給与を固定残業代込みに組み替えてもよいですか。
総額が同じでも基本給が下がる変更は、労働条件の不利益変更にあたるため、本人の合意などが必要です。