簡易課税とは:売上の消費税にみなし仕入率を掛けて計算する方法
最終確認日 2026年10月15日
簡易課税は、実際の仕入れや経費の消費税を集計する代わりに、売上の消費税額に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けた額を仕入れの消費税とみなして納める税額を出す方法です。基準期間(個人は2年前)の課税売上高が5,000万円以下なら、届出書を出して選べます。令和9年分から使うなら原則として令和8年12月31日までに届け出ますが、令和8年分に2割特例を使った人は、令和9年分の申告期限まで出せます。
消費税 4方式 比較ツール(本則・簡易・2割・3割)
売上と経費、事業区分を入れると、簡易課税(75%ルールを含む)と本則課税、2割特例・3割特例の税額を並べて比べられます。
税額を比べる簡易課税のしくみ
消費税の原則の計算(本則課税、一般課税)は、売上で預かった消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引きます。経費ごとにインボイスを保存し、課税仕入れかどうかを区分する手間がかかります。
簡易課税では、差し引く額を「売上の消費税額 × みなし仕入率」で決めます。実際にいくら経費を使ったかは計算に使わないため、帳簿は売上の区分が中心になり、仕入れ側のインボイスがなくても控除額は変わりません。
みなし仕入率と事業区分
- 第1種事業(卸売業): 90%
- 第2種事業(小売業、飲食料品を作る農業・林業・漁業): 80%
- 第3種事業(製造業、建設業、飲食料品以外の農業など): 70%
- 第4種事業(飲食店業、他に当てはまらない事業): 60%
- 第5種事業(運輸通信業、金融・保険業、サービス業): 50%
- 第6種事業(不動産業): 40%
選べる人と届出
簡易課税を使えるのは、届出書を出した課税事業者で、その年の基準期間(個人事業主は前々年)の課税売上高が5,000万円以下の人です。届出を出していても、基準期間の売上が5,000万円を超えた年は本則課税になります。
届出は「消費税簡易課税制度選択届出書」で、適用を受けたい年の前年の12月31日までに所轄の税務署へ出すのが原則です。開業した年、インボイス登録で課税事業者になった年、2割特例や3割特例を使った年の翌年には、それぞれ期限の特例があります。
2割特例が終わった後の位置づけ
インボイス登録で課税事業者になった個人事業主の多くは、令和8年分まで2割特例で申告しています。令和9年分からは、本則課税、簡易課税、条件を満たす人は3割特例(令和9年分・令和10年分)の中から選ぶことになります。
サービス業(第5種50%)なら、売上の消費税の半分を納めるのが簡易課税、7割を差し引けない限り3割特例の方が軽くなるのが一般的な関係です。3割特例が終わる令和11年分以降を見すえると、簡易課税は長く使える選択肢になります。
選ぶ前に確認すること
簡易課税は、一度選ぶと原則2年間はやめられません。その間に大きな設備投資をして仕入れの消費税が売上の消費税を上回っても、還付は受けられません。
令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる案が閣議決定されています(法律の成立が前提)。飲食料品を売る事業者には、簡易課税の計算や届出の特例が設けられる予定のため、該当する人は国税庁の特設サイトの最新情報を確認してください。
よくある質問
簡易課税でもインボイスは発行しますか。
取引先から求められればインボイスを交付します。簡易課税で変わるのは自分の納税額の計算で、売上側の義務は本則課税と同じです。
免税事業者も簡易課税を選べますか。
簡易課税は課税事業者の計算方法です。免税事業者のままなら消費税の申告がないため、選ぶ必要はありません。
簡易課税にすると帳簿は楽になりますか。
消費税の計算では、仕入れの区分や仕入れ側のインボイスの確認がいらなくなります。所得税の帳簿づけ自体はこれまでどおり必要です。
出典(確認日)
- 国税庁 No.6505 簡易課税制度(2026-10-15)
- 国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分(2026-10-15)
- 国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集(3割特例、簡易課税への移行)(2026-10-15)
- 国税庁・財務省 消費税率引下げ特設サイト(飲食料品に係る2年間の消費税率引下げ)(2026-10-15)
- e-Gov法令検索 消費税法(第37条 中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)(2026-10-15)