BridgeInvoice

宛名なしの領収書:経費精算と税務での扱い

最終確認日 2026年10月15日

まず、よくある答え

宛名がないことだけで経費にならないわけではありません。小売・飲食・タクシーなどの簡易インボイスなら宛名は不要ですが、受け取った側が自分で宛名を書き足すのは避け、必要なら発行者に頼みます。

宛名がなくても経費の証拠にはなる

経費になるかどうかは、支払いが事業のためのものか、その内容と金額を説明できるかで判断されます。宛名は誰が払ったかを示す手がかりの一つにすぎず、それだけで結論が決まるものではありません。

とはいえ、宛名が空欄だと、書類だけでは支払った人を示せません。帳簿や精算書に支払いの目的や相手先を書き添えておくと、後で聞かれたときに困りません。

簡易インボイスなら宛名は記載事項ではない

インボイス制度では、受け取る事業者の名称は適格請求書の記載事項ですが、簡易インボイスの記載事項には入っていません。

国税庁Q&A(問24-2)では、会員向けセミナーの参加費について、「●●会会員様」と印刷した領収書や宛名のない領収書を簡易インボイスとして交付できる例が示されています。

反対に、簡易インボイスを使えない一般の事業者間取引で宛名が空欄の領収書を受け取った場合、そのままではインボイスの記載事項を満たしません。

簡易インボイスを使える業種

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問24-2(令和8年5月改訂)

自分で宛名を書き足してよいか

受け取った領収書に、後から自分で会社名を書き込むのは控えます。発行者が書いた部分と受け取った側が書いた部分の区別がつかなくなり、書類全体の信用が下がるからです。

インボイスについて国税庁は、交付を受けた側が記載事項を自ら追記や修正することは原則としてできず、発行者に修正したインボイスの交付を求めるよう説明しています。

ただし、買手が直した内容について売手の確認を受ければ、その書類は仕入明細書等にも当たり、保存して仕入税額控除を受けてかまわないとされています。国税庁の例では、直した箇所の近くに「訂正事項につき11月1日先方確認済み」と書き添えています。

出典:国税庁 Q&A 問92 交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応

社内規程での扱い方

宛名なしや「上様」の領収書を受け付けるかどうかは、それぞれの会社が経費精算規程で決めます。よく見られる定め方は次のとおりです。

宛名の「上様」の扱い

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問94-2

宛名を入れてほしいときの頼み方

会計の場で名刺を渡すか会社名を伝え、「この名前でお願いします」と頼むのがいちばん確実です。漢字を口頭で伝えにくい社名なら、名刺を見せると書き間違いも減ります。

あとで気付いたときは、発行したお店に連絡し、元の領収書を返したうえで書き直してもらえるか相談します。二重発行を避けるため、対応できないと言われることもあります。

領収書の再発行領収書の書き方

よくある質問

宛名がなくても仕入税額控除はできますか。

簡易インボイスを交付できる業種の領収書で、登録番号や税率ごとの金額などがそろっていれば、一般的には宛名が空欄でも保存書類として使えます。

社名が「(株)」と略されていても大丈夫ですか。

誰あてか特定できれば実務上は通ることが多いものの、正式名称を求める社内規程の会社もあります。気になるなら会計のときに正式名称を伝えます。

従業員の個人名が宛名になっている場合はどうなりますか。

国税庁Q&Aでは、従業員名の簡易インボイスは、そのままでは会社の仕入税額控除に使えないのが原則です。従業員名簿などを一緒に保存すれば使えるとされ、名簿がなければ立替金精算書が必要です。

出典(確認日)

書き方とマナー(しきたりノート)

一般的な情報です。個別の判断は税理士・社労士などにご相談ください。