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宛名を自分で書くように言われた領収書の扱い

最終確認日 2026年10月23日

まず、よくある答え

宛名欄を空けて渡され、自分で書くよう言われても、一般的には書き込まずに保存するほうが無難です。小売・飲食・タクシーなど簡易インボイスを出せる業種なら、宛名はもともと記載事項ではありません。

どんな場面で言われるか

レジが混んでいる飲食店や、手書きの領収書を出す小さなお店では、宛名を空欄のまま渡されることがあります。一般的には、名前を聞き取って書き間違える手間を避けるための対応です。

空欄の領収書は、誰が書いたか後から区別がつきません。受け取った人が書き込むと、お店が書いた部分との違いを説明しにくくなります。

宛名なしの領収書は経費になるか

宛名は誰が書くものか

民法第486条は、受取証書を交付するのは支払いを受ける側だと定めています。宛名を含め、書面の中身は発行する側が用意するのが前提です。

インボイスについても、国税庁のQ&A(問92)は、受け取った側は原則として自ら追記や修正を行えないとしています。誤りがあれば、売手に修正したものの交付を求める扱いです。

この説明は記載の誤りを直す場面のものです。お店から白紙の宛名欄を埋めるよう頼まれた場合を、直接取り上げた記述は確認できませんでした。

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問92(令和8年5月改訂)

簡易インボイスの業種なら空欄のままでよい

国税庁のQ&A(問1)は、小売業、飲食店業、タクシー業などを挙げています。不特定多数に販売するこれらの事業は、記載事項を簡易にした適格簡易請求書を交付できます。

問24-2は、こうした書類では「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要になると説明しています。登録番号や税率ごとの金額がそろっていれば、宛名欄が空いていても問題はありません。

つまり、この業種のお店で空欄の領収書を渡されたなら、自分で書き足す必要はありません。会社の精算で宛名入りを求められるなら、その場でお店に書いてもらいます。

簡易インボイスの記載事項

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問1・問24-2

事業者どうしの取引で空欄だったとき

簡易インボイスを使えない取引では、受け取る事業者の名称が適格請求書の6番目の記載事項です。空欄のままでは、インボイスの要件を満たしません。

この場合は、発行者に宛名を書き入れたものを出し直してもらいます。Q&A(問92)では、買手が直した内容を売手に確認してもらえば、仕入明細書等として保存できる道も示されています。

領収書の再発行を頼むとき

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問25・問92

帳簿に書くのは支払先の名前

Q&A(問109)によると、仕入税額控除のために帳簿へ書く事項は、課税仕入れの相手方の氏名又は名称、年月日、内容、支払対価の額の4つです。ここでいう相手方はお店のほうで、自分の名前ではありません。

基準期間の課税売上高が1億円以下などの事業者には、少額特例という経過措置があります。税込1万円未満の課税仕入れなら、帳簿だけの保存で控除を受けられます。期間は令和11年9月30日までです。

また問1では、3万円未満の電車やバスの運賃のように、一定の事項を書いた帳簿だけで控除できる取引も挙げられています。こうした支払いでは、宛名の有無を気にする場面自体がありません。

出典:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問109・問111

よくある質問

「上様」と書いてもらうのと空欄のままと、どちらがよいですか。

簡易インボイスの業種なら、どちらでも記載事項の上では差がありません。会社の精算ルールでどちらを受け付けるか、先に確かめておくと迷いません。

すでに自分で会社名を書いてしまいました。

一般的には、精算のときに自分で書いたことを申し出ておくと誤解を招きません。宛名入りが要る場合は、お店に事情を話して書き直しを頼めるか相談します。

タクシーの領収書で宛名欄が空いていました。

タクシー業は簡易インボイスを交付できる業種です。登録番号などがそろっていれば、宛名がなくても記載事項の上では足ります。乗った日と区間を控えておくと、精算で説明しやすくなります。

鉛筆で薄く書いておくのはどうですか。

一般的には避けます。消せる筆記具で書いた記載は、後から書き換えたと疑われる原因になります。

出典(確認日)

一般的な情報です。個別の判断は税理士・社労士などにご相談ください。