経費率の目安と考え方
最終確認日 2026年10月17日
経費率は、必要経費(売上原価を含む)を売上(収入)金額で割った割合です。国が定めた業種別の「適正な経費率」はなく、統計の数字は同じ業種の平均を知る参考にとどまります。大切なのは率の高さより、経費の中身を説明できることです。
経費になるか判定ツール
支出の名前を入れると、一般的な扱い・勘定科目・根拠を表示します。
支出を調べる経費率の出し方
経費率(%)= 必要経費 ÷ 売上(収入)金額 × 100 で計算します。青色申告決算書の損益計算書なら、売上(収入)金額と、売上原価と経費の合計を使います。売上原価を含めるかどうかで数字が大きく変わるので、比べるときは同じ定義にそろえます。
例えば売上800万円、売上原価200万円、経費の合計360万円なら、売上原価を含む経費率は (200万 + 360万) ÷ 800万 = 70.0%、経費だけなら45.0%です。
業種による差(統計)
国税庁や中小企業庁が業種別の経費率の基準を公表しているわけではありません。参考として、中小企業実態基本調査の令和7年確報(令和6年度決算実績)の個人企業について、売上高に対する売上原価と販売費・一般管理費の割合を計算すると次のとおりです。
| 業種 | 売上原価率 | 販管費率 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 全産業 | 45.8 | 37.9 | 83.7 |
| 建設業 | 45.5 | 34.2 | 79.7 |
| 製造業 | 33.8 | 42.8 | 76.6 |
| 情報通信業 | 16.5 | 53.6 | 70.1 |
| 卸売業 | 73.7 | 17.5 | 91.2 |
| 小売業 | 64.9 | 27.5 | 92.4 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 38.9 | 45.4 | 84.3 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 17.2 | 57.3 | 74.5 |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 6.6 | 59.5 | 66.1 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 42.3 | 38.5 | 80.8 |
出典:中小企業庁 中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)統計表「3.売上高及び営業費用 (1)産業別・従業者規模別表」(e-Stat)
統計の読み方
表は業種全体の合計から出した割合で、事業の形や規模によって大きく違います。例えば同じ学術研究・専門・技術サービス業でも、外注を多く使う事務所と一人で仕事をする人では、売上原価の割合がまったく違います。個人企業の販管費には事業主本人の報酬が入らないため、法人の数字とも単純には比べられません。
統計と比べて率が高くても、それだけで経費が否認されるわけではありません。反対に、統計に近い率でも、中身に私的な支出が混ざっていれば経費になりません。
経費率で判断されるもの・されないもの
- 判断されない: 個々の支出が経費になるかどうか(業務との関係と記録で決まります)。
- 参考にされうる: 同業者と比べて経費の割合が大きく違う場合に、中身を確認されるきっかけになることがあります。
- 別の制度: 消費税の簡易課税のみなし仕入率は、所得税の経費率とは別の仕組みです。
経費率を見るときの注意
前年と比べて経費率が大きく上がった場合は、設備の買い替えや外注の増加など、理由がはっきりしていることが多いはずです。理由をメモにして決算書と一緒に保存しておくと、後から聞かれたときに説明できます。売上が増えたのに経費率が変わらない場合は、按分の割合を見直していないかも確かめます。
所得の見込みを立てるときは、統計の率ではなく、自分の前年の決算書の率を使うほうが実態に近くなります。
自分で確かめる3点
- 経費率の計算で、売上原価を含めるかどうかをそろえたか。
- 前の年と比べて大きく変わった科目があれば、理由を説明できるか。
- 経費の中に、按分していない家事関連費が混ざっていないか。
よくある質問
経費率が何%を超えると危ないですか。
決まった基準はありません。率ではなく、それぞれの支出が業務に必要で、記録で説明できるかどうかが問われます。
フリーランスの経費率はどのくらいですか。
仕事の内容で大きく違います。外注や仕入れが少ない仕事は低く、材料や外注の多い仕事は高くなります。統計の数字は業種全体の平均です。
経費率から所得を見積もる方法はありますか。
売上に統計の割合を当てはめれば大まかな目安になりますが、申告は実際の帳簿の数字で行います。