自宅の家賃を経費にする:按分の計算と持ち家の場合
最終確認日 2026年10月17日
自宅兼事務所の家賃は、仕事に使う部屋の面積などの割合で按分し、仕事の部分を地代家賃として経費にできます。持ち家ではローンの元本や家賃相当額は経費にならず、ローン利息・固定資産税・建物の減価償却費を同じ割合で按分します。
家事按分 計算ツール
家賃・電気代・通信費・車の費用を、面積・時間・走行距離の割合で按分します。
按分を計算する経費にできる理由
自宅の家賃は仕事と生活の両方にかかる家事関連費です。施行令96条と基本通達45-2により、仕事に必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を必要経費にできます。仕事専用の部屋がある場合は、面積で区分するのが一般的です。
計算の例
家賃月10万円、住まい全体50平方メートルのうち、仕事専用の部屋が10平方メートルなら、年120万円 × 10 ÷ 50 = 24万円(20.0%)が事業分です。
リビングの一角で仕事をする場合は、面積に加えて使う時間も考えます。週40時間を仕事に使う机のスペースでも、その場所を家族も使うなら、面積と時間を組み合わせた控えめな割合にします。
持ち家の場合
- 住宅ローンの元本の返済: 経費になりません。
- 住宅ローンの利息: 仕事の割合の分だけ利子割引料として経費にできます。
- 固定資産税: 仕事の割合の分を租税公課として経費にできます。
- 建物: 取得価額をもとに減価償却し、償却費を仕事の割合で按分します。
- 住宅ローン控除: 仕事に使う部分は対象から外れるため、按分の割合とあわせて確かめます。
敷金・礼金・更新料・引越し費用
- 敷金: 返還される部分は資産(差入保証金)で、経費ではありません。返還されないと決まっている部分は、礼金と同じく繰延資産とする整理が一般的です(国税庁のページに明記はありません)。
- 礼金・更新料: 建物を借りるための権利金等として繰延資産になり(所得税基本通達2-27)、契約ごとに20万円未満ならその年に全額を経費にできます(施行令139条の2)。20万円以上は原則5年で償却し(基本通達50-3)、自宅兼事務所なら仕事の割合で按分します。
- 仲介手数料: 繰延資産にせず、支払った年に仕事の割合の分を支払手数料として経費にできます(基本通達2-27の注)。
- 引越し費用: 事務所の移転は経費になり、住まいだけの引越しは家事費です。自宅兼事務所の引越しは仕事の割合で考えます。
注意したいこと
生計を一にする親族が持つ家に家賃を払っても、その家賃は経費になりません(所得税法56条)。この場合は、親族が負担している固定資産税などを、仕事の割合で経費にする考え方になります。
間取り図に仕事のスペースを書き込み、面積の計算と一緒に保存しておくと、毎年同じ割合で説明できます。
自分で確かめる3点
- 仕事に使う部屋や場所を、間取り図の上で示せるか。
- その場所を家族も使うなら、時間の割合も考えたか。
- 賃貸の契約者と支払者が自分か(親族の家ではないか)。
よくある質問
家賃の何割まで経費にできますか。
決まった上限はありません。実際に仕事に使っている面積や時間で計算した割合が基準です。説明できない高い割合にはしないようにします。
賃貸契約が家族の名義でも経費にできますか。
家族と生計が一で、家賃を実際には家族が負担している場合は、経費にしにくくなります。誰が契約し誰が払っているかを確かめます。
白色申告でも家賃を按分できますか。
できます。仕事に必要な部分を明らかに区分できれば、白色申告でも按分した部分を経費にできます。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(96条・138条・139条・139条の2)(2026-10-17)
- 国税庁 所得税基本通達 45-1・45-2(家事関連費)(2026-10-17)
- 国税庁 所得税基本通達 2-27・50-3・50-7(権利金等の繰延資産)(2026-10-17)
- e-Gov法令検索 所得税法(37条・45条・56条・57条)(2026-10-17)
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識(2026-10-17)