個人事業主の経費はどこまで認められるか
最終確認日 2026年10月17日
経費として認められるのは、業務との関係を説明できる支出です。生活の支出は経費にならず、仕事と生活にまたがる支出は根拠のある割合で仕事の部分だけを経費にします。「ぶっちゃけどこまで」の答えは金額や業種ではなく、記録で説明できるかどうかで決まります。
経費になるか判定ツール
支出の名前を入れると、一般的な扱い・勘定科目・根拠を表示します。
支出を調べる法律の線引き
37条は業務について生じた費用を必要経費とし、45条1項はその反対側として、家事上の経費と、所得税・住民税・延滞税・加算税・罰金などを経費から外しています。業種ごとに「これは経費」という一覧が法律にあるわけではありません。
そのため同じ支出でも、仕事の内容によって扱いが変わります。カメラは撮影の仕事なら機材ですが、事務の仕事で家族旅行に使うなら家事費です。
グレーになりやすい支出
- 自宅の家賃・光熱費・通信費: 按分の割合と根拠(面積・時間)が問われます。
- 車: 家族も使う車は走行記録がないと割合を説明できません。
- 飲食: 相手と目的が書けない飲食は、私的な食事と区別できません。
- スーツ・眼鏡・美容院: 私生活でも使うため、原則は家事費です。
- 家族への支払い: 生計を一にする親族への家賃や給料は、青色事業専従者給与などの要件を満たす場合を除き経費になりません(所得税法56条・57条)。
按分は「割合の根拠」がすべて
家事関連費は、施行令96条と基本通達45-2により、業務に必要な部分を明らかに区分できればその部分を経費にできます。割合に決まった上限はありませんが、根拠のない高い割合や、年ごとに理由なく変わる割合は説明できません。
例えば車の走行距離が年1万キロで、仕事の移動が記録上6,000キロなら、ガソリン代や保険料の60%を経費にする考え方が説明しやすくなります。
税務調査で確かめられやすいこと
- 高額な支出や、売上に比べて大きい経費の中身(相手、目的、使い道)。
- 按分の割合をどう決めたか、その資料(間取り図、走行記録、業務時間の記録)。
- 接待交際費の相手と事業との関係。
- 家族名義の支払いや、家族が使う物の購入。
- 現金払いで領収書がない支出の裏付け(出金伝票、案内状、メモ)。
記録は私的な支出を経費に変えるものではない
記録が残っていても、支出そのものが私的なものであれば経費にはなりません。家族との外食のレシートに打ち合わせと書いても、相手や議題が事業と結びつかなければ説明になりません。記録は業務のための支出であることを裏付けるもので、経費の範囲を広げる道具ではないと考えます。
自分で確かめるチェックリスト
- その支出を、仕事の内容と結びつけて一文で説明できるか。
- 按分した支出ごとに、割合の根拠となる資料が残っているか。
- 同じ種類の支出を、毎年同じ考え方で処理しているか。
- 家族や私生活のための支出が混ざっていないか。
よくある質問
経費が多すぎると調査されますか。
経費の多さだけで調査が決まるわけではありませんが、同業者と比べて経費の割合が大きい場合などは内容を確認されることがあります。中身を説明できる記録があれば問題になりにくくなります。
認められなかった経費はどうなりますか。
経費から除かれ、所得税・住民税などを追加で納めることになります。過少申告加算税や延滞税がかかる場合もあります。
税理士に聞くべきなのはどんなときですか。
金額の大きい支出、家族との取引、仕事と私生活の境目がはっきりしない支出など、自分の事業での判断が必要なときです。このページは一般的な考え方の説明です。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 所得税法(37条・45条・56条・57条)(2026-10-17)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(96条・138条・139条・139条の2)(2026-10-17)
- 国税庁 所得税基本通達 45-1・45-2(家事関連費)(2026-10-17)
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識(2026-10-17)