固定残業代と最低賃金の確認方法
最終確認日 2026年10月15日
最低賃金を満たしているかは、固定残業代を除いた基本給などを月平均所定労働時間で割った時間単価で確かめます。所定時間を超える労働への賃金は最低賃金の計算に入れないためです。たとえば東京都で月給20万円のうち45時間分を固定残業代にすると、基本給は約14万9千円、時間単価は約911円で、令和8年度の1,280円を下回ります。
固定残業代 設計ツール
都道府県を選ぶと、発効日に合わせた最低賃金と比べます。発効日前の地域は、改定後の額で下回らないかも表示します。
最低賃金と比べる固定残業代を除いて比べる理由
最低賃金法では、所定労働時間を超える労働に対して払われる賃金、所定労働日以外の労働への賃金、深夜の割増部分は、最低賃金と比べる賃金に入れません。固定残業代は時間外労働への賃金なので除きます。
あわせて、臨時の賃金、1か月を超える期間ごとの賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当も除きます。住宅手当や役職手当は、比べる賃金に含めます。
計算の手順
年間休日120日・1日8時間なら、月平均所定労働時間は163.33時間です。東京都の1,280円を満たすには、比べる月給が約20万9千円以上必要で、そのうえに固定残業代を上乗せする形になります。
- 比べる月給 = 基本給 + 含める手当(住宅手当、役職手当など)
- 月平均所定労働時間 =(365日 − 年間休日)× 1日の所定時間 ÷ 12
- 時間単価 = 比べる月給 ÷ 月平均所定労働時間
- 時間単価が、事業場のある都道府県の最低賃金以上であることを確認する
令和8年度の改定日
令和8年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円です。発効日は都道府県ごとに異なり、10月1日の地域が多い一方、10月中旬以降や12月に発効する地域もあります。
給与の締日の途中で発効する場合は、発効日以後の労働について新しい額を満たす必要があります。固定残業代の設計は、改定後の額で下回らないかも確かめておくと安心です。
下回っていたときの直し方
下回っている場合は、固定残業代の時間数を減らして基本給を増やすか、総額を引き上げます。総額を変えずに固定残業代を減らす変更は、本人にとって基本給が上がる方向なので、一般的には不利益変更にはあたりません。
過去にさかのぼって差額が生じていた場合の精算の方法は、期間や金額などの事情によって変わります。
毎年10月前後に確認すること
最低賃金は毎年改定されるため、固定残業代を含む給与体系の会社は、改定のたびに基本給だけで最低賃金を満たしているかを確かめます。所定労働時間や年間休日を変えたときも、月平均所定労働時間が変わるので確認が必要です。
よくある質問
総額を時間で割れば最低賃金を超えています。それでも足りませんか。
足りません。固定残業代は所定時間を超える労働への賃金なので、最低賃金と比べる賃金から除きます。
試用期間中は最低賃金を下回ってもよいですか。
都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、一定の範囲で減額できる特例があります。許可なく下回ることはできません。
パートの時給にも同じ確認が必要ですか。
時給なら、時給そのものを最低賃金と比べます。手当を時間単位にならして含めるかどうかは、手当の種類によります。
最低賃金はどの都道府県の額で比べますか。
働く事業場のある都道府県の額です。本社と別の県の支店で働く人は、支店のある県の最低賃金と比べます。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 最低賃金法施行規則(第1条 算入しない賃金)(2026-10-15)
- 厚生労働省 令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧(2026-10-15)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月版)(2026-10-15)
- 厚生労働省 リーフレット「固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに次の①~③の内容すべてを明示してください」(2026-10-15)