源泉徴収簿の書き方と記入例【令和8年分】
最終確認日 2026年10月15日
源泉徴収簿は、従業員ごとに1年分の給与・賞与と源泉徴収税額を記録し、12月に年末調整を計算するための帳簿です。毎月は総支給金額、社会保険料等、扶養親族等の数から月額表で税額を記入し、賞与は前月の給与から算出率を引きます。年末調整の欄は⑦の総額から㉗の過不足額まで、番号の順に埋めていけば計算が終わります。
源泉徴収簿 Excel テンプレート(令和8年分)
月額表・賞与の算出率・年末調整の計算式が入っています。下の記入例と同じ数字の記入例シートつきです。
Excelをダウンロード源泉徴収簿とは
源泉徴収簿は、国税庁が源泉徴収事務の便宜のためにホームページで様式を示している帳簿です。所得税法がこの様式での作成を定めているわけではないため、同じ項目を記録できれば、給与ソフトの台帳や自社のExcelで代えて構いません。
労働基準法108条の賃金台帳とは目的が違いますが、記録する項目の多くが重なります。賃金台帳に必要な労働日数・労働時間数・基本給や手当の内訳などを加えて、一つの帳簿で管理している会社もあります。賃金台帳を兼ねる場合は、同法109条の保存期間(5年、当分の間は3年)に合わせて保管します。
上の欄(氏名・甲欄乙欄・扶養控除等の申告)
左上に従業員の氏名と住所を書き、扶養控除等申告書を出している人は「甲欄」、出していない人は「乙欄」を○で囲みます。乙欄の人は年末調整の対象になりません。
「扶養控除等の申告」欄には、申告書に書かれた源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者などの区分と人数を写します。ここで数えた人数が、毎月の税額を引くときの扶養親族等の数になります。年の途中で家族が増えたり減ったりしたら、異動の月から人数を変えます。
月別の欄(給料・手当等)の書き方
給与を払うたびに、支給月日、総支給金額、社会保険料等の控除額を書き、総支給金額から社会保険料等を引いた金額を「社会保険料等控除後の給与等の金額」に書きます。通勤手当のうち非課税の部分は総支給金額に含めません。
記入例では、総支給金額600,000円から社会保険料等92,000円を引いて508,000円です。扶養親族等の数が6人なので、令和8年分の月額表の甲欄で506,000円以上509,000円未満の行の6人の列を見ると、算出税額は6,690円です。年末調整をしない月は、算出税額がそのまま差引徴収税額になります。
12か月分を書き終えたら、総支給金額、社会保険料等、算出税額をそれぞれ縦に合計します。記入例では給与の計が7,200,000円、社会保険料等が1,104,000円、税額が80,280円です。
賞与の欄の書き方
賞与も総支給金額と社会保険料等を書き、差し引いた金額に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の率を掛けます。率は、賞与の金額ではなく、前月に払った給与の社会保険料等控除後の金額と扶養親族等の数で決まる点に注意します。
記入例の賞与は885,000円、社会保険料等は141,051円で、差引743,949円です。前月の給与の社会保険料等控除後の金額508,000円と扶養6人から率は10.21%となり、743,949円×10.21%の1円未満を切り捨てて75,957円です。2回分の賞与の税額の計は151,914円になります。
前月に給与を払っていない場合や、賞与の金額(社会保険料等控除後)が前月の給与の10倍を超える場合は、算出率の表ではなく月額表を使う特例で計算します。テンプレートではこの場合だけ税額を手で入力します。
年末調整の欄(⑦〜㉗)の書き方
12月に、月別と賞与の計、前職分を合わせて年末調整の欄を上から埋めます。番号は国税庁の様式の欄の番号です。記入例の数字を並べると、次のとおりです。
- ⑦ 給与・賞与の総額: 給与7,200,000円+賞与1,770,000円=8,970,000円(前職分があれば加えます)
- ⑧ 徴収税額の合計: 80,280円+151,914円=232,194円
- ⑨ 給与所得控除後の給与等の金額: 8,970,000円は850万円超なので、8,970,000円−1,950,000円=7,020,000円
- ⑩ 所得金額調整控除額: 23歳未満の扶養親族がいるため(8,970,000円−8,500,000円)×10%=47,000円(収入は1,000万円が上限)
- ⑪ 調整控除後の金額: 7,020,000円−47,000円=6,973,000円
- ⑫ 社会保険料等(給与等から控除分): 1,104,000円+282,102円=1,386,102円
- ⑬⑭ 申告による社会保険料・小規模企業共済等掛金: 記入例ではなし
- ⑮ 生命保険料の控除額 120,000円、⑯ 地震保険料の控除額 50,000円(保険料控除申告書から)
- ⑰ 配偶者(特別)控除額 380,000円、⑱ 特定親族特別控除額 410,000円(基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書から)
- ⑲ 扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額: 1,860,000円(扶養控除等申告書の人数から計算)
- ⑳ 基礎控除額: ⑪が655万円超2,350万円以下なので620,000円
- ㉑ 所得控除額の合計額: ⑫〜⑳の合計で4,826,102円
- ㉒ 差引課税給与所得金額: 6,973,000円−4,826,102円=2,146,898円、1,000円未満を切り捨てて2,146,000円
- ㉓ 算出所得税額: 速算表で2,146,000円×10%−97,500円=117,100円
- ㉔ 住宅借入金等特別控除額: 76,500円(住宅借入金等特別控除申告書から)
- ㉕ 年調所得税額: 117,100円−76,500円=40,600円
- ㉖ 年調年税額: 40,600円×102.1%=41,452円、100円未満を切り捨てて41,400円
- ㉗ 差引超過額又は不足額: ⑧232,194円−㉖41,400円=190,794円の超過額(本人に還付)
超過額・不足額の精算と記録
㉗が超過額なら、その金額を12月の給与などで本人に還付し、還付した月と金額を源泉徴収簿に記録します。不足額なら、12月の給与から徴収します。どちらの場合も、12月分の納付書(所得税徴収高計算書)の超過税額・不足税額の欄に合計を書き、その月に納める税額と相殺します。
記入例の190,794円のように超過額が大きく、12月分の納付税額から引ききれない場合は、翌月以降の納付から差し引いて還付を続けます。精算の結果は源泉徴収票の「源泉徴収税額」に㉖の41,400円として載ります。
Excelテンプレートの使い方と注意
テンプレートの黄色の欄に数字を入れると、月額表と算出率の表から税額が引かれ、年末調整の欄は⑦から㉗まで自動で計算されます。月額表・算出率の表・給与所得控除後の金額の表・速算表は隠しシートに入っていて、令和8年分の国税庁の表と同じ値です。
控除額の⑮〜⑲は、申告書で計算した結果を手で写す欄です。乙欄の人、日額表を使う日雇いの人、給与の総額が2,000万円を超える人は、このテンプレートの対象外です。年分が変わると表と控除額が変わるため、令和9年分には使えません。
よくある質問
源泉徴収簿は税務署に提出しますか。
提出しません。会社で保管し、年末調整や源泉徴収票の作成、税務調査のときの確認に使います。過納額還付請求書を出すときは、写しを添付します。
国税庁の年末調整計算シートとの違いは何ですか。
年末調整計算シートは12月の計算を効率よく行うためのExcelです。このテンプレートは毎月の税額の記録と年末調整をひとつのシートで続けて行う作りです。
パートやアルバイトにも源泉徴収簿は必要ですか。
給与を払う人ごとに記録します。毎月の税額が0円の人でも、支給額と社会保険料等を記録しておくと、年末調整や給与支払報告書の作成に使えます。
給与ソフトを使っていれば源泉徴収簿は不要ですか。
給与ソフトの台帳に同じ項目が記録されていれば、それで代えられます。紙の源泉徴収簿を別に作る必要はありません。
出典(確認日)
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(2026-10-15)
- 国税庁 各種申告書・記載例(源泉徴収簿の様式を含む)(2026-10-15)
- 国税庁 年末調整計算シート(2026-10-15)
- 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表(月額表)(2026-10-15)
- 国税庁 令和8年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(2026-10-15)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第108条 賃金台帳、第109条 記録の保存)(2026-10-15)