一括償却資産とは:20万円未満の資産を3年で3分の1ずつ経費にする方法
最終確認日 2026年10月16日
一括償却資産は、取得価額が10万円以上20万円未満の資産をまとめて、使い始めた年から3年間、取得価額の合計の3分の1ずつを経費にする方法です。年の途中で買っても月割はなく、白色申告でも選べます。この方法にした資産は償却資産税(固定資産税)の申告の対象から外れます。
減価償却 計算ツール(一括償却・少額特例・通常の償却を比べる)
取得価額と耐用年数を入れて処理のしかたを切り替えると、一括償却資産の3年分と、通常の減価償却や少額特例の年ごとの経費を比べられます。
一括償却で計算する一括償却資産のしくみ
対象になるのは、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産です。耐用年数に関係なく、その年に使い始めたものの取得価額を合計し、その合計額の3分の1をその年、翌年、翌々年の3回に分けて経費にします。
所得税では所得税法施行令139条、法人税では法人税法施行令133条の2に定めがあり、どちらも資産ごとに選ぶことができます。同じ年に買った15万円の机は一括償却資産、別の15万円の棚は通常の減価償却、という使い分けもできます。
月割をしない点
通常の減価償却は、年の途中で使い始めると、その年は使った月数分しか経費になりません。一括償却資産にはこの月割がないため、12月に買った18万円の資産でも、その年に6万円、翌年と翌々年にも6万円ずつ経費になります。
年末に買うものほど、初年度の経費は一括償却資産の方が大きくなります。逆に1月に使い始めた資産で耐用年数が短いもの(たとえば2年)は、通常の減価償却の方が早く経費になることもあるため、計算ツールで両方の数字を並べてから決めると判断しやすくなります。
少額の3つの扱いとの比べ方
- 10万円未満:個人事業主は使い始めた年に全額経費
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産で3年均等、青色申告なら少額減価償却資産の特例で全額、または通常の減価償却
- 20万円以上40万円未満(令和8年4月1日以後の取得):青色申告なら特例で全額、そうでなければ通常の減価償却
- 白色申告の人が20万円未満の資産を早めに経費にしたいときは、一括償却資産が使える方法になります
途中で売却・廃棄したとき
一括償却資産は、3年の途中で壊れて捨てたり売ったりしても、残りの期間の経費はそれまでどおり3分の1ずつ続けます。残りを処分した年にまとめて経費にすることはできません。所得税基本通達49-40の2と法人税基本通達7-1-13が、譲渡した場合も同じ扱いと定めています。
通常の減価償却なら、処分した年に未償却残高を経費(除却損)にできる場合があります。すぐ買い替える見込みがある資産は、この違いも考えて選びます。
償却資産税との関係
償却資産税は、事業に使う機械や器具備品にかかる固定資産税で、毎年1月31日までに申告します。東京都主税局は、取得価額20万円未満の資産を税務会計上3年間で一括償却しているものを申告の対象外としています。
一方、少額減価償却資産の特例で全額経費にした資産は申告の対象に入ります。複数台のパソコンや什器をまとめて買う店舗では、どちらで処理したかで申告する資産の合計が変わり、免税点の150万円に届くかどうかに影響することがあります。
決算書と台帳への書き方
青色申告決算書の減価償却費の計算の欄には、その年に使い始めた一括償却資産の取得価額の合計と、本年分の償却費(合計の3分の1)を記入します。2年目と3年目も同じ行を書き、3年目で残高が0円になります。
会計ソフトの固定資産台帳では、資産を登録するときに償却方法を一括償却に設定すると、3年分の仕訳と決算書の行が自動で作られます。白色申告の収支内訳書にも同じ考え方で記入します。
選ぶ前のセルフチェック
- 取得価額は1台・1組で見て10万円以上20万円未満か(セットのものを分けて判定していないか)
- 消費税を含めるかは自分の経理方式(税込・税抜)に合わせたか
- 青色申告なら、少額特例(年300万円まで)と比べてどちらが自分に合うか
- 数年以内に売る・捨てる予定がないか
- 店舗や事務所の器具備品が多く、償却資産税の申告に影響しないか
よくある質問
一括償却資産は青色申告でないと使えませんか。
白色申告でも使えます。青色申告者だけが使えるのは少額減価償却資産の特例の方です。
18万円のパソコンを12月に買いました。いくら経費になりますか。
一括償却資産にすると、月割がないため、買った年、翌年、翌々年に6万円ずつです。通常の減価償却(4年の定額法)なら、買った年は1か月分の3,750円になります。
法人でも同じですか。
法人も10万円以上20万円未満の資産を一括償却資産にでき、事業年度ごとに3分の1(事業年度が12か月の場合)を損金にします。売却や除却をしても損金にする額は変わりません。
出典(確認日)
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし(2026-10-16)
- 国税庁 所得税基本通達 49-39・49-40の2(少額の減価償却資産及び一括償却資産)(2026-10-16)
- 国税庁 法人税基本通達 7-1-11・7-1-13(2026-10-16)
- 東京都主税局 固定資産税(償却資産)(2026-10-16)