開業費の償却:開業前の支出を経費にする方法
最終確認日 2026年10月15日
開業費は、事業を始めるまでに特別に使った広告宣伝費、打ち合わせの費用、交通費などで、所得税法施行令7条の繰延資産です。開業した年から、好きな年に好きな額を償却して経費にできます(任意償却)。開業前に買ったパソコンや車は開業費ではなく、使い始めた日から減価償却資産として扱います。
開業費に入るもの
- 開業の準備のための広告宣伝費、名刺やチラシの作成費
- 市場調査や情報収集の費用、打ち合わせの飲食代
- 準備のための交通費、通信費
- 開業前の事務所の賃借料(敷金など返ってくるものを除く)
- 準備のための借入金の利息
開業費に入らないもの
パソコン、机、車などの資産は、開業費ではなく減価償却資産です。開業前に買っても、事業に使い始めた日を取得日として、耐用年数や少額の枠で処理します。
敷金や保証金のうち返ってくる部分は資産、返ってこない礼金などは繰延資産(または20万円未満なら経費)です。開業の準備と関係のない私的な支出は、もちろん入りません。
任意償却のしかた
開業費は、開業した年以後、いつでも好きな額を償却できます。開業した年の所得が少なければ償却しないで残し、利益が出た年に多く経費にすることもできます。5年で均等に償却する方法を選んでもかまいません。
青色申告決算書では、減価償却費の計算の表に「開業費」として書き、その年の償却額を記入します。未償却の残高は貸借対照表の繰延資産に残ります。
開業日と開業届
開業費になるのは、開業日より前の支出です。開業日は実際に事業を始めた日で、開業届に書いた日と合わせておくと説明しやすくなります。開業届を出すのが遅れても、事業を始めた日を書けば足ります。
開業前の支出は、日付と内容が分かる領収書を残し、開業費の一覧にまとめておくと、開業した年の帳簿の最初の仕訳で計上できます。
開業費の計算例
会社を辞めてウェブ制作で開業する人が、開業前の3か月に、名刺とチラシ3万円、市場調査のための交通費2万円、打ち合わせの飲食代1万5,000円、ポートフォリオサイトの公開準備費5万円を使ったとします。合計11万5,000円が開業費です。
開業した年の所得が少なければ、その年は償却せずに11万5,000円を貸借対照表の繰延資産に残し、翌年以降の利益が出た年に全額を経費にできます。毎年2万3,000円ずつ5年で償却する方法を選ぶこともできます。
同じ時期に買った15万円のパソコンは開業費に含めず、事業に使い始めた日から一括償却資産や少額の特例、または4年の減価償却で処理します。開業費と資産を混ぜないことが、開業した年の帳簿を正しく始めるための第一歩です。開業費の一覧は、開業した年の帳簿と一緒に保存しておきます。
よくある質問
開業費に上限はありますか。
上限はありません。ただし、開業の準備のために特別に使った支出に限られます。
開業から何年も経ってから償却できますか。
任意償却なので、未償却の残高がある限り、後の年に償却できます。
白色申告でも開業費は使えますか。
使えます。収支内訳書の減価償却費の計算の欄に書きます。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(第7条 繰延資産、第120条の2、第137条、第138条、第139条)(2026-10-15)
- 国税庁 所得税基本通達(繰延資産)(2026-10-15)
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし(2026-10-15)