修繕費と資本的支出の分け方:判定の順番
最終確認日 2026年10月15日
修理や改良の費用は、元の状態を保つ・戻すためなら修繕費として経費に、価値を高めたり使える期間を延ばしたりするなら資本的支出として資産に加えて償却します。判定に迷うときは、1回の工事が20万円未満か、おおむね3年以内の周期で行う修理なら修繕費、次に60万円未満か前年末の取得価額のおおむね10%以下なら修繕費とする形式基準があります。
考え方:維持か、価値を高めるか
通常の維持管理や、壊れたものを元に戻すための支出は修繕費です。建物の避難階段の取り付けのように物理的に付け加えたもの、用途を変えるための模様替え、性能の高い部品に取り替えた部分は資本的支出になります。
名目ではなく中身で判定するため、請求書に「修繕費」と書かれていても、工事の内容が改良なら資本的支出です。
判定の順番
- 1. 1回の修理・改良が20万円未満 → 修繕費(37-12)
- 2. おおむね3年以内の周期で行われることが実績などで明らか → 修繕費(37-12)
- 3. 明らかに価値を高める・期間を延ばすもの → 資本的支出(37-10)
- 4. どちらか明らかでない部分が60万円未満、または前年12月31日の取得価額のおおむね10%以下 → 修繕費(37-13)
- 5. それでも決まらないとき → 30%と前年末取得価額の10%の少ない方を修繕費、残りを資本的支出にできる(37-14)
例で確かめる
店舗の外壁を塗り直す80万円の工事が、塗装がはがれた部分を元に戻すためのものなら、全額が修繕費です。同じ工事で耐久性の高い塗料に変えた部分があり、どちらか明らかでない場合は、建物の前年末の取得価額が1,000万円なら10%の100万円以下なので、形式基準で修繕費にできます。
エアコンの修理費12万円は20万円未満なので修繕費です。古いエアコンを新しいものに取り替えた場合は、修理ではなく新しい資産の取得として、取得価額によって減価償却や少額の枠で処理します。
資本的支出にした場合
資本的支出は、原則として、元の資産とは別に新しく取得したものとして、元の資産と同じ耐用年数で償却します。資本的支出も取得価額が10万円未満なら、少額の扱いで全額経費にできます。
災害で壊れた資産の原状回復の費用は修繕費です。原状回復か改良かを分けにくいときは、30%を修繕費、残りを資本的支出とする扱いがあります。
判定の記録を残す
修繕費にした工事は、見積書や請求書、工事の前後の写真を保存し、元に戻す工事だったことを説明できるようにしておきます。形式基準を使った場合は、前年末の取得価額の10%をどう計算したかもメモに残します。
よくある質問
20万円未満の判定は税込ですか。
消費税の経理方式に合わせます。税込経理なら税込、税抜経理なら税抜の額で判定します。
工事を分けて発注すれば20万円未満になりますか。
一つの計画にもとづく同じ資産の工事は、まとめて1回として判定します。分けて発注しても合計で判定されます。
借りている店舗の修繕は。
借主が負担した修繕も同じ基準で判定します。内装の造作など借主の資産になるものは、資本的支出として償却します。
出典(確認日)
- 国税庁 所得税基本通達 37-10〜37-14の2(資本的支出と修繕費等)(2026-10-15)
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識(2026-10-15)