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通勤手当とは

最終確認日 2026年11月1日

まず、よくある答え

通勤手当は、従業員が通勤にかかる費用として会社が給与に上乗せして払う手当です。払うかどうかや金額を決めた法律はなく、就業規則や賃金規程の定めで決まります。所得税では、電車・バスなら1か月150,000円まで、車・自転車なら片道の通勤距離に応じた額まで非課税で、令和8年4月1日以後に支払われるべき分からは片道65km以上の区分が引き上げられ、駐車場代を月5,000円まで加算できるようになりました。社会保険料と雇用保険料の計算では、非課税の分も含めて全額が報酬・賃金に入ります(最終確認日 2026年11月1日)。

通勤手当の計算

支給日、通勤の方法、片道の距離、定期代、駐車場代から、非課税の上限とその内訳、課税される額、社会保険の報酬に入れる1か月分を出します。

通勤手当を計算する

通勤手当と交通費の違い

通勤手当は、自宅と勤務先の行き来にかかる費用に対して払う手当で、給与の一部です。これに対して、取引先への訪問や出張の電車代は業務のための旅費で、会社の経費として精算します。名前はどちらも交通費と呼ばれがちですが、税金や社会保険での扱いが違うため、給与明細では分けて書きます。

個人事業主が自分の移動に使った電車代は、通勤手当ではなく事業の経費(旅費交通費)の話になります。このページは、従業員に通勤手当を払う会社の側から説明します。

個人事業主の旅費交通費出張旅費規程の作成交通費は課税か非課税か

支給するかどうか、いくら払うかは会社の決まり

通勤手当を払う義務を定めた法律はなく、払うかどうかと金額は就業規則や賃金規程で決めます。支給する会社は、対象になる人、計算の方法(実費の定期代か、距離に応じた定額か)、上限額、支給する時期、経路が変わったときの届出を規程に書いておきます。

金額の決め方には、定期代の実費をそのまま払う方法、上限を決めて実費を払う方法、片道の距離ごとに定額を払う方法、車通勤ならガソリン代から計算する方法などがあり、どれが多いかは会社によって違います。いわゆる相場を示す公的な基準はありません。

同一労働同一賃金ガイドラインは、短時間・有期雇用労働者にも通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならないとしています(令和8年4月28日厚生労働省告示第203号で改正)。正社員には払うのにパートや契約社員には払わない、という扱いはこの考え方に合いません。

通勤届の書き方とテンプレート交通費精算書のテンプレート

出典:厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年厚生労働省告示第430号、令和8年4月28日改正)

所得税で非課税になる上限

電車・バス・有料道路を使う人は、最も経済的かつ合理的な経路と方法で通った場合の1か月当たりの運賃等が、150,000円を上限に非課税です。車・バイク・自転車を使う人は、片道の通勤距離の区分ごとに上限が決まっていて、片道2km未満は全額が課税、2km以上10km未満は4,200円、最も遠い95km以上は66,400円です。

令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当からは、勤務先や通勤で使う駅の近くの駐車場・駐輪場の料金も、月5,000円まで上限に足せます。距離の区分の全体と、改正前との違いは別のページで表にしています。

通勤手当の非課税限度額(2026年4月改正)

出典:国税庁 通勤手当の非課税限度額の改正について(令和8年4月)

計算のしかた(3つの例)

計算は、まず支給日でどの表を使うかを決め、次に通勤の方法ごとの上限を足し、最後に支給額と比べて超えた分を課税にする、という順番です。

電車で通う人に6か月定期代90,000円を渡す場合、1か月当たりは15,000円で、これが上限の150,000円より少ないため全額が非課税です。社会保険では、6か月分をまとめて渡した月だけに入れず、各月に15,000円ずつ報酬として入れます。

片道70kmを車で通い、勤務先近くの駐車場代が月6,000円の人に、月51,700円を払う場合、上限は距離の区分の45,700円に駐車場代の加算5,000円(6,000円のうち上限まで)を足した50,700円です。1,000円が課税され、その月の給与に足して源泉徴収します。

電車の定期代が月12,000円で、駅まで片道8kmを車で走り、駅前の駐車場代が月2,000円の人は、12,000円と4,200円と2,000円を合計した18,200円が上限です。合計が150,000円を超えるときは、150,000円で止まります。

車通勤の通勤手当(ガソリン代の計算式)

出典:国税庁 通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A(令和8年4月)問2-1〜問4-2

社会保険料・雇用保険料との関係

通勤手当は、非課税かどうかに関係なく健康保険・厚生年金保険の報酬に含まれます。所得税で非課税になる分も、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を決めるときの報酬に入れます。

通勤手当(非課税分を含む)や定期券・回数券は、労働保険料の計算の賃金総額に入ります。雇用保険料は毎月の賃金にかけるため、通勤手当が多い人ほど雇用保険料も増えます。

引っ越しや経路の変更で通勤手当の額が変わると、固定的賃金の変動として月額変更届(随時改定)の対象になることがあります。変わった月から3か月の報酬の平均を見て、2等級以上の差が出るかを確かめます。

月額変更届(随時改定)の判定算定基礎の計算通勤手当と社会保険料・雇用保険(6か月定期の月割り)

出典:日本年金機構 標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。

最低賃金と残業代の計算では除く

最低賃金の比較では、精皆勤手当・通勤手当・家族手当を除きます(最低賃金法4条3項3号、各最低賃金の決定)。月給の人が最低賃金を上回っているかを確かめるときは、通勤手当を除いた額を1か月平均の所定労働時間で割って比べます。

割増賃金の基礎から除く賃金に通勤手当が入っています(労働基準法37条5項、労働基準法施行規則21条)。除外に当たるかは名称ではなく実質で判断されます。大阪労働局は、全員に一律の定額で払う住宅手当を除外できない例として挙げています。通勤手当も、距離や実費と関係なく全員に同じ額を払う部分は、割増賃金の基礎に入れて計算しておくのが無難です。

出典:大阪労働局 割増賃金の計算方法(除外賃金)

よくある勘違い

「会社には、通勤手当を払う法律上の義務がある。」

→ 通勤手当を払う義務を定めた法律はありません。ただし払うと決めたなら、パートや契約社員を理由なく外すことはできません。

「非課税の通勤手当には社会保険料がかからない。」

→ 非課税は所得税の話です。健康保険・厚生年金保険・雇用保険では、非課税の分も含めた全額が保険料の計算に入ります。

よくある質問

通勤手当はいつの給与に含めて払いますか。

法律の決まりはなく、毎月の給与と一緒に払う会社が多いです。定期代を3か月や6か月ごとにまとめて払うこともでき、非課税の上限は1か月当たりの額で比べます。

歩いて通う人にも通勤手当を払えますか。

払うこと自体は会社の自由です。ただ、所得税で非課税になるのは交通機関・有料道路・交通用具を使う人の通勤手当なので、徒歩の人に払う分は全額が給与として課税されます。

出典(確認日)

通勤手当と交通費の一般的な説明です。税金のことは税務署、社会保険のことは年金事務所、雇用保険のことはハローワークでご確認ください。個別の判断は税理士・社会保険労務士にご相談ください。