交通費は課税か非課税か
最終確認日 2026年11月1日
会社が払う交通費のうち、通勤のための通勤手当は非課税の上限まで、仕事の移動にかかる出張などの旅費は通常必要と認められる範囲で、所得税が非課税です。通勤手当で上限を超えた分は給与として課税され、源泉徴収票の支払金額には非課税の分を除いた額を書きます。在宅勤務の人が出社した日の交通費は、社会保険では労働契約上の勤務場所で扱いが分かれますが、国税庁の在宅勤務FAQにはこの問がありません(最終確認日 2026年11月1日)。
通勤手当の計算
支給日、通勤の方法、片道の距離、定期代、駐車場代から、非課税の上限とその内訳、課税される額、社会保険の報酬に入れる1か月分を出します。
通勤手当を計算する通勤手当、出張旅費、事業主の交通費の違い
国税庁 No.2508 は、給与所得にならない手当の例として、一定金額以下の通勤手当と、転勤や出張などの旅費のうち通常必要と認められるものを挙げています。同じ交通費でも、何のための移動かで根拠になる条文が違います。
| 交通費の種類 | 所得税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通勤手当(自宅と勤務先の行き来) | 非課税の上限まで非課税(電車・バスは月150,000円まで、車・自転車は片道の距離の区分) | 所得税法9条1項5号、施行令20条の2 |
| 出張・外回りの旅費 | 通常必要と認められる範囲で非課税 | 所得税法9条1項4号 |
| 個人事業主本人の移動 | 給与ではなく事業の経費(旅費交通費) | 所得税法37条 |
給与明細と源泉徴収票での書き方
給与明細では、通勤手当を非課税の分と課税の分に分けておくと、源泉徴収の計算に使う課税支給額がはっきりします。上限を超えた分は、その月の課税支給額に入れて税額を出します。
国税庁は、給与所得の源泉徴収票の支払金額の欄に、非課税とされる部分の通勤手当を除いた金額を書くと説明しています。そのため、1年分の給与明細の総支給額を足した額と、源泉徴収票の支払金額は、非課税の通勤手当の分だけ違うのが普通です。
社会保険料と雇用保険料は通勤手当の全額にかかるため、源泉徴収票の社会保険料等の金額の欄は、非課税の通勤手当にかかった保険料も含んだ額になります。
在宅勤務の人が出社した日の交通費
国税庁の在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(令和8年4月1日更新)には、出社した日の交通費についての問はありません。所得税での扱いを決めたいときは、通勤手当として払うのか、業務命令による移動の旅費として払うのかを規程で決めたうえで、税務署に確認すると確実です。
社会保険の側は日本年金機構が答えていて、その日の労働契約上の勤務場所が自宅なら、出社の実費は原則として報酬に入りません。勤務場所が事業所なら、原則として通勤手当として報酬に入ります。
消費税(仕入税額控除)での扱い
会社が従業員に払う通勤手当のうち、通勤に通常必要と認められる部分は課税仕入れとして扱われ、一定の事項を書いた帳簿だけで仕入税額控除ができます。インボイス制度のQ&A問108は、所得税の非課税の上限を超えているかどうかは問わないとしています。
出張旅費も、旅行に通常必要と認められる部分は帳簿だけで仕入税額控除ができ、その範囲は所得税で非課税になる範囲で判断します(問107-2)。
通勤手当の不正受給
よくあるのは、届け出た経路より安い経路や自転車で通う、引っ越したのに届け出ない、定期券を買わずに払い戻す、といった例です。差額を返してもらう根拠は、法律上の原因なく利益を受けた人の返還義務を定めた民法703条(不当利得)です。
懲戒にするかどうかは、就業規則の懲戒の定めによります。防ぐには、通勤届で経路と距離を確かめ、定期券の写しや駐車場の契約書を出してもらい、年に一度住所と経路を確認し直す流れを作っておきます。
差額を返してもらった通勤手当でも、すでに払った年の源泉徴収や社会保険料をどう直すかは個別の事情によります。金額が大きいときは、税務署と年金事務所に相談してから処理します。
よくある勘違い
「交通費という名目で払えば、金額に関係なく非課税になる。」
→ 通勤手当は非課税の上限まで、出張の旅費は通常必要と認められる範囲までが非課税です。名目ではなく中身と金額で決まります。
「源泉徴収票の支払金額には、非課税の通勤手当も含めて書く。」
→ 国税庁は、非課税とされる部分の通勤手当を除いた金額を支払金額の欄に書くと説明しています。
よくある質問
交通費を定額で払うと課税されますか。
通勤手当なら、定額でも非課税の上限までは非課税で、超えた分が課税です。ただし電車・バスの人の上限は実際の合理的な運賃等の額なので、運賃より多い定額を払うと差額は課税になります。
非課税の通勤手当は年末調整で何か書きますか。
年末調整の対象になる給与の総額には、非課税の通勤手当を入れません。毎月の源泉徴収で非課税として扱った額は、そのまま除いて計算します。
出典(確認日)
- 国税庁 No.2508 給与所得となるもの(2026-11-01)
- 国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当(2026-11-01)
- 国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて(令和7年11月)(2026-11-01)
- 国税庁 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(2026-11-01)
- 日本年金機構 在宅勤務・テレワークで一時的に出社する際の交通費(2026-11-01)
- 国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問108(通勤手当)(2026-11-01)
- 国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問107-2(実費精算の出張旅費等)(2026-11-01)
- e-Gov法令検索 民法(703条 不当利得の返還義務)(2026-11-01)