領収書の但し書き:何と書けばよいか
最終確認日 2026年10月15日
但し書きには、何の代金かを具体的に書きます。「お品代」だけでは中身が分からないため、「文具代として」「会議室利用料として」のように品目やサービス名を入れるのが一般的です。
但し書きは「何の支払いか」を示す一行
但し書きは、領収した金額が何に対する支払いだったのかを示す欄です。用紙には「但し__として」と印刷されていることが多く、空欄に品目を入れて「上記正に領収いたしました」と続けます。
国税庁のQ&Aに載っている手書き領収証の記載例でも、「但 飲食費として」と内容が書かれています。インボイスでは「取引内容」が記載事項の一つなので、但し書きがその役目を兼ねることになります。
「お品代」を避けたほうがよい理由
「お品代」「品代として」と書かれていても、何を買ったのかは伝わりません。受け取った会社の経理担当者には、私的な買い物ではないと確かめる手がかりが残らないのです。
経費精算の社内規程で、「お品代」の領収書を差し戻す会社もあります。税務調査で支出の中身を聞かれた場面でも、品目がはっきり書いてあれば説明に時間がかかりません。
お店の側で細かい品目まで書けないときは、「書籍代」「食料品代」のような大まかな区分でもかまいません。レシートを一緒に渡せば、明細はそちらで補えます。
業種別の但し書きの例(30例)
よく使われる書き方を業種や場面ごとに並べました。いずれも一例です。実際の取引の内容に合わせて言葉を選んでください。
寄付の受け取りは売上の代金とは性質が違うため、この表には入れていません。
| 業種・場面 | 但し書きの例 | 書くときのひと工夫 |
|---|---|---|
| 飲食店(会食) | ご飲食代として | 人数を控えに残すと精算が楽 |
| 飲食店(持ち帰り) | お弁当代として | 軽減税率の品目には印を付ける |
| 喫茶店 | コーヒー代として | 打合せなら相手先をメモ |
| ケータリング | 会議用ケータリング代として | 日付と会議名を添える |
| スーパー | 食料品代として | 8%と10%が混ざりやすい |
| 文具店 | 文具代として(ボールペン・ノート) | 主な品目を括弧で補う |
| 家電量販店 | パソコン周辺機器代として | 高額なら型番も |
| ホームセンター | 事務所用消耗品代として | 用途を一言入れる |
| 書店 | 書籍代として | 書名はレシートで補う |
| 新聞の定期購読 | 新聞購読料(10月分)として | 対象の月を書く |
| タクシー | タクシー代として | 乗車区間を控えに書く |
| 鉄道・バスの回数券 | 交通費(回数券)として | 区間を添える |
| 駐車場 | 駐車料金として | 入出庫の時刻があると明確 |
| ホテル | 宿泊費(1泊)として | 泊数を書く |
| 旅館(入湯税あり) | 宿泊費・入湯税として | 入湯税の額を括弧で示す |
| 貸会議室 | 会議室利用料として | 利用日時を括弧で示す |
| レンタルスペース | スペース利用料として | 利用日を書く |
| 名刺の印刷 | 名刺印刷代として | 枚数があると分かりやすい |
| チラシの印刷 | チラシ印刷代(1,000部)として | 部数を書く |
| 機器の修理 | 複合機修理代として | 対象機器を書く |
| 車の整備 | 車両点検整備代として | 車両番号を控えに |
| 研修・セミナー | セミナー参加費として | セミナー名を添える |
| 教室・講座 | 受講料(10月分)として | 対象の期間を書く |
| 団体の会費 | 年会費(2026年度)として | 年度を書く |
| 事務所の家賃 | 事務所家賃(11月分)として | 物件名を添えることも |
| ソフトウェア | ソフトウェア利用料として | 契約期間を書く |
| 宅配便 | 宅配便送料として | 送り先は伝票で補う |
| 写真館 | 証明写真撮影代として | 用途は書かなくてよい |
| 清掃サービス | 事務所清掃料として | 作業日を書く |
| 工事の着手金 | 〇〇工事の着手金として | 契約番号があれば添える |
品目が複数あるときのまとめ方
品目が多いときは、代表的な品目に「ほか」や「等」を付けて「文具代ほかとして」とまとめる方法があります。
ただし、軽減税率(8%)の飲食料品と10%の品目が混ざる場合、一行にまとめると税率ごとの内訳が見えなくなります。インボイスとして渡すなら、但し書きとは別に税率ごとの合計額を書く欄を設けます。
明細を書ききれないときは、「明細は納品書No.123のとおり」と書いて、その書類を添える方法もあります。国税庁は、複数の書類を合わせてインボイスの記載事項を満たす方法も認めています。
避けたい書き方
インボイス発行事業者が偽りの記載をしたインボイスを交付することは法律で禁じられ、罰則も設けられています。品目をごまかすことは、税務の面でも取引先との信用の面でも大きな問題になります。
- 空欄のまま渡す:受け取った人が何でも書き込めてしまう
- 「諸経費として」のように範囲が広すぎる言葉だけを書く
- 相手に頼まれて、実際と違う品目を書く
よくある質問
但し書きの「として」は必ず付けますか。
必須ではありません。「〇〇代として」と書くのが慣用的な形なので、用紙に印刷された文言に合わせれば十分です。
受け取った側が但し書きを書き足してもいいですか。
受け取った人が書き加えると、発行者が書いた部分と区別できなくなります。空欄に気付いたら、発行したお店に書いてもらうよう頼むのが確実です。
軽減税率の品目はどう示せばよいですか。
国税庁の記載例では、品目に「*」などの印を付け、欄外に「*は軽減税率対象」と書き添えています。
月ごとにまとめて支払いを受けたときは、どう書きますか。
「10月分顧問料として」「9月分配送料として」のように、対象の期間を入れて書きます。複数回の取引をまとめた領収書だと、受け取った側が帳簿と突き合わせやすくなります。
前払いや手付金を受け取ったときはどう書きますか。
「〇〇代の内金として」「〇〇工事の着手金として」と書き、残金を受け取るときの領収書と区別できるようにしておきます。
出典(確認日)
- 国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)(2026-10-15)
- 国税庁 インボイス制度の理解のために(令和8年4月)(2026-10-15)