有給休暇の買い取りと退職時の消化(会社の側)
最終確認日 2026年10月24日
法律で与える日数の有給休暇を、休ませる代わりにお金で買い取ることは、原則としてできません。労働局は、法定の年休を買い上げることは違法とし、法定を上回る日数を会社が独自に与えている分の買い上げは違法ではないとしています。退職前にまとめて取りたいという申し出は、退職後に変える日がないため、会社は時季変更権を使えません。
有給休暇の付与日数 計算と早見表
入社日と週の所定労働日数から、付与日・日数・時効で消える日・年5日の期限を計算します。
日数を計算する買い取りは原則としてできない
有給休暇の目的は、日ごろの業務から離れて休むことです。宮崎労働局と和歌山労働局は、買い上げる代わりに休めなくなっては意味がないため、原則として年休を買い上げることはできないとしています。
鹿児島労働局も、金銭を払っても休暇を与えたことにはならず、買い上げの予約をして請求できる日数を減らすことはできないとしています。
法定を上回る日数
和歌山労働局は、労働基準法の日数を上回って会社が独自に与えている分の買い上げは違法とはならないとしています。法定の日数を上回る特別休暇やリフレッシュ休暇などをどう扱うかは、就業規則の定めによります。
時効で消える分や、退職するときに残る分の買い上げについて、今回読んだ厚生労働省・労働局の資料には、はっきり書かれたものがありませんでした。行う場合も、休暇を取らせないための約束にならないよう、就業規則と運用を確かめます。
会社独自の特別休暇との違い
法定の有給休暇とは別に、会社が独自に設ける有給の特別休暇は、休暇の目的や取り方を会社が決められます。厚生労働省の年5日の解説は、こうした特別休暇を取った日数は、年5日の義務の5日から差し引けないとしています。
同じ解説は、時効が過ぎた後も法定の有給休暇を引き続き使えるようにしている場合のように、法定の日数に上乗せする形で与えるものは別だとしています。また、年5日の義務をきっかけに特別休暇をなくして有給休暇に振り替えることは、法改正の趣旨に沿わず、労働者にとって不利益な就業規則の変更には合理性が求められると述べています。
残ったまま退職するとき
有給休暇の権利は、退職日をもって消えます。厚生労働省は、退職間近に残りの年休を使い切りたいという申請に対し、退職で権利が消えるため時季変更権は使えず、取得を認めるほかないと説明しています。
引き継ぎが必要なときは、退職日を遅らせてもらえないか話し合う方法があります。ただし、それに応じるかどうかは労働者に任されています。
退職前の消化で会社がしておくこと
退職の申し出があったら、残日数と、それぞれが時効で消える日をすぐに確かめ、最終出勤日と退職日を本人と決めます。残日数は付与日ごとの管理簿で確認できます。
有給休暇を使い切ってから退職日を迎える場合、その期間の賃金は、就業規則で決めた有給休暇の日の賃金の計算方法で払います。
よくある勘違い
「退職時に残った有給休暇は、会社が買い取らなければならない。」
→ 買い取りの義務を定めた条文はありません。残りを退職日までに取りたいという申請には、時季変更権を使えません。
「忙しい時期の退職なら、会社は有給休暇の消化を断れる。」
→ 退職後に変える日がないため、時季変更権は使えません。
「社員が望めば、法定の有給休暇を毎年お金に換えてよい。」
→ 法定の日数の買い上げは原則としてできません。
よくある質問
退職日を会社の都合で遅らせてもらうことはできますか。
話し合うことはできますが、応じるかどうかは労働者が決めます。
有給休暇を使い切る期間の社会保険はどうなりますか。
退職日まで在籍しているので、資格を失うのは退職日の翌日です。資格喪失届の書き方は別の解説で説明しています。
出典(確認日)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件 年次有給休暇(2026-10-24)
- 和歌山労働局 主な相談内容(事業主の方へ)(2026-10-24)
- 宮崎労働局 年次有給休暇関係のQ&A(2026-10-24)
- 厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(2026-10-24)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第39条・第115条・第119条・第120条(2026-10-24)