有給休暇の繰り越しと時効
最終確認日 2026年10月24日
有給休暇は、与えた日から2年間使えて、その後は時効で消えます(労働基準法115条)。その年に使い切れなかった日数は翌年に1回だけ繰り越せるため、手元に残る日数は最大で前年分と今年分の合計、20日ずつなら40日です。繰越分と今年分のどちらを先に使うかは法律に定めがなく、就業規則の定めによります。
有給休暇の付与日数 計算と早見表
入社日と週の所定労働日数から、付与日・日数・時効で消える日・年5日の期限を計算します。
日数を計算する2年で消える仕組み
有給休暇の権利は、労働基準法115条により2年で時効になると解されており、厚生労働省は、年休が発生した日から2年間は使えると説明しています。2020年の改正で賃金の請求権の時効は延びましたが、有給休暇は2年のままです。
たとえば2026年10月1日に与えた日は、2028年9月30日まで使えます。付与日ごとに消える日が違うので、管理簿には付与日と残日数を分けて書いておきます。
繰り越せる日数の上限
繰り越せるのは前年に与えた分だけで、前々年の分は時効で消えています。通常の労働者で勤続6年6か月以上なら、前年の20日が残っていれば今年の20日と合わせて最大40日になります。
就業規則で「翌年に繰り越せない」と定めても、時効が来る前の権利は消えないと、厚生労働省は昭和23年の通達を引いて説明しています。
どちらから使うか
繰越分と今年分のどちらを先に使うかは、労働基準法に定めがありません。厚生労働省のモデル就業規則は、繰り越された年次有給休暇から取得させるという条文例を示しています。
定めがないままだと、労働者に不利な順番で消化されたと受け取られることがあります。就業規則に使う順番を書き、残日数を付与日ごとに管理するのが確実です。
数字で見る繰り越し
4月1日に入社した通常の労働者は、10月1日に10日を与えられます。翌年9月30日までに4日を使うと、残りの6日が繰り越され、翌年10月1日に与える11日と合わせて17日を使えます。
繰越分の6日は、最初に与えた日から2年後の前日にあたる翌々年9月30日を過ぎると消えます。繰越分から使う決まりなら、翌年に6日以上使えば消える日はなくなり、今年分から使う決まりだと、繰越分が消えるまでに使い切れない日が出やすくなります。
付与の計算ツールでは、入社日から付与日ごとの日数と、時効で消える前の最後の日を一覧で確かめられます。
時間単位で取った分の繰り越し
時間単位で取れるのは年5日分までで、モデル就業規則の解説は、前年からの繰越しがあってもその分を含めて5日以内としています。時間単位の残りを繰り越すときも、この5日の枠の中で扱います。
よくある勘違い
「使わなかった有給休暇は年度末で消える。」
→ 与えた日から2年間は使えます。年度末で消えるのは、2年前に与えた分です。
「就業規則で繰り越しを禁止すれば、翌年には使えなくなる。」
→ 時効の前の権利は、就業規則で繰り越しを禁止しても消えません。
「繰越分から使うことは法律で決まっている。」
→ 法律に定めはありません。就業規則で順番を決めておきます。
よくある質問
時効で消える有給休暇を会社が買い取ってもよいですか。
法定の日数を金銭で買い取ることは、原則として認められていません。買い取りの扱いは別の解説で説明しています。
退職するときに繰越分は残りますか。
退職日をもって権利が消えるため、繰越分も今年分も退職日までに使わなければ消えます。
繰越分も年5日の取得義務に数えますか。
年5日の対象になるかどうかは、その年に新しく与える日数が10日以上かで決まります。取った日は、繰越分から使っても5日に数えます。
出典(確認日)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第39条・第115条・第119条・第120条(2026-10-24)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件 年次有給休暇(2026-10-24)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月)第23条と解説(2026-10-24)
- 厚生労働省 年次有給休暇制度の概要等(2026-10-24)