就業規則の副業・兼業:届出制・許可制の記載例と、禁止の考え方
最終確認日 2026年10月17日
モデル就業規則第70条は、勤務時間外の副業・兼業を原則として認め、事前の届出で把握し、労務提供上の支障、企業秘密の漏洩、名誉・信用の毀損や信頼関係の破壊、競業の4つの場合に禁止・制限できる形です。ガイドラインは、裁判例を踏まえ原則として認める方向が適当としています。
就業規則 メーカー
モデル就業規則(令和7年12月版)を基に、労働時間・休日・賃金・副業・定年の選択から就業規則を組み立てます。10人未満版、意見書、就業規則届、育児・介護の規則もPDFで出力します。
就業規則を組み立てるモデル就業規則の第70条
第70条は、1項で労働者が勤務時間外に他の会社等の業務に従事できること、2項で事前の届出、3項で禁止・制限できる4つの場合を定めています。厚生労働省の副業・兼業のページはこの規定を「第14章第68条」と案内していますが、令和7年12月版では第70条です。
モデルの解説は、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に労働者の自由であるという裁判例を引き、副業・兼業を認めることを明示したとしています。
ガイドラインの考え方
ガイドラインは、副業・兼業を禁止したり一律に許可制にしたりしている企業に、自社の業務への支障の有無を精査し、支障がなければ労働時間以外の時間は労働者の希望に応じて原則認める方向で検討することを求めています。
制限できる場合として裁判例が認めてきたのは、労務提供上の支障、業務上の秘密の漏洩、競業による自社の利益の侵害、名誉や信用を損なう行為・信頼関係を破壊する行為がある場合です。就業規則には、原則として副業・兼業ができることと、例外的にこれらに当たる場合は禁止・制限できることを書いておく形が考えられる、とされています。
3つの記載パターン
届出制はモデルのとおりで、届出を受けて4つの場合に当たるかを確認します。許可制は、事前の申請を要件にしつつ、許可しないのは4つの場合に限ると書く形です。条件付き許可は、許可がなければ従事できないとする一方、4つの場合に当たらなければ許可すると書き、許可後に該当したら取り消せるようにします。
どの形でも、一般的には全面的な禁止は正当化しにくいと考えられています。許可制でも、理由なく不許可を続けた会社が損害賠償を命じられた裁判例があり、モデルの解説に紹介されています。
メーカーで切り替えた例
就業規則 メーカーの副業・兼業で「許可制」を選ぶと、1項が「会社の許可を得て、他の会社等の業務に従事することができる」、3項が「次の各号のいずれかに該当するときを除き、これを許可する」に変わります。4つの場合の各号は、三つのパターンで共通です。
労働時間の通算
労働基準法38条1項は、事業場を異にする場合も労働時間を通算するとしており、事業主が違う場合も含むと解されています。雇用される形の副業では、自社と副業先の労働時間を足して、法定労働時間を超える部分の割増賃金や36協定の上限を考えます。
一方、フリーランスや起業、顧問のように労働基準法が適用されない形や、管理監督者には通算はありません。届出の様式で、副業の形態、所定労働時間、所定外労働の見込みを聞いておくと、通算の要否を判断しやすくなります。自社で副業をどこまで制限できるかは、社会保険労務士か労働基準監督署に個別に相談してください。
自分で確かめる項目
- 全面禁止になっていないか。
- 制限の理由が、4つの場合のいずれかに結びついているか。
- 届出や申請の様式で、雇用か業務委託か、時間帯と時間数を把握できるか。
- 長時間労働や健康状態を確認する手順を決めているか。
よくある質問
公務員のような副業禁止を会社の就業規則に書けますか。
公務員の兼業制限は法律によるもので、会社の就業規則とは根拠が違います。会社では、裁判例上、4つの場合のような理由がない制限は認められにくいとされています。
無断で副業していた社員を懲戒できますか。
モデルの解説は、届出がなかったと分かったときは、まず届出を求めて4つの場合に当たるかを確認することが望ましいとしています。支障がない副業を理由にした懲戒解雇を無効とした裁判例もあります。
副業先の労働時間はどう把握しますか。
ガイドラインは、労働者からの申告などで把握する方法を示しています。原則的な通算方法のほか、あらかじめ上限を決める簡便な管理方法(管理モデル)もあります。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第19条・第20条・第32条・第34条〜第39条・第89条・第90条・第92条・第106条・第120条)(2026-10-17)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月)全体版PDF(2026-10-17)
- 厚生労働省 副業・兼業(2026-10-17)
- 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版)(2026-10-17)