請求書と領収書の違い:何のための書類で、いつ誰が出すか
最終確認日 2026年10月15日
請求書は支払いを求める書類で、代金を受け取る前に売り手が出します。
領収書は代金を受け取った証明で、受け取った後に売り手が出します。
紙の領収書は5万円以上で印紙税がかかりますが、請求書には一般的にかかりません。
請求書と領収書の比較
二つの書類は、同じ取引について売り手が作る点は共通しています。違うのは、取引のどの段階で、何を示すために作るかです。
| 項目 | 請求書 | 領収書 |
|---|---|---|
| 目的 | 代金の支払いを求める | 代金を受け取ったことを証明する |
| 渡す時期 | 納品やサービス提供の後、支払いの前 | 代金を受け取った後 |
| 作る人 | 売り手(代金を受け取る側) | 売り手(代金を受け取った側) |
| 印紙税(紙の場合) | 一般的にはかからない | 売上代金の受取書は5万円以上で200円から |
| インボイスになるか | 記載事項がそろえばなる | 記載事項がそろえばなる(簡易インボイスも可) |
| 保存 | 発行した側は控え、受け取った側は原本 | 発行した側は控え、受け取った側は原本 |
目的と渡すタイミングの違い
請求書は、商品を納めたり作業を終えたりした後に、代金の額と支払期日、振込先を相手に知らせるために出します。企業間の取引では、月末などで締めてまとめて出す形が多く見られます。
領収書は、現金や振込などで代金を受け取ったときに、その事実を証明するために出します。店頭で現金を受け取る取引では、請求書を出さずに領収書だけを渡すこともあります。
つまり、掛けで売る取引では「請求書が先、領収書が後」、その場で代金を受け取る取引では「領収書だけ」という流れになるのが一般的です。
印紙税の扱いの違い
紙で作る売上代金の領収書は、印紙税の第17号の1文書に当たり、5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下なら200円、100万円を超え200万円以下なら400円の印紙が必要です。
請求書は、印紙税法の課税物件表に掲げられた20種類の文書のどれにも名前がなく、一般的には印紙はいりません。ただし請求書に「済」「了」などと書いて、支払いを受けた証明として渡すと、領収書と同じ受取書として扱われます。
どちらの書類も、PDFなどの電子データで渡す場合は、電磁的記録が印紙税の文書に含まれないため、印紙は一般的には不要です。
領収書の金額から印紙税額を調べるインボイスとしての扱い
国税庁の資料では、インボイスは請求書、納品書、領収書、レシートなど、名称を問わないとされています。決められた記載事項がそろっていれば、請求書でも領収書でもインボイスになります。
掛けで売る取引では、請求書をインボイスの形で出しておけば、相手はそれを仕入税額控除のために保存できます。その場合、同じ取引について領収書をインボイスの形で重ねて出す必要は一般的にはありません。
小売店や飲食店のように不特定多数を相手にする事業では、宛名を省いた簡易インボイスとして、レシートや領収書を渡すことができます。
事務所の家賃のように契約書に基づいて毎月払い、そのつど請求書も領収書も出ない取引では、契約書と通帳の記録や振込金受取書を合わせてインボイスの記載事項を満たす方法も示されています。
振込で払ったら領収書は必要か
民法第486条では、支払う人は、支払いと引換えに受け取る人へ受取証書(領収書)の交付を求めることができると定めています。紙に代えて電子データでの提供を求めることもでき、受け取る側に不相当な負担となる場合を除きます。
つまり、求められれば売り手は領収書を出すのが原則です。一方で、実務では振込の記録が支払いの証拠として残るため、当事者の間で領収書を省くと取り決めている取引も一般的に見られます。
請求書に「お振込みの控えをもって領収書に代えさせていただきます」と書いておく方法がよく使われます。支払った側が経理や監査のために領収書を必要とするなら、振り込む前に発行を頼んでおくと行き違いを防げます。
どちらも保存が必要
請求書も領収書も、税法上は保存が必要な書類です。発行した側は控えを、受け取った側は原本やデータを、決められた期間残します。
期間は法人か個人か、消費税の課税事業者かどうかで変わります。メールで受け取ったPDFはデータのまま残すルールもあるため、詳しくは保管期間のページで確かめてください。
よくある質問
請求書を受け取ったら、領収書はもらわなくてよいですか。
請求書は支払いを求める書類なので、支払ったことの証明にはなりません。振込なら振込の記録が支払いの証拠になりますが、領収書が必要なら売り手に発行を求めることができます。
領収書を請求書の代わりに使えますか。
役割が違うため、代わりにはなりません。代金を受け取る前に領収書を渡すと、まだ払っていないのに受け取ったという記録が残ってしまうので避けてください。
請求書に「領収済」と書いて渡すとどうなりますか。
受け取った証明として渡すなら、中身は受取書なので、紙の場合は金額に応じて印紙税がかかります。売上代金なら5万円以上が対象です。
カード払いの場合、レシートとカード明細のどちらを残しますか。
仕入税額控除のためには、店が発行したレシートや領収書を残します。カード会社の利用明細は、一般的にはインボイスの記載事項を満たさないとされています。
出典(確認日)
- 国税庁 No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書(2026-10-15)
- 国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断(2026-10-15)
- 国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで(2026-10-15)
- 国税庁 質疑応答事例 取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い(2026-10-15)
- 国税庁 インボイス制度の理解のために(令和8年4月)(2026-10-15)
- e-Gov法令検索 民法(第486条)(2026-10-15)
- 国税庁 クレジットカードでの仕入れは、クレジットカード利用明細書の保存でよいですか?(2026-10-15)