業務委託契約書の簡易版(1枚で作るとき)
最終確認日 2026年10月15日
簡易版の業務委託契約書でも、業務の内容、報酬の額と支払期日、納期、成果物の権利の帰属、秘密保持、解約の方法は省けません。これらがないと、後で金額や範囲をめぐる行き違いが起きたときに確かめる手段がなくなります。反対に、不可抗力や細かな通知の手続きなどは、小さな案件なら簡潔にしても大きな問題になりにくい部分です。
業務委託契約書 メーカー
必要な項目だけを選んで、短い契約書を作れます。秘密保持を「別途NDAによる」にすると条文が短くなります。
簡易版を作る残す条項
- 業務の内容と成果物(何を、どこまでやるか)
- 報酬の額、消費税の扱い、支払期日と支払方法
- 納期と納品方法、検収の有無
- 著作権などの権利の帰属
- 秘密保持(短くても入れる)
- 中途解約の方法と予告期間
簡潔にできる条項
不可抗力、協議条項、通知の方法などは、短い文でまとめても大きな支障は出にくい部分です。損害賠償の上限や反社会的勢力の排除は、1文ずつでも入れておくと安心です。
取引が続くようになったら、簡易版を基本契約書に置き換え、案件ごとは発注書でやりとりする形に移ると管理しやすくなります。
発注書との違い
発注書は、委託者が条件を示す書面で、受託者が承諾して初めて契約になります。簡易版の契約書は双方が署名するため、合意したことがはっきり残ります。
フリーランスへの委託では、発注書でも明示事項がそろっていれば明示の書面になります。どちらを使う場合も、送った書面と相手の承諾の記録を一緒に保存しておくと、後から条件を確かめやすくなります。
簡易版でも印紙は同じ
1枚の簡易な契約書でも、請負で契約金額が書かれていれば第2号文書として印紙が必要です。電子契約なら不要です。書類の枚数や名前ではなく、記載された内容と金額で判定されます。
簡易版の構成例
- 前文:当事者と、業務を委託する旨
- 第1条 業務の内容(成果物と納期)
- 第2条 報酬と支払(金額、消費税、締日と支払日、振込)
- 第3条 権利の帰属(著作権の移転と人格権の不行使)
- 第4条 秘密保持(契約終了後も一定期間続く)
- 第5条 解約・解除と損害賠償(予告期間、上限)
- 第6条 反社会的勢力の排除と合意管轄
- 署名欄(記名押印または電子署名)
簡易版を使うときの注意
金額が大きい案件や、長期間続く案件、個人情報を扱う案件では、簡易版ではなく項目のそろった契約書を使うほうが安全です。検収の方法や契約不適合の扱いを省くと、品質をめぐる行き違いを解決する手がかりがなくなります。
フリーランスに委託する場合、明示事項(受領の期日と場所、支払期日など)が簡易版に入っているかも確かめます。
よくある質問
メールのやりとりだけでも契約になりますか。
条件に合意したことが分かれば契約は成立します。ただし、条件が散らばりやすいので、最後に条件をまとめた書面を残すのが安全です。
簡易版で損害賠償の上限を書かないと。
上限の定めがなければ、民法の原則に従い、相当因果関係のある損害を賠償することになります。
簡易版に署名欄は必要ですか。
双方の合意を示すため、記名押印か署名の欄を設けます。電子契約なら電子署名を使います。
簡易版から正式な契約書に切り替えるタイミングは。
同じ相手との取引が続くようになったとき、金額が大きくなったとき、相手が個人情報や重要な秘密を扱うようになったときが目安です。
出典(確認日)
- 国税庁 No.7102 請負に関する契約書(2026-10-15)
- e-Gov法令検索 民法(第632条 請負、第641条、第643条 委任、第644条、第651条、第656条 準委任)(2026-10-15)
- 公正取引委員会 フリーランス・事業者間取引適正化等法 パンフレット(2026-10-15)