個人事業主が赤字のときの確定申告
最終確認日 2026年10月15日
事業所得が赤字でも、確定申告をすると、給与などほかの所得と差し引き(損益通算)ができ、源泉徴収された所得税が戻ることがあります。それでも引ききれない赤字(純損失)は、青色申告なら翌年以後3年間繰り越して、その後の黒字から差し引けます。繰越しには、赤字の年に損失申告書(第四表)を付けて期限内に申告し、その後も毎年申告を続けることが必要です。
まず損益通算
事業所得の赤字は、給与所得や不動産所得などの黒字と差し引けます。会社員を辞めて開業した年に、辞める前の給与と事業の赤字を差し引けば、給与から源泉徴収されていた所得税の一部が戻ることがあります。
雑所得の赤字は、ほかの所得と差し引けません。副業の売上を事業所得として申告するか雑所得とするかで、赤字の扱いが変わります。
青色申告なら3年繰り越せる
損益通算をしても残る純損失の金額は、青色申告者なら翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年の所得から差し引けます。開業した年に300万円の赤字が出て、翌年に200万円、その翌年に200万円の黒字なら、翌年の所得は0円、その翌年は100万円になります。
特定非常災害で事業用資産に大きな損害を受けた場合などは、繰越しの期間が5年に延びる特例があります。
前年も青色なら繰戻し還付
前年も青色申告をしていた人は、繰り越す代わりに、赤字を前年の所得に繰り戻して、前年に納めた所得税の還付を受けることもできます。前年の黒字が大きく、今年が一時的な赤字のときに使える方法です。
繰戻しには、確定申告書と一緒に純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書を出します。住民税には繰戻しの制度がない点に注意します。
申告しないと繰り越せない
純損失を繰り越すには、赤字の年に確定申告書第四表(損失申告用)を付けて申告し、その後の年も連続して確定申告書を出す必要があります。赤字だから申告しなくてよいと考えて出さなかった年があると、その赤字は翌年以降に使えません。
白色申告の人は、純損失のうち変動所得の損失と被災事業用資産の損失しか繰り越せません。開業の年から赤字が見込まれるなら、青色申告承認申請書を期限までに出しておく意味があります。
開業1年目の例
3月に会社を辞めて4月に開業し、会社の給与が120万円(源泉徴収税額3万円)、事業が設備や広告の費用で150万円の赤字だったとします。給与所得と事業の赤字を差し引くと所得はなくなり、確定申告で源泉徴収された3万円が戻ります。それでも残る赤字は、青色申告なら翌年以後に繰り越せます。
よくある質問
赤字でも国民健康保険のために申告した方がよいですか。
所得の申告がないと、国民健康保険料の軽減が受けられないことがあります。所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告は確かめておきます。
繰越損失は住民税でも使えますか。
住民税でも純損失の繰越控除はあります。確定申告をすれば、その情報が市区町村に送られます。
65万円の控除で赤字を増やせますか。
青色申告特別控除は所得が限度なので、控除で赤字を作ったり増やしたりすることはできません。
出典(確認日)
- 国税庁 No.2070 青色申告制度(2026-10-15)
- 国税庁 No.2020 確定申告(2026-10-15)