給与計算のミスを見つけたときの直し方
最終確認日 2026年10月15日
払い不足は、気づいた時点で速やかに追加で払います。払いすぎは、本人に事情を説明し、返してもらう時期と方法を決めます。翌月以降の給与から差し引く場合は、本人の同意を得て、生活に支障が出ない範囲で行うのが一般的です。あわせて、源泉所得税や社会保険料の計算もやり直します。
給与明細 作成ツール
正しい金額で計算し直した給与明細と、差額を確認するための賃金台帳を作れます。
計算し直す払い不足のとき
賃金は全額を払う決まりなので、不足に気づいたら次の給与日を待たずに追加で払うのが原則です。翌月の給与に上乗せする場合も、遅れた理由と金額を本人に伝えます。
残業代の計算漏れなど同じ原因の誤りが他の人や過去の月にないかも確認します。
払いすぎのとき
払いすぎた分は、本人に返してもらうよう求めることができます。翌月以降の給与から差し引く方法は、本人の同意を得たうえで、時期や金額が合理的な範囲であれば行えるとされています。
金額が大きい場合は、分割で差し引く、別に振り込んでもらうなど、本人の生活に配慮した方法を相談します。
税金と保険料への影響
- 源泉所得税:正しい支給額で月額表を引き直し、差額を次の給与で調整するか、年末調整で精算する
- 社会保険料:標準報酬月額の決定に使う報酬に誤りがあれば、算定基礎届や月額変更届の内容も見直す
- 雇用保険料:正しい賃金額で計算し直し、差額を調整する
- 住民税:特別徴収の月額は市区町村の決定どおりなので、天引きの誤りなら次の給与で精算する
- 年末調整:源泉徴収簿の支給額と徴収税額を正しい額に直してから計算する
本人への伝え方
まず誤りがあったことを率直に伝え、正しい金額、差額、精算の方法と時期を書面やメールで示します。給与明細に精算の行を設けると、後から見ても経緯が分かります。
原因と再発防止の方法(計算の二重確認、ソフトの設定の見直しなど)も社内で記録しておきます。
ミスを防ぐ確認の仕組み
毎月の確認では、前月と比べて支給額や控除額が大きく変わった人、入社・退職・昇給のあった人、残業時間の多い人を重点的に見ます。料率の改定月や算定基礎届の結果を反映する月は、特に誤りが出やすい時期です。
計算と確認を別の人が行う、勤怠の締めと給与の計算の間に確認の日を設けるなど、手順の中に確認を組み込んでおくと、ミスが本人に届く前に気づけます。
よくある質問
退職した人への過払いに気づいたら。
給与から差し引くことはできないので、事情を説明して振込で返してもらうよう依頼します。
何年前までさかのぼって払う必要がありますか。
賃金の請求権の時効は当分の間3年とされています。原因が分かった範囲で、正しい額との差を確認します。
年末調整の後に誤りが見つかったら。
翌年1月末までなら年末調整をやり直せます。それ以降は、本人が確定申告で精算するなどの方法になります。
社会保険料の控除を間違えていた場合は。
正しい保険料との差額を、翌月以降の給与で調整するのが一般的です。会社が納めた保険料自体に誤りがあれば、年金事務所に相談します。
ミスを見つけたことを全社員に知らせる必要はありますか。
影響を受けた本人に個別に伝えれば足ります。給与の内容は個人情報なので、関係のない人に共有しないよう注意します。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第12条 平均賃金、第24条 賃金の支払、第39条 年次有給休暇)(2026-10-15)
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(2026-10-15)
- 日本年金機構 定時決定(算定基礎届)(2026-10-15)