役員報酬とは(費用の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
役員報酬は、取締役や監査役など法人の役員に払う給与を記録する勘定科目です(費用)。法人だけが使い、損金にするには法人税法34条の定期同額給与などの形で払う必要があります。
損金になる役員報酬の3つの形
法人税法34条1項は、役員給与のうち損金にできるものを、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与の3つとしています。毎月同じ額を払う定期同額給与が、中小法人で最もよく使われる形です。
事前確定届出給与は、役員への賞与のように決まった時期に決まった額を払うもので、税務署への届出が必要です。届出の期限は、株主総会などの決議の日から1か月を経過する日と、会計期間の開始から4か月を経過する日のうち早い日です。
額を変えられる時期
定期同額給与の額を変えるのは、原則として会計期間の開始から3か月を経過する日までです(法人税法施行令69条1項1号イ)。3月決算の会社なら、4月から6月の株主総会で決めて改定するのが一般的な流れです。
途中で額を上げると、上げた部分は損金になりません。業績が大きく悪化したなどの事情がある場合の減額は認められることがあります。改定の決議は議事録に残します。
役員報酬の仕訳例
役員報酬も従業員の給料と同じく、源泉所得税、住民税、社会保険料の本人負担分を差し引いて払い、差し引いた額は預り金にします。下の例は月額40万円で、差し引く額は仮の数字です。
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 月額40万円を振り込んだ | 役員報酬 400,000円 | 預り金 93,000円、普通預金 307,000円 | 対象外 |
| 翌月に預り金を納めた | 預り金 93,000円 | 普通預金 93,000円 | 対象外 |
消費税の区分
給与は雇用契約などにもとづく労務の対価で、消費税法基本通達11-1-2により課税仕入れになりません。役員報酬も同じく対象外です。役員に払う通勤手当は課税仕入れになるので、旅費交通費などで分けて記帳します。
個人事業主には使えない科目
個人事業主が自分に払うお金は、経費にならず事業主貸になります。生計を一にする家族に払う給与は原則として必要経費になりませんが、青色事業専従者給与の届出をすれば、届け出た範囲で経費にできます。
関連する科目
- 給料手当:従業員への給与
- 預り金:差し引いた税金と社会保険料
- 法定福利費:会社が負担する社会保険料
よくある勘違い
「業績が良い月は役員報酬を増やして利益を調整できる」
→ 期の途中で増やした部分は損金になりません。額を変えられるのは、原則として期首から3か月以内の改定に限られます。
「役員報酬は払わなくても損金にできる」
→ 損金になるのは実際に払う額や未払として確定した額です。決めた額を払わずに済ませると、未払の扱いや改定の扱いを問われることがあります。
よくある質問
役員報酬を0円にできますか。
できます。設立直後で利益が見込めないときなどに0円とする例もあります。その場合も、決めた内容は議事録に残します。
役員報酬と役員賞与は同じ科目ですか。
分けて記帳するのが一般的です。賞与は事前確定届出給与の届出がないと損金にならないため、科目を分けておくと申告書の別表で確かめやすくなります。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 法人税法(34条・52条・55条・66条)(2026-10-31)
- e-Gov法令検索 法人税法施行令(28条・29条・31条・69条)(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)(2026-10-31)
- 国税庁 消費税法基本通達 11-1-2(給与等を対価とする役務の提供)(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(2026-10-31)