解雇の種類と手続き(会社の側)
最終確認日 2026年10月24日
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められなければ無効です(労働契約法16条)。そのうえで会社は、少なくとも30日前に予告するか、足りない日数分の平均賃金(解雇予告手当)を払う必要があります(労働基準法20条)。業務上のけがの休業中や産前産後の休業中とその後30日間は解雇できず、懲戒解雇でも予告を省くには労働基準監督署長の除外認定が要ります。
解雇予告手当の計算
直前3か月の賃金と予告日・解雇日を入れると、平均賃金と手当の額、支払う時期を表示します。
手当を計算する解雇の種類
法律に解雇の種類の定義はありませんが、一般に、勤務成績の不良や能力不足など労働者の側の事情による普通解雇、経営上の理由で人員を減らす整理解雇、懲戒の事由に当たる行為を理由とする懲戒解雇に分けて呼ばれます。厚生労働省のモデル就業規則も、懲戒解雇の事由とは別に、普通解雇の事由を「解雇」の条に定めています。
どの種類でも、まず労働契約法16条の合理的な理由と相当性が問われます。有期契約の期間の途中の解雇は、やむを得ない事由がなければできず(同法17条)、期間の定めのない契約の解雇より厳しく判断されると厚生労働省は説明しています。
整理解雇の4つの事項
整理解雇について、厚生労働省は、人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、解雇手続の妥当性の4つの事項が厳しく判断されると説明しています。手続の妥当性では、労働組合や労働者に、解雇の必要性や時期、規模、方法を説明し、協議することが挙げられています。
これは裁判例で示された判断の枠組みで、法律の条文にあるものではありません。配置転換や希望退職の募集で解雇を避けられないか、対象者を選ぶ基準が客観的か、といった点を、記録に残しながら進めることになります。
30日前の予告と解雇予告手当
解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払います。予告の日数は、平均賃金を払った日数だけ短くできます(労働基準法20条1項・2項)。厚生労働省のリーフレットは、予告した日は日数に数えず、3月31日付けの解雇なら遅くとも3月1日に予告すると例を示しています。
予告をしないときは、解雇と同時に30日分以上の平均賃金を払います。予告も手当もない即時解雇について、長崎労働局は、即時の解雇としては無効で、会社が即時解雇にこだわらなければ、通知から30日が過ぎたときか手当を払ったときのどちらか早いときに効力が生じると説明しています。
手当の額は、解雇を通告した日を算定事由発生日とする平均賃金に、足りない日数を掛けて出します。平均賃金は銭未満を切り捨て、手当は50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げます(石川労働局の解説)。
解雇予告除外認定と、予告がいらない人
天災事変その他やむを得ない事由で事業が続けられなくなった場合と、労働者の責めに帰すべき事由で解雇する場合は、予告も手当も要りませんが、事前に労働基準監督署長の認定を受けます(20条1項ただし書・3項)。申請は、事業の継続が不可能な場合は様式第2号、労働者の責めに帰すべき事由の場合は様式第3号を使います(労働基準法施行規則7条)。
日日雇い入れる人、2か月以内の期間を定めた人、季節的業務で4か月以内の期間を定めた人、試用期間中の人には、予告の規定が適用されません(21条)。ただし、日日雇いで1か月を超えて続けて使った場合、期間を定めた人をその期間を超えて使った場合、試用期間中の人を14日を超えて使った場合は、予告が必要になります。
解雇できない期間
業務上のけがや病気の療養で休業する期間とその後30日間、産前産後の休業期間とその後30日間は、解雇できません(労働基準法19条)。通勤中のけがや私傷病による休業は、この条文の対象ではありません。
例外は、打切補償を払う場合と、天災事変などで事業の継続が不可能になり労働基準監督署長の認定を受けた場合です。
解雇理由証明書と、手当を支払わない場合
労働者が解雇の理由の証明書を請求したら、会社は遅滞なく交付します。予告をした日から退職の日までの間の請求も同じで、労働者が請求しなかった事項は書けません(労働基準法22条)。
予告も手当もないまま解雇すると、20条の違反になります。モデル就業規則の解説も、労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合は手当を支給しなければならないとしています。懲戒解雇だからといって、手当を払わなくてよいわけではありません。
解雇予告手当の所得税と勘定科目
解雇予告手当は、所得税では給与ではなく退職手当等(退職所得)に当たります(所得税基本通達30-5)。「退職所得の受給に関する申告書」を受け取っていれば退職所得控除を使って源泉徴収し、受け取っていなければ支払額の20.42%を源泉徴収します。
会計の勘定科目に決まりはなく、退職金と同じ科目や給与手当にまとめる例が一般的です。パートやアルバイトでも、予告の規定は同じように適用されます。
よくある勘違い
「懲戒解雇なら、予告も手当もなしで即日解雇できる。」
→ 予告も手当もなしにできるのは、事前に労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けた場合です。
「30日前に予告すれば、どんな理由でも解雇できる。」
→ 予告は手続きの決まりです。理由が客観的に合理的でなく、社会通念上相当でなければ、解雇は無効です(労働契約法16条)。
「解雇予告手当は給与として源泉徴収する。」
→ 所得税では退職手当等です(所得税基本通達30-5)。
よくある質問
予告日数は土日も数えますか。
数えます。予告した日の翌日から、休日も含めて数えます(長崎労働局の解説)。
予告期間中も賃金を払いますか。
払います。厚生労働省のリーフレットは、予告期間中に働いた日や年次有給休暇を取った日の賃金を払う必要があるとしています。
出典(確認日)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(2026-10-24)
- 労働契約法(e-Gov法令検索)(2026-10-24)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)(2026-10-24)
- 厚生労働省 労働契約の終了に関するルール(2026-10-24)
- 厚生労働省 リーフレット 労基法20条(解雇の手続き)(2026-10-24)
- 長崎労働局 労働法の基礎講座 第48回(解雇の予告)(2026-10-24)
- 石川労働局 平均賃金の計算(2026-10-24)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月)(2026-10-24)
- 国税庁 所得税基本通達 法第30条《退職所得》関係(30-5 解雇予告手当)(2026-10-24)
- 国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(2026-10-24)