懲戒解雇と諭旨解雇(会社の側)
最終確認日 2026年10月24日
懲戒解雇は、懲戒の事由に当たる行為を理由に、懲戒処分として行う解雇で、懲戒の中で最も重い処分です。懲戒としての合理性と相当性(労働契約法15条)と、解雇としての合理性と相当性(同法16条)の両方が問われます。諭旨解雇は法律の言葉ではなく、会社の就業規則で定める処分の名前です。どちらでも、予告をしないなら解雇予告手当を払うか、労働基準監督署長の除外認定を受けます。
懲戒処分通知書の作成
処分の種類と事実、就業規則の条を入れると、通知書と弁明の機会の通知を作り、減給の上限も確かめます。
通知書を作る懲戒解雇と諭旨解雇の違い
モデル就業規則の第67条は、懲戒解雇を「予告期間を設けることなく即時に解雇する」処分としています。厚生労働省のリーフレットは、懲戒解雇を、一般的に労働者に非があって会社の定めた懲戒事由に当たることを理由とする解雇と説明しています。
諭旨解雇は、法律にもモデル就業規則にも定義がありません。一般には、本人に退職届の提出を勧め、応じれば退職、応じなければ懲戒解雇とする処分として、懲戒解雇より一段軽く扱う会社が多いようです。会社によって内容が違うため、就業規則にその手順と効果を書いておく必要があります。
できる場合とできない場合の考え方
懲戒解雇は、懲戒の規制(労働契約法15条)と解雇の規制(同法16条)の両方を受けると、中央労働委員会の調整事例の解説は整理しています。まず就業規則の懲戒解雇事由に当たる事実があるか、次にその事実が企業の秩序を乱すものか、最後に最も重い懲戒解雇を選ぶことが社会通念上相当か、という順に判断されます。
相当かどうかは、行為の重さと処分の重さの釣り合い、過去の同じような例との平等、就業規則の手続きと弁明の機会が守られたかで判定されるとされています。モデル就業規則も、情状によっては普通解雇や減給、出勤停止にとどめることがあると定めています。
解雇予告手当と除外認定
懲戒解雇でも、予告も手当もなしに即時に解雇するには、労働者の責めに帰すべき事由について、事前に労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けます(労働基準法20条1項ただし書・3項、施行規則の様式第3号)。認定を受けなければ、30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いが要ります。
認定は、懲戒解雇が有効かどうかを決めるものではなく、予告の手続きを省けるかどうかだけを判断するものです。
退職金の扱い
退職金を払うかどうか、減らすかどうかは、退職金規程の定めによります。退職手当の定めをする会社は、支給の範囲や計算方法を就業規則に書く必要があり(労働基準法89条3号の2)、懲戒解雇や諭旨解雇のときに不支給や減額とするなら、その条件を規程に書いておきます。
規程にどう書いてあるかと、実際の事案に当てはまるかは別の問題です。個別の事案は、社会保険労務士や弁護士に相談してください。
普通解雇との違いと、離職票の重責解雇
普通解雇は、能力不足や勤務成績の不良など、懲戒の処分としてではなく行う解雇です。モデル就業規則は、懲戒解雇の事由に当たる場合でも、情状によって第53条の普通解雇とすることがあると定めており、どちらを選ぶかは処分の重さの問題になります。
雇用保険の離職票では、本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇を重責解雇と呼び、失業給付に給付制限がつくことがあります。これは雇用保険の区分で、会社の就業規則の懲戒解雇と同じ意味ではありません。
よくある勘違い
「懲戒解雇なら、解雇予告手当も退職金も払わなくてよい。」
→ 予告手当を省くには除外認定が要り、退職金の扱いは退職金規程の定めによります。
「諭旨解雇は法律で決まった処分だ。」
→ 法律にもモデル就業規則にも定義はありません。会社の就業規則で定める処分です。
「除外認定を受ければ、懲戒解雇は有効になる。」
→ 認定は予告の手続きを省けるかどうかの判断で、解雇の有効性は労働契約法15条・16条で判断されます。
よくある質問
懲戒解雇の前に、自宅待機を命じることはできますか。
調査のための自宅待機を命じる会社はありますが、法律に定めはありません。会社の都合による休業として扱うときは、休業手当(平均賃金の60%以上)が問題になります。
諭旨解雇で退職届を出したら、自己都合退職になりますか。
離職理由は、最終的にハローワークが事実をもとに判断します。会社の処分名だけで決まるものではありません。
出典(確認日)
- 労働契約法(e-Gov法令検索)(2026-10-24)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(2026-10-24)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月)第67条・第68条と解説(2026-10-24)
- 中央労働委員会(厚生労働省) 個別労働紛争の調整事例 懲戒解雇の有効性(2026-10-24)
- 厚生労働省 リーフレット 労基法20条(解雇の手続き、Q1 懲戒解雇)(2026-10-24)