純資産とは(内訳と債務超過、元入金との関係)
最終確認日 2026年10月31日
純資産は、資産 − 負債 で求める、会社の財産のうち返さなくてよい部分です。例のA社は資産2,800万円 − 負債1,800万円 = 1,000万円で、資本金300万円と繰越利益剰余金700万円からなります(会社計算規則76条)。
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純資産の内訳
会社計算規則76条は、株式会社の純資産の部を、株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権に分けています。株主資本は、資本金、新株式申込証拠金、資本剰余金(資本準備金とその他資本剰余金)、利益剰余金(利益準備金とその他利益剰余金)、自己株式の控除で構成されます。
小さな会社では、資本金と、その他利益剰余金の中の繰越利益剰余金だけということがよくあります。株主から払い込まれたお金が資本金、会社が稼いで残した利益が繰越利益剰余金です。
マイナス(債務超過)の意味
赤字が続いて繰越利益剰余金のマイナスが資本金などを上回ると、純資産の合計がマイナスになります。これが債務超過で、資産をすべて売っても負債を返しきれない状態を表します。
債務超過でも、手元の資金が回っていれば事業は続けられます。ただ、金融機関の審査や取引先の与信で不利になりやすいので、利益で純資産を戻す計画や、増資・役員借入金の扱いの見直しを考えます。
固定比率
固定比率は、固定資産 ÷ 純資産 × 100 で、建物や設備などの長く使う資産を、返さなくてよいお金でどれだけまかなっているかを示します。A社は固定資産800万円 ÷ 純資産1,000万円で80%です。純資産がマイナスのときは、この比率は意味を持たなくなります。
個人事業主の元入金との関係
個人事業主の貸借対照表では、純資産にあたるのが元入金と、その年の青色申告特別控除前の所得金額、事業主借から事業主貸を引いた差額の合計です。例のBさんは、元入金280万円、控除前の所得240万円、事業主借10万円、事業主貸160万円です。
翌年の期首には、これらがまとめて新しい元入金になります。生活費を事業のお金から多く出すと事業主貸が増え、その分翌年の元入金は小さくなります。
純資産の増え方と減り方
純資産は、当期純利益が出れば増え、当期純損失が出れば減ります。配当や自己株式の取得でも減り、増資では増えます。この1年の動きをまとめたのが、会社の決算書の一つである株主資本等変動計算書です(会社計算規則96条)。
決算書を何年分か並べ、純資産がどう動いたかを見ると、利益の積み上げで増えているのか、増資で増えたのかが分かります。
よくある勘違い
「純資産は会社が持っている現金の額だ」
→ 純資産は資産と負債の差額で、現金の残高とは別のものです。在庫や設備、売掛金の形になっている部分も含みます。
「資本金が大きい会社は純資産も大きい」
→ 赤字が続けば繰越利益剰余金がマイナスになり、資本金が大きくても純資産が小さい、あるいはマイナスということがあります。
よくある質問
純資産と自己資本は同じですか。
小さな会社では区別せずに使われることが多い言葉です。純資産のうち新株予約権などを除いたものを自己資本と呼ぶこともあります。
配当すると純資産はどうなりますか。
配当した額だけ繰越利益剰余金が減り、純資産も減ります。利益準備金への積立ては純資産の中での振替です。
自分の会社の債務超過の解消を考えるときは。
増資や借入金の扱いは税金や登記に関わるので、税理士または税務署、司法書士に相談して進めます。
純資産は貸借対照表のどこにありますか。
右側の負債の部の下が純資産の部で、その合計の行が純資産合計です。負債と純資産の合計は、左側の資産合計と同じ額です。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 会社計算規則(59条・73条〜76条・88条〜94条・96条)(2026-10-31)
- 国税庁 令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方(2026-10-31)