繰越利益剰余金とは(純資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
繰越利益剰余金は、会社がこれまでに稼いだ利益のうち、配当などで社外に出さずに残っている分を記録する勘定科目です(純資産)。法人だけが使い、決算のたびに当期純利益が加わり、赤字なら減ります。
貸借対照表のどこにあるか
会社計算規則76条は、純資産の部を株主資本などに分け、利益剰余金を利益準備金とその他利益剰余金に分けるとしています。繰越利益剰余金は、その他利益剰余金の中に置かれる科目で、実務で一般に使われている名前です。
資本金や資本剰余金が株主から払い込まれたお金なのに対し、繰越利益剰余金は会社が自分で稼いで残したお金を表します。銀行が融資の審査で自己資本の厚さを見るときにも注目される項目です。
繰越利益剰余金の仕訳例
会計ソフトでは、決算を締めると当期純利益が自動で繰越利益剰余金に振り替わるので、手で入力することは少ない科目です。配当をするときは、会社法445条4項により、配当額の10分の1を資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで積み立てます(4分の1の基準は会社計算規則22条)。
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 決算で当期純利益200万円を振り替えた | 損益 2,000,000円 | 繰越利益剰余金 2,000,000円 | 対象外 |
| 50万円の配当を決め、1割を利益準備金にした | 繰越利益剰余金 550,000円 | 未払配当金 500,000円、利益準備金 50,000円 | 対象外 |
マイナスになったとき
赤字が続いて繰越利益剰余金がマイナスになることを、繰越欠損の状態といいます。純資産の合計までマイナスになると債務超過で、借入や取引の審査で不利になることがあります。
法人税の繰越欠損金は、税金の計算上の赤字を翌期以降に繰り越す仕組みで、繰越利益剰余金の額とは一致しません。両者は別の数字として確かめます。
個人事業主では
個人事業主には繰越利益剰余金がありません。毎年の利益は元入金に組み入れられ、翌年の期首の元入金として引き継がれます。消費税の区分もない科目です。
関連する科目
- 資本金:株主が払い込んだお金
- 利益準備金:配当のときに積み立てる準備金
- 元入金:個人事業主の純資産
よくある勘違い
「繰越利益剰余金の額だけ会社にお金がある」
→ 利益の積み上がりを表す数字で、預金の残高とは一致しません。在庫や売掛金、設備に形を変えていることもあります。
「繰越利益剰余金がマイナスだと法人税はかからない」
→ 法人税はその期の所得で計算します。繰越利益剰余金がマイナスでも、その期に所得が出れば税金がかかることがあります。
よくある質問
前期の利益の修正はどこで記帳しますか。
中小企業では、前期損益修正としてその期の損益に計上する方法が一般的です。金額が大きいときは税理士に扱いを確かめます。
合同会社でも同じ科目を使いますか。
使います。株式会社と同じく、利益の積み上がりを繰越利益剰余金として純資産に表示します。
繰越利益剰余金を資本金に組み入れられますか。
会社法の手続き(株主総会の決議など)を踏めば、剰余金を資本金に組み入れることができます。登記の変更も必要です。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 会社計算規則(22条・76条)(2026-10-31)
- e-Gov法令検索 会社法(445条・911条)(2026-10-31)
- 中小企業庁 中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)(2026-10-31)