事業主貸とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
事業主貸は、事業用の口座や現金から、生活費や所得税・住民税など事業と関係のない支払をしたときに記録する勘定科目です(資産)。個人事業主だけが使い、法人では使いません。
事業主貸を使う場面
国税庁の青色申告決算書の書き方は、事業主貸に入るものとして、生活費その他の家事上の費用や所得税、住民税などを挙げています。国民健康保険料や国民年金保険料、生命保険料のように、事業の経費ではなく確定申告の控除で扱う支払もここに入ります。
家事按分で事業に使わなかった部分を、事業用口座から払った場合も事業主貸です。事業のための支出と私的な支出が一度に引き落とされたときは、仕訳を分けて記録します。
事業主貸の仕訳例
事業主貸は経費ではないので、利益(所得)は減りません。消費税の区分も付けず、対象外として扱います。
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 事業用口座から生活費20万円を引き出した | 事業主貸 200,000円 | 普通預金 200,000円 | 対象外 |
| 事業用口座から住民税3万円を払った | 事業主貸 30,000円 | 普通預金 30,000円 | 対象外 |
| 電気代2万円のうち6割が事業分 | 水道光熱費 12,000円、事業主貸 8,000円 | 普通預金 20,000円 | 水道光熱費は課税仕入10% |
年末の残高と翌年の扱い
年末の事業主貸の残高は、青色申告決算書の貸借対照表で資産の部の最後の行に書きます。翌年の期首には残高を0にし、その額を元入金に組み入れます。翌年の帳簿は、事業主貸も事業主借も0から始まります。
法人ではどうなるか
法人の口座から社長の生活費を出すと、事業主貸ではなく役員への貸付金や役員報酬の扱いになり、税金の計算にも影響します。法人の帳簿では、会社のお金と個人のお金を分けて管理することが前提です。
関連する科目
- 事業主借:個人のお金を事業に入れたとき
- 元入金:年末に事業主貸・事業主借の残高を組み入れる純資産
- 家事按分:私的な部分は事業主貸
よくある勘違い
「事業主貸が多いと税金が増える」
→ 事業主貸は経費でも売上でもないので、所得の額は変わりません。生活費を引き出しても税額には影響しません。
「国民健康保険料は事業の経費にできる」
→ 事業の経費にはならず、事業用口座から払ったら事業主貸です。確定申告の社会保険料控除で差し引きます。
よくある質問
事業主貸と事業主借を相殺してもよいですか。
期中は分けて記帳します。年末にはどちらも元入金に組み入れられるので、結果として相殺されたのと同じになります。
家族への生活費の仕送りも事業主貸ですか。
事業用口座から出したなら事業主貸です。事業とは関係のない支出は、相手や目的にかかわらずこの科目になります。
事業用の商品を自分で使いました。
家事消費として売上に計上し、相手科目を事業主貸にします。金額は、仕入値を下回らず、ふだんの販売価格に近い額とするのが一般的な扱いです。
事業主貸の残高が大きくても問題ありませんか。
生活費を事業用口座から出している結果なので、残高の大小そのものは問題ではありません。ただし経費と私的な支出の区別が付いているかは確かめておきます。
事業用口座と生活用口座は分けるべきですか。
法律の義務ではありませんが、分けておくと事業主貸の仕訳が減り、通帳と帳簿の照合も楽になります。
出典(確認日)
- 国税庁 令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方(2026-10-31)
- 国税庁 所得税青色申告決算書(一般用)令和7年分 様式(2026-10-31)
- 国税庁 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)(2026-10-31)