BridgeInvoice

免税事業者と取引するとき:請求書の扱いと値引き交渉の注意

最終確認日 2026年10月15日

まず、よくある答え

免税事業者との取引は続けられます。インボイスがない分は経過措置で一部を控除でき、価格の見直しは相手と協議して決めるのが前提です。

インボイスがない請求書はどう扱うか

取引先が免税事業者だと、受け取る請求書に登録番号がなく、インボイスになりません。原則課税で申告する会社は、その仕入れの消費税分を全額は控除できなくなります。

ただし、すぐにゼロになるわけではありません。一般的には経過措置により、令和8年10月1日から令和10年9月30日までの取引は仕入税額相当額の70%を控除できます。その後は50%、30%と下がり、令和13年9月30日で終わります。

受け取った請求書は、登録番号がなくても保存が必要です。作成者の名称、取引日、内容、税率ごとの税込金額、自社の名称が書かれているか確認しておきましょう。

経過措置の割合と帳簿の書き方

出典:国税庁 Q&A 問113(令和8年4月改訂)

経過措置の計算例

毎月税込33万円の外注費を、免税事業者のデザイナーに払っている会社を例にします。消費税等相当額は33万円×10/110で、月3万円です。

相手がインボイスを出す登録事業者なら、3万円全額を控除できます。免税事業者のままなら、令和8年10月からの70%で2万1,000円の控除となり、差額の9,000円が会社の負担増です。年間では10万8,000円になります。

同じ取引が令和10年10月以降なら50%で月1万5,000円、令和12年10月以降は30%で月9,000円の控除となり、負担増は少しずつ大きくなります。

税込33万円・税率10%の外注費(消費税等相当額3万円)の場合の一般的な目安
取引の時期控除割合月の控除額月の負担増
令和8年9月まで80%24,000円6,000円
令和8年10月から令和10年9月70%21,000円9,000円
令和10年10月から令和12年9月50%15,000円15,000円
令和12年10月から令和13年9月30%9,000円21,000円

値引きを求めるときに気をつけること

控除が減る分を理由に、取引価格を見直したいと考える会社もあります。公正取引委員会などの関係省庁によるQ&Aは、取引条件の見直し自体は直ちに問題になるものではないとしています。

一方で、免税事業者は交渉力で不利になりやすいため、やり方によっては独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たるおそれがあるとされています。Q&Aでは、たとえば次のような行為が挙げられています。

出典:公正取引委員会 免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A(令和8年1月30日改正)

取適法(旧 下請法)の対象になる取引

下請法は改正され、令和8年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(中小受託取引適正化法、通称 取適法)として施行されています。

取適法の対象となる取引では、Q&Aによると、代金の減額、買いたたき、受領拒否や返品、購入・利用の強制、不当な経済上の利益の提供要請が問題となり得ます。インボイスがないことを理由に一方的に支払額を差し引くのは、代金の減額に当たるおそれがあります。

対象になるのは、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託のうち、委託する側と受ける側の規模が法律の基準に当たる取引です。判断に迷うときは、公正取引委員会の相談窓口を使えます。

出典:公正取引委員会 中小受託取引適正化法(取適法)関係

取引先に登録をお願いしてもよいか

取引先に課税事業者になって登録するよう求めること自体は、Q&A上、問題とされていません。

ただし、「登録しなければ価格を下げる、それにも応じなければ取引を打ち切る」と一方的に通告することは、独占禁止法上または取適法上の問題となるおそれがあると示されています。

お願いする場合は、登録した場合の相手の負担(消費税の申告と納税)も含めて話し合い、価格をどうするかを協議で決めるのが一般的な進め方です。相手が登録を選ぶときは、2割特例や3割特例で負担を抑えられる場合があることも伝えると話がまとまりやすくなります。

インボイス登録のやり方と考え方2割特例・3割特例

よくある質問

免税事業者は消費税分を価格に含めて請求してよいのですか。

Q&Aは、免税事業者も自分の仕入れで支払った消費税分を請求価格に織り込む必要があると述べています。価格は双方の協議で決めるものです。ただし登録番号のない請求書はインボイスではないため、受け取った側の控除は経過措置の範囲になります。

取引先が登録したかどうか、どう確かめますか。

相手から登録番号を聞き、国税庁の公表サイトで照合します。複数の取引先をまとめて確認するなら、番号検索の一括確認が便利です。

相談できる公的な窓口はありますか。

取引条件の問題は公正取引委員会、インボイスの税務上の扱いは国税庁の電話相談センターや税務署が窓口です。

出典(確認日)

あわせて使える早見表・計算ツール(そろばんノート)

一般的な情報です。個別の判断は税理士・社労士などにご相談ください。