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インボイスの少額特例:1万円未満の仕入れはインボイスなしで控除できる?

最終確認日 2026年10月15日

まず、よくある答え

売上規模が一定以下の事業者なら、税込1万円未満の仕入れはインボイスがなくても帳簿の記載だけで仕入税額控除ができます。令和11年9月30日までの取引が対象です。

対象になる事業者

少額特例を使えるのは、基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者です。基準期間で超えていても、特定期間の課税売上高が5,000万円以下なら対象になります。

基準期間は、個人事業者なら前々年、法人なら前々事業年度が原則です。特定期間は、個人事業者なら前年の1月1日から6月30日まで、法人なら前事業年度の最初の6か月です。

特定期間で判定するとき、納税義務の判定のように給与の支払額で代えることはできません。売上高で判断する点に注意してください。

出典:国税庁 少額特例の概要

対象になる期間と取引

対象は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う、税込1万円未満の課税仕入れです。

令和11年10月1日以後の仕入れは、課税期間の途中であっても少額特例を使えません。決算期が10月をまたぐ法人は、同じ事業年度の中で扱いが変わるため、会計ソフトの設定日を確かめておきましょう。

相手が登録事業者か免税事業者かは関係ありません。インボイスを発行しない店や個人から買ったものでも、1万円未満なら帳簿だけで全額の控除ができます。

1万円未満かどうかの判定

判定は、商品1点ごとの金額ではなく、1回の取引の合計額(税込み)で行います。

たとえば5,000円の品と7,000円の品を同じ会計で買えば合計12,000円となり、少額特例の対象外です。一方で、月末に届くまとめ請求書の合計額で判定するわけではなく、一般的には納品書や請求書が交付される取引ごとに判定します。

わざと会計を分けて1万円未満にするのは、取引の実態と合わない処理になりかねません。一般的には、実際の取引単位どおりに記帳するのが基本です。

国税庁 Q&A 問112の例をもとに作成
例判定
文具3,000円と用紙4,000円を同じレシートで購入(合計7,000円)対象
5,000円と7,000円の商品を同時に購入(合計12,000円)対象外(インボイスが必要)
1回8,000円のクリーニングを月に2回、それぞれ請求・精算1回ごとに判定するので対象
月額100,000円の清掃業務(月12日稼働)1万円以上の取引なので対象外

出典:国税庁 Q&A 問112 1万円未満の判定単位

帳簿に書くこと

少額特例を使う仕入れでも、帳簿には通常の記載事項(相手の氏名又は名称、取引日、内容、支払額)を書きます。

経過措置と違い、「少額特例の対象」といった表示や、相手の住所の記載は必要ありません。国税庁の資料でも、特例の対象となる旨の記載は不要とされています。

レシートや領収書を受け取った場合は、保存しておくと記帳の裏付けになります。保存が控除の要件ではないものの、取引の内容を説明する資料として役立ちます。

出典:国税庁 インボイス制度の理解のために(令和8年4月)

経過措置・返還インボイスとの違い

経過措置は、インボイスのない仕入れについて仕入税額の一部(令和8年10月からは70%)だけを控除する仕組みです。少額特例は、1万円未満なら全額を控除できる点が大きく異なります。

また、売上げの値引きや返品で返還インボイスを渡すとき、税込1万円未満なら交付義務が免除されます。こちらは売る側の話で、事業規模に関係なく使えます。名前が似ているので混同しないようにしましょう。

経過措置(70%控除)の詳細インボイスの記載事項

よくある質問

簡易課税を選んでいても少額特例は必要ですか。

簡易課税や2割特例・3割特例で申告する場合は、仕入れの請求書の保存がそもそも求められません。少額特例は、原則課税(本則課税)で申告する事業者のための仕組みです。

1億円を超えた年は使えますか。

その課税期間の基準期間の課税売上高が1億円を超え、特定期間でも5,000万円を超える場合は使えません。年ごとに判定し直します。

出張の交通費も少額特例ですか。

3万円未満の公共交通機関の運賃など、もともと帳簿だけで控除できる取引もあります。少額特例とは別のルールなので、どちらに当たるか確認してください。

出典(確認日)

一般的な情報です。個別の判断は税理士・社労士などにご相談ください。