支払手形とは(負債の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
支払手形は、仕入などの代金を約束手形で払ったとき、期日にその金額を払う義務を記録する勘定科目です(負債)。個人事業主と法人のどちらも使いますが、取適法の対象になる取引では2026年1月から手形での支払が禁止されています。
支払手形を取り巻く変化
公正取引委員会は、取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)の施行で、2026年1月1日以後に発注した分について手形による支払が禁止されたと案内しています。電子記録債権を使う場合も、発注書に書くべき事項が増えています。
全国銀行協会は、電子交換所での手形・小切手の交換を2027年3月31日で終えると公表しています。手形で払っている取引先がある場合は、振込や電子記録債務(でんさい)への切り替えを相手と相談します。
支払手形の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 買掛金33万円を手形で払った | 買掛金 330,000円 | 支払手形 330,000円 | 対象外 |
| 期日に当座預金から引き落とされた | 支払手形 330,000円 | 当座預金 330,000円 | 対象外 |
| 設備の代金110万円を手形で払った | 機械装置 1,100,000円 | 設備支払手形 1,100,000円 | 機械装置は課税仕入10% |
消費税の区分
手形の振出しや決済は代金の支払方法にすぎないので、消費税の対象外です。仕入の消費税は、商品を受け取って仕入を計上したときに付けています。手形の振出しに使う印紙は印紙税の扱いになり、科目は租税公課です。
関連する科目
- 受取手形:手形で受け取った代金(反対の向き)
- 買掛金:手形を振り出す前の仕入代金
- 電子記録債務:でんさいで払った代金
よくある勘違い
「手形で払えば、どの取引先にも支払を先に延ばせる」
→ 取適法の対象になる取引では、2026年1月1日以後の発注分について手形での支払そのものが禁止されています。
「手形の期日に払えば消費税の控除もそのときになる」
→ 消費税の控除は仕入を計上したときです。手形の決済は支払方法なので消費税は動きません。
よくある質問
手形の期日に残高が足りないとどうなりますか。
不渡りになり、半年以内に2回出すと銀行取引が停止されるなど、事業に大きな影響が出ます。期日の前に当座預金の残高を確かめます。
でんさいで払った場合の科目は。
電子記録債務とするのが一般的です。発生と期日の決済の仕訳は、支払手形と同じ形になります。
手形の印紙代は誰が負担しますか。
手形を振り出す側が、記載金額に応じた印紙を貼ります。電子記録債務には印紙は要りません。
支払手形の残高はどう確かめますか。
支払手形記入帳や当座預金の照合表で、手形ごとの金額と期日を確かめます。期末に残っている手形の合計が、貸借対照表の支払手形と一致するかを見ます。
支払手形の期日を延ばしてもらえますか。
受取人と合意すれば、古い手形を回収して新しい手形を振り出す書換えができます。帳簿では古い支払手形を消し、新しい支払手形を計上します。
個人事業主でも手形を振り出せますか。
当座預金の口座があれば振り出せます。手形交換の終了が決まっているので、新しく手形を使い始めるより、振込やでんさいでの支払を相手と相談するのが現実的です。
出典(確認日)
- 公正取引委員会 取適法施行に当たり事業者の皆様に御留意いただきたい事項(2026-10-31)
- 全国銀行協会 電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について(2026年6月18日)(2026-10-31)
- 全国銀行協会 紙の手形・小切手利用廃止へ(2026-10-31)
- 国税庁 消費税法基本通達 6-2-3(支払手段の範囲・約束手形)(2026-10-31)