委任状とは
最終確認日 2026年10月24日
委任状は、ある人(委任者)が別の人(代理人)に、特定の手続きや行為を任せたことを示す書面です。民法では、法律行為を任せる契約を委任(643条)、代理人が本人のためにした行為の効果が本人に直接生じることを代理(99条)といい、委任状は代理人がその権限を持っていることを窓口や相手方に示すために使います。
委任状の作成
委任者・代理人・委任する事項を入れて、委任状をWordとPDFで作ります。手書き用と英語版も作れます。
委任状を作る委任と代理の違い
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約です(民法643条)。法律行為でない事務を任せる場合も、委任の規定が準用されます(656条、準委任)。
代理は、代理人がその権限内で本人のためにすることを示してした意思表示の効果が、本人に直接生じる仕組みです(99条)。委任の約束をしても、窓口や取引の相手方からは代理権の有無が見えないため、その証明として委任状を出します。委任状は、この代理権の範囲を書面で示すものです。
有効期限と、委任者が亡くなったとき
委任状そのものの有効期限を一律に定めた法律の規定は、今回読んだ範囲では見当たりませんでした。提出先が独自に期限を決めていることがあり、板橋区は作成日から期間がたった委任状について委任者に電話で確認するとし、その目安を3か月としています。
代理権は、本人の死亡によって消滅します(民法111条1項1号)。委任による代理権は、委任が終わったときにも消滅します(同条2項)。委任そのものも、委任者の死亡で終わります(653条1号)。亡くなった人が生前に書いた委任状で、その人の名義の手続きを続けることは原則としてできず、相続の手続きに移ります。
株主総会の委任状
株主は、代理人によって議決権を行使でき、その場合は代理人が代理権を証明する書面を会社に提出します(会社法310条1項)。この書面は株主総会ごとに出す必要があり(同条2項)、会社は総会に出席できる代理人の数を制限できます(同条5項)。
代理人の資格を定款で定めている会社もあるため、招集通知の案内に従って委任状を作ります。委任状の作成ツールの株主総会の文例は、会社名・開催日・総会の名称を入れると、継続会や延会を含めて議決権を行使する旨の文を作ります。
英語の委任状と公証
英語では、委任状を power of attorney や letter of authorization と書くのが一般的です。法務省の日本法令外国語訳は、不動産登記の委任状を letter of attorney、会社法310条の代理権を証明する書面を document evidencing the authority of proxy と訳しています。
外国の役所や会社に出す委任状は、公証人の認証を求められることがあります。日本公証人連合会は、外国で使う私署証書は公証人の認証を受け、法務局長の公印証明、外務省の公印確認やアポスティーユへと進む流れを説明し、東京都などの公証役場ではこれらを一度に受けられるとしています。英語の委任状を作るときは、日本語の委任状を訳すだけでなく、提出先が求める表題や署名欄、日付の書き方を先に確かめます。
よくある勘違い
「委任状は作成から3か月で無効になる。」
→ 委任状の期限を一律に定めた法律の規定は見当たりません。窓口が独自に期限や確認の目安を決めていることがあります。
「株主総会の委任状は1回出せばずっと使える。」
→ 代理権の授与は株主総会ごとにしなければなりません(会社法310条2項)。
「親が亡くなっても、生前の委任状で預金を引き出せる。」
→ 代理権は本人の死亡で消滅します。亡くなった後は相続の手続きになります。
よくある質問
委任状と同意書の違いは何ですか。
委任状は代理人に手続きを任せたことを示す書面で、同意書は本人がある事柄に同意したことを示す書面です。
英語の委任状に日本語を併記してもよいですか。
提出先が求める形に合わせます。日英併記にするときは、どちらの文を優先するかを書いておくと誤解がありません。
出典(確認日)
- 民法(e-Gov法令検索)第99条・第109条〜第111条・第643条・第653条・第656条(2026-10-24)
- 板橋区 戸籍等の証明書を代理人が請求するとき(2026-10-24)
- 会社法(e-Gov法令検索)第310条(2026-10-24)
- 日本公証人連合会 外国文認証(私署証書の認証)(2026-10-24)
- 法務省 日本法令外国語訳 Companies Act Art. 310(2026-10-24)