産業医とは
最終確認日 2026年10月24日
産業医は、事業場の労働者の健康管理などを、医学の専門的な立場から行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場は、50人以上になった日から14日以内に産業医を選び、労働基準監督署長に選任を報告します(労働安全衛生法13条、施行令5条、規則13条)。1,000人以上の事業場(有害業務は500人以上)は専属の産業医が必要です。
従業員数で決まる会社の義務一覧
事業場の人数と業種から、産業医・衛生管理者・衛生委員会などの義務と届出、あと何人で増える義務を一覧にします。
人数で確かめる選任が必要な事業場と期限
人数は会社全体ではなく事業場(工場、店舗、支店など)ごとに数えます。厚生労働省のQ&Aは、日雇いやパートタイマーなど臨時の労働者も含めて、常態として使用する労働者の数で判断するとしています。派遣の人は派遣元と派遣先の両方で数えます。
選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内です(規則13条1項1号)。常時1,000人以上の事業場と、深夜業を含む業務や暑熱・粉じん・重量物を扱う業務などの有害業務に常時500人以上が従事する事業場は、その事業場に専属の産業医を選びます(同項3号)。3,000人を超える事業場では2人以上です(同項4号)。
選任報告と、選べない人
選任したら、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄の労働基準監督署長に報告し、医師の資格を証明する書面を添えます(規則13条2項)。2025年1月1日から電子申請が原則になり、選任報告の紙の様式第3号は規則の様式から削除されました。紙での報告は経過措置として認められています。
法人の代表者、事業を営む個人、事業の実施を統括管理する人は、その事業場の産業医になれません。ただし、法人の代表者や事業を営む個人で、事業場の運営について利害関係を持たない人は除かれます(規則13条1項2号)。産業医になれる医師は、厚生労働大臣の指定する研修を修了した人などの要件を満たす人です(法13条2項、規則14条2項)。
産業医の職務と職場巡視
規則14条1項は、産業医の職務として、健康診断の実施とその結果に基づく措置、長時間労働者などへの面接指導、ストレスチェックとその後の面接指導、作業環境の維持管理、作業の管理、健康管理、健康教育と健康相談、衛生教育、健康障害の原因の調査と再発防止を挙げています。
産業医は少なくとも毎月1回、作業場等を巡視します。事業者が毎月、衛生管理者の巡視の結果などの情報を産業医に提供し、産業医の同意を得ているときは、2か月に1回にできます(規則15条1項)。事業者は、時間外・休日労働が月80時間を超えた労働者の氏名とその時間など、産業医が職務を行うのに必要な情報を提供します(法13条4項、規則14条の2)。
勧告の尊重と、不利益な取扱いの禁止
産業医は、労働者の健康を確保するため必要があるときは、事業者に勧告できます。事業者は勧告を尊重しなければならず(法13条5項)、勧告の内容を遅滞なく衛生委員会に報告します(同条6項、規則14条の3)。勧告の内容と講じた措置の記録は3年間保存します。
事業者は、産業医が勧告をしたことや職務を行ったことを理由に、産業医を解任するなどの不利益な取扱いをしないようにしなければなりません(規則14条4項)。産業医が辞任したり解任されたりしたときは、その旨と理由を衛生委員会に報告します(規則13条4項)。
選び方、契約、報酬の考え方
専属でない産業医は、医療機関や医師個人と嘱託の契約を結ぶのが一般的です。契約では、訪問の回数と時間、職場巡視と衛生委員会への出席、健康診断の結果の確認、面接指導の引き受け方、急ぎの相談への対応を決めておきます。
産業医の報酬について、国や厚生労働省が示した全国の相場は見当たりません。金額は、事業場の人数、訪問の回数と1回の時間、面接指導の件数、有害業務の有無、地域などで決まるのが一般的です。見積りを比べるときは、同じ業務の範囲で比べます。
50人未満の事業場
50人未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、医師又は保健師に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるよう努めなければなりません(法13条の2、規則15条の2)。地域産業保健センターは、50人未満の事業場に、健康診断の結果についての医師の意見聴取や面接指導などの産業保健サービスを無料で提供しています。
よくある勘違い
「会社全体で50人を超えたら産業医が1人いればよい。」
→ 人数は事業場ごとに数え、50人以上の事業場ごとに選任します。
「社長が医師なら、その社長を産業医にできる。」
→ 法人の代表者は、事業場の運営について利害関係を持たない場合を除き、その事業場の産業医になれません。
「職場巡視は年に数回でよい。」
→ 原則は毎月1回です。2か月に1回にできるのは、毎月の情報提供と産業医の同意があるときだけです。
よくある質問
パートやアルバイトも人数に入りますか。
入ります。臨時の労働者も含めて、常態として使用する人数で数えます。
選任報告の様式はどこにありますか。
電子申請(e-Gov)で報告します。紙での報告は経過措置として認められています。
出典(確認日)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)第10条〜第19条・第66条の8・第66条の10(2026-10-24)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)第2条〜第5条・第8条・第9条(2026-10-24)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)第7条〜第15条の2・第22条・第23条・第52条の2〜第52条の7(2026-10-24)
- 厚生労働省 労働安全衛生法に関するQ&A(常時使用する労働者の数え方)(2026-10-24)
- 東京労働局 地域産業保健センター(産業保健総合支援センター)(2026-10-24)