病院の領収書と診療明細書:違い、なくしたとき、医療費控除での使い方
最終確認日 2026年10月15日
病院の領収書(領収証)は、支払った金額を診療報酬の区分ごとに示す書類で、保険医療機関は無償で渡す義務があります。診療明細書は、薬や検査など個別の項目ごとの内訳を示す書類です。
領収証と診療明細書の違い
厚生労働省の通知では、保険医療機関が渡す領収証は、医科と歯科なら点数表の部ごと、調剤なら点数表の節ごとに金額の内訳が分かるものとされています。診療の大きな区分ごとに金額が並ぶのが領収証です。
診療明細書は、個別の診療報酬の算定項目が分かる書類です。使った薬の名前や受けた検査の名前まで載る点が、領収証と違います。
領収証そのものに個別の算定項目まで書かれていれば、明細書を発行したものとして扱われます。この場合、別に明細書を出してもらう必要はありません。
| 書類 | 中身 | 交付のルール |
|---|---|---|
| 領収証 | 診療報酬の区分(部・節)ごとの金額 | 保険医療機関は正当な理由がない限り無償で交付 |
| 診療明細書 | 個別の算定項目(薬剤名・検査名を含む) | レセプト電子請求が義務の医療機関・薬局は無償で交付(正当な理由がある診療所は求めに応じて交付) |
領収証の交付は義務、明細書も原則無料
保険医療機関及び保険医療養担当規則は、患者から費用を受け取るとき、正当な理由がない限り、費用ごとに区分した領収証を無償で交付しなければならないと定めています。
レセプトを電子で請求することが義務になっている医療機関と薬局は、領収証を渡すときに明細書も無償で渡します。窓口には、明細書に薬や検査の名前が載ることを掲示し、不要な人が事前に申し出られるようにしています。
明細書を常に出すことが難しい正当な理由がある診療所は、届け出をしたうえで、患者に求められたときに交付します。費用を取る場合も実費相当とされ、1,000円を超えるような額はふさわしくないと通知に書かれています。
公費負担医療などで窓口での支払いがない患者にも、明細書は原則として無償で発行されます。
領収証をなくしたとき
今回確認した療養担当規則と厚生労働省の通知には、紛失した領収証の再発行についての定めは見当たりませんでした。再発行に応じるかどうかや、代わりにどんな書類を出せるかは、受診した医療機関に問い合わせて確かめてください。
医療費控除に使いたいだけなら、健康保険から届く医療費通知を利用する方法があります。医療費通知を添付すると、医療費控除の明細書の記載を簡略化できます。
会社に立替えの精算を出す場面では、再発行が難しいときの代わりの資料を何にするか、先に経理担当者と決めておくと手戻りが減ります。
医療費控除での使い方
国税庁のタックスアンサーNo.1120では、医療費控除の額は、支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を引き、さらに10万円を引いた金額です。その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を引きます。控除の上限は200万円です。
申告では、医療費の領収書をもとに医療費控除の明細書を作り、確定申告書に添付します。領収書そのものを申告書と一緒に出す方式ではありません。
一般的には、税務署が明細書の内容を確かめるため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間に、領収書の提示や提出を求める場合があります。医療費通知を添付した分を除き、その期間は手元に残しておきます。
対象になるのは、自分や、生計を一にする配偶者や親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費です。未払いの分は、実際に支払った年の控除の対象になります。
消費税とインボイスとの関係
健康保険法や国民健康保険法などによる医療は、国税庁のタックスアンサーで消費税の非課税取引に挙げられています。保険診療の窓口負担には消費税がかからないため、一般的には、インボイスの登録番号を確かめる場面はありません。
一方で、美容整形や差額ベッドの料金、市販の医薬品の購入は、この非課税取引に当たらないとされています。事業の経費として扱うものがあれば、その領収書の記載を確認してください。
よくある質問
診療明細書はいらないので断れますか。
通知では、明細書に薬剤や検査の名前が載ることを掲示し、希望しない人は事前に申し出られるようにするとされています。会計の前に窓口で伝えてください。
医療費控除のために領収書を税務署へ送る必要はありますか。
申告書には医療費控除の明細書を添付します。領収書は、確定申告期限等から5年を経過する日まで、提示や提出を求められる場合に備えて保管します。
明細書をもらうのにお金がかかると言われました。
正当な理由がある診療所は費用を取ることがありますが、実費相当とされ、1,000円を超えるような額はふさわしくないと通知に書かれています。
薬局の領収証も同じ扱いですか。
保険薬局も領収証を交付する対象で、調剤では点数表の節ごとに金額の内訳が分かる形とされています。レセプト電子請求が義務の薬局は明細書も無償で渡します。
出典(確認日)
- 厚生労働省 保発0305第18号(令和8年3月5日)医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について(2026-10-15)
- e-Gov 保険医療機関及び保険医療養担当規則(2026-10-15)
- 国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(2026-10-15)
- 国税庁 No.6201 非課税となる取引(2026-10-15)