公益通報者保護法の改正(2026年12月施行)をわかりやすく
最終確認日 2026年10月24日
公益通報者保護法の改正(令和7年法律第62号)は2026年12月1日に施行されます。業務委託先のフリーランスが保護の対象に加わり、通報から1年以内の解雇・懲戒は通報を理由と推定され、通報を理由に解雇・懲戒をした人と法人に刑事罰が科されます。正当な理由のない通報妨害と通報者探索が禁止され、300人超の会社の従事者指定義務には命令と立入検査、罰金が加わります。
公益通報者保護法 改正 対応チェックリスト
従業員数とフリーランスの有無を入れると、会社に必要なことを条文と施行日つきで一覧にします。
対応を確認するいつから、何が変わるか
改正法は2025年6月11日に公布され、2026年12月1日に施行されます。消費者庁は、改正の柱を、体制整備の徹底と実効性の向上、公益通報者の範囲の拡大、公益通報を妨げる要因への対処、不利益な取扱いの抑止と救済の強化の4つにまとめています。
あわせて、事業者がとるべき措置を定める指針(内閣府告示)も2026年3月31日に改正され、同じ日から適用されます。
フリーランスが公益通報者に加わる
事業者から業務を受けているフリーランス(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第2条の特定受託業務従事者)と、委託が終わって1年以内のフリーランスが、公益通報者の範囲に入ります(第2条第1項第3号)。
通報したことを理由に、業務委託契約を解除したり、取引の量を減らしたり、取引を止めたり、報酬を減らしたりすることが禁止されます(第5条)。会社の窓口と体制を、フリーランスにも知らせることが指針で求められます。
通報後1年以内の解雇・懲戒は通報が理由と推定
公益通報をした日から1年以内にされた解雇や懲戒は、公益通報をしたことを理由とするものと推定されます(第3条第3項)。会社が行政機関や報道機関等への通報を知って解雇や懲戒をした場合は、会社が知った日から1年以内です。
これまでは通報者の側が、解雇が通報を理由とすることを示す必要がありましたが、改正後は会社の側が、通報とは別の理由によることを示す必要があります(立証責任の転換)。
刑事罰が科される行為
公益通報を理由として解雇や懲戒をした人は、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です(第21条第1項)。法人には3,000万円以下の罰金が科されます(第23条)。
常時使用する労働者が300人を超える会社が従事者を指定せず、勧告に従わないときは命令が出され、命令に違反すると30万円以下の罰金です。報告をしない、虚偽の報告をする、立入検査を拒むといった行為も同じ罰金の対象です(第15条の2・第16条・第21条第2項)。従事者が通報者の情報を漏らしたときの30万円以下の罰金は、改正前からあります。
通報妨害と通報者探索の禁止
事業者が、正当な理由なく、通報しないという合意を求めたり、通報すれば不利益に扱うと告げたりして、公益通報を妨げることが禁止されます。これに反してされた合意は無効です(第11条の2)。入社時や退職時の誓約書、秘密保持の書面に、通報を禁じるように読める文言がないか見直します。
正当な理由なく、通報者である旨を明らかにするよう求めるなど、通報者を特定しようとする行為も禁止されます(第11条の3)。ハンドブックは、正当な理由が認められ得る場面を非常に限定的としています。
会社が準備すること
まず内部通報規程を見直し、通報できる人にフリーランスを加え、通報妨害と通報者探索の禁止、違反した人への懲戒を書き込みます。指針が周知を求める9つの事項を、窓口のお知らせにまとめて掲示し、退職者やフリーランスにも届くようにします。
300人超の会社は、従事者を指定書で指定しているかを確かめます。規模を問わず、解雇や懲戒を決めるときは、その人が通報していないか、通報から1年以内でないかを確かめ、通報とは別の理由を記録に残す運用が必要になります。
よくある勘違い
「改正は大企業だけに関係する。」
→ 通報妨害と通報者探索の禁止、フリーランスへの不利益な取扱いの禁止、解雇・懲戒の推定と刑事罰は、規模を問わずすべての事業者にかかります。
「刑事罰は、通報を理由とするあらゆる不利益な取扱いが対象。」
→ 刑事罰の対象は、通報を理由とする解雇と懲戒です。降格や減給などの不利益な取扱いも禁止ですが、懲戒としてでなければ刑事罰の対象ではありません。
「改正は2025年に施行された。」
→ 改正法の公布は2025年6月11日で、施行は2026年12月1日です。
よくある質問
300人以下の会社も規程を作る必要がありますか。
体制の整備と規程は努力義務です。ただ、禁止される行為は規模を問わないため、規程で懲戒の対象と手順を決めておくと運用しやすくなります。
公務員の扱いは変わりますか。
一般職の国家公務員などへの不利益な取扱いも明記され、通報を理由に分限免職や懲戒処分をした人には刑事罰があります。この解説は会社を前提にしています。
出典(確認日)
- 消費者庁 公益通報者保護法の概要・令和7年改正の概要(2026-10-24)
- 公益通報者保護法(e-Gov法令検索、令和8年12月1日施行の改正を含む)(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報者保護法に基づく指針(令和8年3月31日改正)(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報ハンドブック(改正法 令和8年12月施行 準拠版)(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報者保護制度(法律・指針・ハンドブック)(2026-10-24)
- 消費者庁 指針の解説(令和8年12月1日施行版)(2026-10-24)