公益通報とは(わかりやすく)
最終確認日 2026年10月24日
公益通報とは、働く人や役員、フリーランスなどが、不正の目的ではなく、勤め先や取引先で起きている一定の法令違反(犯罪行為や過料の対象になる行為など)を、勤め先、権限のある行政機関、報道機関などに知らせることです。公益通報者保護法は、通報先ごとに決められた条件を満たした人を、解雇や降格、嫌がらせなどの不利益な取扱いから守ります。
公益通報者保護法 改正 対応チェックリスト
従業員数とフリーランスの有無を入れると、会社に必要なことを条文と施行日つきで一覧にします。
対応を確認する誰が、何を通報すると公益通報になるか
通報できるのは、労働者(正社員、パート、アルバイト、派遣労働者、公務員を含む)、退職や派遣の終了から1年以内の人、役員です。2026年12月1日からは、事業者から業務を受けているフリーランス(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の特定受託業務従事者)と、委託が終わって1年以内のフリーランスも加わります(公益通報者保護法第2条第1項)。
通報の中身は「通報対象事実」に限られます。国民の生命、身体、財産などを守る法律として法の別表と政令に挙げられた法律(刑法、食品衛生法、労働基準法など約500本)に違反する犯罪行為や、過料の理由になる行為、最終的に刑罰や過料につながる行為が対象です(第2条第3項)。契約違反のような民事の争いは、それだけでは対象になりません。
不正の利益を得る目的や、他人に損害を加える目的での通報は、公益通報になりません。
3つの通報先と、保護される条件
勤め先などの事業者内部(1号通報)への通報は、通報対象事実が生じている、又はまさに生じようとしていると「思料する」だけで保護されます。内部通報窓口のほか、上司への報告も含まれます。
権限のある行政機関(2号通報)への通報は、「信ずるに足りる相当の理由」(目撃した、証拠があるなど)がある場合のほか、思料するだけでも、氏名や住所、通報の内容と理由などを書いた書面を出せば保護されます(第3条第1項第2号)。どの行政機関に通報すればよいかは、消費者庁の行政機関検索で調べられます。
報道機関や消費者団体など(3号通報)への通報は、信ずるに足りる相当の理由に加えて、内部に通報すると不利益に扱われると信ずるに足りる理由がある、証拠が隠されるおそれがある、書面で内部に通報してから20日を過ぎても調査をするという通知がない、生命や身体に危害が及ぶ急迫した危険があるなど、法律が挙げる事情のどれかが必要です(第3条第1項第3号)。
保護の中身と、保護されない場合
条件を満たした公益通報を理由とする解雇は無効で、降格や減給、嫌がらせなどの不利益な取扱いも禁止されています。事業者は、公益通報で損害を受けたとして通報者に賠償を求めることもできません(第7条)。
2026年12月1日からは、通報から1年以内の解雇や懲戒は通報を理由とするものと推定され、通報を理由に解雇や懲戒をした人には6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人には3,000万円以下の罰金が科されることになりました。
保護されないのは、通報対象事実に当たらない内容を通報した場合、不正の目的で通報した場合、通報先ごとの条件を満たしていない場合などです。ただし、公益通報に当たらない通報でも、労働契約法の解雇権の濫用などのルールで守られることはあります(第8条)。
匿名で通報できるか
匿名でも公益通報になり得ます。指針の解説は、事業者の内部通報窓口が匿名の通報も受け付けることが必要だとしています。ただ、匿名だと調査の結果を知らせる連絡がとれないことがあるため、個人が特定されないメールアドレスを使うなどの方法が挙げられています。
2026年12月1日からは、事業者が正当な理由なく通報者を探すことも禁止されます(第11条の3)。
パワハラは公益通報の対象になるか
消費者庁の資料には、パワハラが対象になるかを直接書いた箇所はありません。条文から読むと、職場のパワーハラスメントの防止措置を定める労働施策総合推進法(第31条)は対象の法律に入っていますが、パワハラの言動そのものに刑罰や過料はなく、防止措置を怠った会社への手段も助言・指導・勧告と公表(第42条)です。そのため、パワハラの言動だけでは通報対象事実に当たらないことが多いと考えられます。
一方、殴る、物を投げつけるといった暴行や傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱などは刑法の罪に当たるため、そうした行為を含む場合は通報対象事実になり得ます。また、会社の窓口がハラスメントの相談も受けることは多く、指針の解説は、内部通報窓口がハラスメントの相談窓口を兼ねることもできるとしています。どちらに当たるか迷うときも、窓口に相談して構いません。
よくある勘違い
「公益通報は、会社の外(行政機関やマスコミ)に知らせることだけをいう。」
→ 勤め先の窓口や上司への報告も、公益通報(1号通報)になり得ます。3つの通報先のうち、保護の条件が最もゆるやかなのが事業者内部です。
「法律違反なら何でも公益通報として保護される。」
→ 対象は、法の別表と政令に挙げられた法律に違反する犯罪行為や過料の対象の行為などに限られます。
「匿名の通報は保護されない。」
→ 匿名でも公益通報になり得ます。指針の解説は、会社の窓口が匿名の通報を受け付けることを必要としています。
よくある質問
通報したあとで、通報したことを理由に嫌がらせを受けたらどうすればよいですか。
不利益な取扱いは法律で禁止されています。社内の窓口に申し出るほか、消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)で相談でき、個別の事案は弁護士に相談してください。
公務員も公益通報できますか。
できます。労働者には公務員も含まれます。この解説では会社で働く人を前提に説明しています。
出典(確認日)
- 消費者庁 公益通報ハンドブック(改正法 令和8年12月施行 準拠版)(2026-10-24)
- 公益通報者保護法(e-Gov法令検索、令和8年12月1日施行の改正を含む)(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報者保護法の概要・令和7年改正の概要(2026-10-24)
- 消費者庁 指針の解説(令和8年12月1日施行版)(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報の通報先・相談先 行政機関検索(2026-10-24)
- 消費者庁 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)(2026-10-24)
- 労働施策総合推進法(e-Gov法令検索)(2026-10-24)