役員貸付金とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
役員貸付金は、会社が社長などの役員個人にお金を貸したときに、返してもらう権利を記録する勘定科目です(資産)。法人だけが使い、利息の付け方によっては役員への給与として課税されることがあります。
役員貸付金になる場面
社長の個人的な支払を会社の口座から出した、使い道を説明できない仮払金が残っている、といった場合にも、決算で役員貸付金に振り替えることがあります。会社のお金と個人のお金が混ざると生まれやすい科目です。
金銭消費貸借契約書を作り、返済の予定と利息を決めて、その通りに返してもらうのが基本です。
認定利息(無利息で貸したとき)
国税庁のタックスアンサーNo.2606は、会社が役員に無利息や低い利率でお金を貸すと、通常の利率との差額が給与として課税されると説明しています。通常の利率の目安は利子税特例基準割合による利率で(所得税基本通達36-49)、令和8年中の貸付けは年1.3%と示されています。
利息の差額が年5,000円以下であるなど、一定の場合は課税しなくてよいとされています(所得税基本通達36-28)。会社が受け取る利息は受取利息(非課税)として記帳します。
役員貸付金の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 社長に50万円を貸した | 役員貸付金 500,000円 | 普通預金 500,000円 | 対象外 |
| 10万円と利息6,500円を返してもらった | 普通預金 106,500円 | 役員貸付金 100,000円、受取利息 6,500円 | 受取利息は非課税 |
| 決算で使途不明の仮払金3万円を振り替えた | 役員貸付金 30,000円 | 仮払金 30,000円 | 対象外 |
融資の審査と決算書
役員貸付金が大きく残っていると、金融機関は会社のお金が事業以外に使われていると見て、資産として低く評価することがあります。返す見込みがないまま放っておくと、貸倒れにもできず、給与や寄附の扱いを問われることもあります。
関連する科目
- 役員借入金:役員から会社が借りたお金(反対の向き)
- 受取利息:貸付金の利息
- 仮払金:使い道が決まる前のお金
よくある勘違い
「社長に貸すのは会社のお金なので自由にしてよい」
→ 無利息だと差額が給与とされることがあり、返済の記録がなければ貸付と認められないこともあります。契約書と返済の記録を残します。
「役員貸付金は決算書の見た目に影響しない」
→ 金融機関は役員への貸付を回収の見込みが低い資産として見ることがあり、審査で不利になることがあります。
よくある質問
従業員に貸した場合も同じ科目ですか。
従業員への貸付は従業員貸付金などの科目で分けます。認定利息の考え方は役員と同じです。
役員報酬と相殺して返してもらえますか。
役員報酬から差し引いて返済に充てることはできます。その場合も役員報酬の額は変えずに、差し引いた額を役員貸付金の返済として記帳します。
役員貸付金を減らすにはどうしますか。
契約どおり返済してもらうほか、役員報酬を見直して返済に充てる方法があります。返済の原資と期間を決めて、少しずつでも残高を減らしていきます。
役員の家族に貸した場合は。
役員と同じく貸付金として記帳し、無利息なら認定利息の扱いを確かめます。誰に貸したかが分かるように補助科目を付けます。
出典(確認日)
- 国税庁 タックスアンサー No.2606 金銭を貸し付けたとき(2026-10-31)
- 国税庁 所得税基本通達 36-49(利息相当額の評定)(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引(2026-10-31)