前払金とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
前払金は、商品や材料などを受け取る前に、代金の全部や一部を先に払ったときに記録する勘定科目です(資産)。個人事業主と法人のどちらも使い、手付金や前渡金、内金と呼ばれる支払もこれにあたります。
前払金が資産になる理由
先に払ったお金は、商品を受け取る権利や、受け取れなければ返してもらう権利になるので資産です。商品が届いたときに仕入や資産の科目へ振り替え、そこで初めて費用や資産の取得になります。
個人事業主の青色申告決算書にも、資産の部に前払金の行があります。年末に商品がまだ届いていない前払いの額を書きます。
前払金の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 商品代金の手付金10万円を払った | 前払金 100,000円 | 普通預金 100,000円 | 対象外 |
| 商品が届き、総額22万円(税込)の仕入にした | 仕入高 220,000円 | 前払金 100,000円、買掛金 120,000円 | 仕入高は課税仕入10% |
| 注文を取り消し、手付金が返ってきた | 普通預金 100,000円 | 前払金 100,000円 | 対象外 |
消費税がかかる時期
消費税法基本通達9-1-1は、棚卸資産の譲渡の時期をその引渡しのあった日としています。買う側の課税仕入れも、商品を受け取った日に行ったことになるので、前払いの時点では消費税の区分を付けず、仕入に振り替えるときに付けます。
設備の購入で前払いした場合も同じで、引き渡しを受けて事業に使える状態になったときに資産と消費税を計上します。
前払費用との違い
家賃や保険料のように、契約に従い継続して受けるサービスの代金の先払いは前払費用です(中小企業の会計に関する指針 項目30)。前払金は、商品の代金や一回限りの役務の代金の前渡しに使います。
関連する科目
- 前受金:売る側から見た同じ取引
- 前払費用:継続的なサービスの先払い
- 建設仮勘定:建物などを作っている途中の支払
よくある勘違い
「前払いした月に仕入として計上する」
→ 仕入は商品を受け取った日に計上します。前払いの時点では前払金として資産に置いておきます。
「手付金は払った時点で経費になる」
→ 手付金は商品を受け取るまでの前払金です。取引が成立しないまま放棄した場合などに、初めて損失になります。
よくある質問
ネット通販で先に払い、届くのは翌月です。
厳密には届くまで前払金ですが、少額で期をまたがない取引なら、払った日に経費にしている例も多くあります。期末をまたぐものは前払金にします。
前払金に請求書がありません。
前払いの時点では振込の記録などで足ります。商品が届いたときの請求書や納品書を、仕入税額控除の書類として保存します。
工事の着手金を払いました。
建物や設備の工事なら、完成して引き渡しを受けるまでは前払金や建設仮勘定として資産に置き、完成したときに建物などの資産へ振り替えます。
前払金の相手が倒産しました。
商品を受け取れず返金の見込みもないなら、前払金を貸倒損失などで処理します。破産手続の通知など、回収できない事実の書類を残します。
前払金と仮払金はどう違いますか。
前払金は買う物と相手が決まっている代金の前渡し、仮払金は使い道や金額が決まる前の概算払いです。
出典(確認日)
- 国税庁 消費税法基本通達 9-1-1(棚卸資産の譲渡の時期)(2026-10-31)
- 日本税理士会連合会ほか 中小企業の会計に関する指針(2025年9月19日修正)(2026-10-31)
- 国税庁 所得税青色申告決算書(一般用)令和7年分 様式(2026-10-31)