前払費用とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
前払費用は、家賃や保険料のように継続して受けるサービスの代金を先に払ったとき、まだ受けていない期間の分を記録する勘定科目です(資産)。個人事業主と法人のどちらも使い、サービスを受けた期間に合わせて費用へ振り替えます。
前払費用と前払金の違い
中小企業の会計に関する指針(項目30)は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合に、まだ提供されていない役務に対して払った対価を前払費用とし、それ以外の契約による前払金と区別するとしています。
家賃、保険料、リース料、保守契約料の先払いは前払費用です。商品の代金の前渡しや手付金は前払金です。迷うときは、時間の経過とともに受けるサービスかどうかで分けます。
短期前払費用の特例
法人税基本通達2-2-14と所得税基本通達37-30の2は、支払った日から1年以内に提供を受ける役務の代金を、毎年継続して支払った期の費用にしている場合は、その処理を認めるとしています。たとえば毎年12月に翌年分の保険料をまとめて払う個人事業主は、継続していれば払った年の経費にできます。
借りたお金で運用するときの利息のように、収益と対応させるべき費用には使えません(2-2-14の注)。会計の指針(項目31)も、重要性が乏しいものは継続適用を条件に費用処理できるとしています。
前払費用の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 10月に1年分の保険料12万円を払い、決算は12月 | 支払保険料 40,000円、前払費用 80,000円 | 普通預金 120,000円 | 保険料は非課税 |
| 翌期首に前払費用を費用へ振り替えた | 支払保険料 80,000円 | 前払費用 80,000円 | 対象外 |
| 特例を使い、全額を払った期の費用にした | 支払保険料 120,000円 | 普通預金 120,000円 | 非課税 |
消費税の区分
消費税は、前払費用から費用へ振り替える取引には付けず、払ったときの支払の中身で区分を付けるのが実務の一般的な方法です。保険料や利息は非課税、事務所の家賃やリース料、保守料は課税です。
関連する科目
- 前払金:商品代金などの前渡し
- 未払費用:受けたサービスの未払分(反対の向き)
- 長期前払費用:1年を超える期間の分
よくある勘違い
「1年分を前払いしたら、いつでも全額を経費にできる」
→ 短期前払費用の特例は、支払日から1年以内の役務で、毎年継続して同じ処理をしている場合に限られます。今年だけ前払いして経費を増やすことはできません。
「前払費用と前払金は同じ科目で構わない」
→ 合計額は変わりませんが、会計の指針は継続的なサービスの先払いを前払費用として区別しています。決算の整理の考え方が違うので分けておきます。
よくある質問
3年分の保険料を一括で払いました。
1年を超える分は短期前払費用の特例の対象外です。翌期以降の分は前払費用や長期前払費用に残し、期間に応じて費用にします。
月払いの家賃にも前払費用を使いますか。
月末に翌月分を払う家賃も厳密には前払いですが、毎月同じように払っていれば、払った月の費用にしている例がほとんどです。期末の1か月分を前払費用にするかは、毎年同じ方法にそろえます。
前払費用の残高はどの順で費用にしますか。
サービスを受ける期間に合わせて月ごとに振り替えるのが基本です。年1回の決算でまとめて振り替える方法でも、期ごとの金額は同じになります。
出典(確認日)
- 国税庁 法人税基本通達 2-2-14(短期の前払費用)(2026-10-31)
- 国税庁 所得税基本通達 37-30の2(短期の前払費用)(2026-10-31)
- 日本税理士会連合会ほか 中小企業の会計に関する指針(2025年9月19日修正)(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引(2026-10-31)