小口現金とは(資産の勘定科目)と仕訳
最終確認日 2026年10月31日
小口現金は、切手代や交通費のような日々の少額の支払に使うため、担当者の手元に分けて置いておく現金を記録する勘定科目です(資産)。個人事業主と法人のどちらも使え、決算書では現金に含めて表示します。
小口現金の考え方
日本商工会議所の簿記検定の出題区分表は、小口現金と小口現金出納帳を現金預金の項目に挙げています。国税庁の帳簿の記帳のしかたには小口現金の記載はなく、現金出納帳の一部として扱っても差し支えありません。
実務では、毎月の初めに一定の額(たとえば3万円)を渡し、月末に使った分だけを補給して元の額に戻す方法がよく使われます。簿記では定額資金前渡法(インプレスト・システム)と呼ばれ、手元の現金と領収書の合計がいつも一定額になるので、数え間違いに気づきやすくなります。
小口現金の仕訳例
支払のたびに仕訳をする代わりに、月末に小口現金出納帳の内訳を科目ごとに集計して、まとめて記帳する方法もあります。どちらでも、科目と消費税の区分は支払ごとの中身で決めます。
| ケース | 借方 | 貸方 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 月初に3万円を用意した | 小口現金 30,000円 | 普通預金 30,000円 | 対象外 |
| 切手代1,100円と文具代2,200円を払った | 通信費 1,100円、消耗品費 2,200円 | 小口現金 3,300円 | 切手は非課税、文具は課税仕入10% |
| 月末に使った3,300円を補給した | 小口現金 3,300円 | 普通預金 3,300円 | 対象外 |
小口現金出納帳の書き方
日付、摘要、受入、支払、残高を書き、支払の欄の横に通信費・旅費交通費・消耗品費・雑費などの内訳の列を作ります。月末に内訳の列を合計すると、その月に補給する額と科目ごとの金額が一度に分かります。
下の用紙はA4で印刷できる空欄の小口現金出納帳です。列の見出しは書き換えて使えます。領収書やレシートは、出納帳と同じ順番に並べて保存しておくと照合しやすくなります。
関連する科目
- 現金:決算書では小口現金を含めて表示
- 通信費・旅費交通費・消耗品費:小口現金でよく払う科目
- 仮払金:出張の前などに渡す概算のお金
よくある勘違い
「小口現金は残高だけ合っていれば記録はいらない」
→ 何に使ったかが分からないと経費にできません。出納帳と領収書で、支払ごとの内容を残しておきます。
「小口現金で払ったものは雑費にまとめてよい」
→ 科目は支払の中身で決めます。切手は通信費、電車代は旅費交通費というように分けると、消費税の区分も正しく付けられます。
よくある質問
個人事業主にも小口現金は必要ですか。
事業主が一人で現金を管理しているなら、現金出納帳だけで足ります。従業員に現金を預けて支払を任せる場合に、分けて管理すると便利です。
小口現金の額はいくらにすればよいですか。
決まりはありません。1か月に使う少額の支払の合計を目安に、補給が月1回で足りる額にする例が多くあります。
小口現金の残高と出納帳が合いません。
まず領収書の記入漏れや計算の誤りを確かめます。それでも原因が分からない差額は、現金過不足として記帳して調べます。
交通系ICカードのチャージは小口現金で管理できますか。
チャージした時点では前払いなので、使った分を利用履歴で確かめて旅費交通費にします。チャージ額と利用額は出納帳の摘要で分けて書いておきます。
出典(確認日)
- 日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2027年度適用)(2026-10-31)
- 国税庁 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)(2026-10-31)
- 国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引(2026-10-31)