海外のクライアントに請求する際、「円建てではなくUSDやEUR建てで請求書を出したい」という場面は少なくありません。ところがfreeeは国内の円建て取引を前提に設計されているため、外貨建ての請求書はそのままでは作りにくいのが実情です。本記事では、freeeのデータを活かしながら外貨建ての請求書を発行する考え方と手順を、為替と消費税の注意点とあわせて解説します。個別の税務判断は顧問税理士にご確認ください(執筆時点:2026年9月)。

なぜfreeeだけでは外貨建てが難しいのか

freeeは会計・請求の国内業務に最適化されており、請求額を外貨で表示したり、為替の参考レートを併記したりといった海外向けの体裁は標準の帳票では想定されていません。円建ての金額をそのまま通貨記号だけ差し替えても、為替換算が反映されず正しい請求にはなりません。freeeの仕様は改定されることがあるため、最新の対応状況は公式ヘルプでご確認ください。本記事では確認できない新しいUIの断定は避けています。

外貨建て請求の基本:為替レートの扱い

外貨建ての請求書では、次の2点を決めておく必要があります。

  • 請求通貨:USD・EURなど、実際に受け取る通貨で金額を表示します。
  • 為替レートの参考表示:円換算の目安を併記する場合は、いつ時点のどのレートか(例:発行日のTTM)を明記します。参考表示はあくまで補助であり、請求額そのものは外貨で確定させます。

小数点以下の桁数も通貨によって異なります。USD・EURは通常2桁、JPYは0桁で表示します。

消費税は「円」で記載する

外貨建てであっても、適格請求書として交付する場合は、税率ごとの消費税額を円で記載する必要があります。海外の非居住者向けサービスは輸出免税(0%)や不課税になることが多いため、そもそも消費税を上乗せしないケースも多いですが、課税取引が含まれる場合は円での税額表示を忘れないようにします。税区分の考え方は英文請求書の消費税の書き方、適格請求書の要件はインボイス制度対応の英語請求書で解説しています。

freeeのデータを活かして外貨建てで発行する手順

二重入力を避ける現実的な方法は、freeeに入力済みの請求情報を取り込み、外貨建ての体裁に変換して発行することです。

  1. freeeの取引先・品目・金額を確認します。
  2. 外貨対応の請求書ツールで通貨(USD・EURなど)と言語(英語・日英)を選びます。
  3. 為替の参考レート、税率別内訳、SWIFT/BICコードを入力してPDFを発行します。

BridgeInvoiceは読み取り専用のOAuth連携でfreeeのデータを取り込み、外貨建て・多言語のPDFに変換します。

具体例で確認する

たとえば、単価150USDのコンサルティングを20時間分、米国の法人(非居住者)に請求する場合を考えます。請求額は150USD×20=3,000USDとなり、英文請求書にはUnit price: $150.00 / Amount: $3,000.00と表示します。作業を日本国内で行い相手が非居住者であれば、多くは輸出免税(0%)として消費税を上乗せせず、Consumption tax: 0% (export-exempt)と注記します。円換算を参考表示する場合は、発行日レートでReference: JPY 450,000 @ 150.00/USDのように補足します。

円建てで請求して外貨で受け取る方法との違い

外貨に関わる請求には、大きく2つの立て方があります。どちらを選ぶかで、為替リスクを負う側が変わります。

  • 外貨建てで請求する:金額をUSDやEURで確定させ、相手はその通貨で支払います。受取時の円換算額は為替次第で変動するため、為替リスクは自分が負います。海外のクライアントにとっては分かりやすい方法です。
  • 円建てで請求して外貨で受け取る:請求額を円で確定させ、相手が支払時に外貨へ換算します。為替リスクは相手側に寄りますが、海外のクライアントには受け入れられにくい場合があります。

どちらが適切かは取引先との力関係や契約によります。多くの海外取引では、相手が理解しやすい外貨建てが選ばれます。

受け取り方法もあわせて検討する

外貨建てで請求する場合、受け取り方法によって着金までの日数や手数料が変わります。銀行の海外送金のほか、WiseやPayoneerといったサービスも選択肢です。振込先情報を英文請求書に載せる際は、振込先QRコードの作成ツールも活用できます。海外口座や送金の実務はkaigai-freelance.comなどの情報も参考になります。

よくある質問

Q. 円建てで作った請求書を後から外貨に切り替えられますか。 金額の意味が変わるため、自動換算に頼らず、外貨建てとして金額を確認し直すのが安全です。BridgeInvoiceでは円建ての既存書類を外貨建てに切り替える際、金額を自動変換せず確認を促す設計にしています。

Q. 為替レートはどこの数値を使えばよいですか。 実務では発行日や取引日のTTMなど、社内で一貫した基準を決めておくと、後から説明しやすくなります。

まとめ

freeeは円建てが基本のため、外貨建ての請求書は標準機能だけでは作りにくいのが実情です。請求通貨と為替の扱いを決め、消費税は円で記載するという原則を押さえたうえで、既存データを活かして外貨建てに変換すれば、転記ミスなく発行できます。まずは英文・外貨建ての請求書を無料で作成してみてください。税区分の判断に迷う場合は、顧問税理士にご確認ください。