経緯書の書き方(時系列の書き方と例文)
最終確認日 2026年11月2日
経緯書は、ある出来事がどのような順で起きたかを、日時に沿って事実だけで説明する書類です。上司や取引先から「どうしてこうなったのか」と説明を求められたときに出します。並べる順は、件名、発生日時・場所、概要、経緯(時系列)、対応と現在の状況、原因で、最後を「以上」で結びます。お詫びや反省は書かず、必要ならお詫び状を別に添えます。
経緯書の作成(無料)
件名、発生日時、概要、時系列の出来事、対応、原因を入れると、記書きの形に並べてWordとPDFにします。取引先あてにすると宛名は「御中」、差出人に会社名が入ります。
経緯書を作る経緯書の見本(納品遅延の経緯、取引先あて)
見本を文字で見る(コピーできます)
2026年11月◯日
株式会社見本工業 購買部 御中
株式会社サンプル商事
営業部
山田太郎
経緯書
件名:ご注文品(品番A-100)の納品遅延について
標記の件について、経緯を下記のとおりご報告いたします。
記
1. 発生日時・場所
2026年11月◯日(納品予定日)、貴社 第二工場あて
2. 概要
ご注文いただいた品番A-100 200個のうち80個を予定の日に納品できず、2日遅れでお届けしました。
3. 経緯(時系列)
11月◯日(月)午前10時 ご注文を受け、納品予定日を登録
11月◯日(水)午後3時 材料の仕入先から、入荷が2日遅れると連絡を受ける
11月◯日(水)午後5時 在庫のある120個を先に出荷すると決める
11月◯日(木)午前9時 貴社ご担当の田中様へ、一部が遅れることを電話でご連絡
11月◯日(金) 120個を納品
11月◯日(火) 残りの80個を納品
4. 対応と現在の状況
残りの80個は検品を済ませてお届けし、ご注文の数量はすべてそろいました。次回以降のご注文分の材料は、通常より1週間早く手配しています。
5. 原因(現時点で判明していること)
材料の仕入先で設備が故障し、入荷が遅れたことによるものです。当社にも、残りの少ない材料を早めに確かめる手順がなく、遅れの見通しをお伝えするのが仕入先からの連絡の翌日になりました。
以上
名前・会社名・日付はすべて架空の例です。
経緯書のテンプレート(Word・PDF無料)
項目を入れて整えたいときは、反省文・経緯書・事故報告書・お詫び状の作成ツールで、入れた内容を決まった順に並べてWordとPDFにできます(入力は送信されません)。
経緯書の構成
日付、宛名、差出人、題名の位置は社内文書の基本どおりです。題名の下に件名を一行で書き、前文を一文置いてから、「記」として項目を番号付きで並べます。
- 発生日時・場所:出来事が起きた日時と場所。分からないところは「◯時ごろ」と幅を持たせます。
- 概要:何が起きたかを二、三行で。読み手がここだけ読んでも全体がつかめるように書きます。
- 経緯(時系列):出来事を起きた順に、1行に1つずつ。
- 対応と現在の状況:すでにしたことと、いまどうなっているか。
- 原因:その時点で分かっていること。調べている途中なら、そう書きます。
時系列の書き方
経緯の欄は、1行に「日時 出来事」を1つだけ書きます。電話で連絡した、在庫を確かめた、出荷した、のように動作で区切ると、どこで判断が遅れたのかが読み手にも見えるようになります。
日時は、記録が残っている精度で書きます。メールや受注システムの時刻があればそれを使い、記憶に頼る部分は「午後3時ごろ」とします。後から時刻が違うと分かると、経緯書全体が疑われます。
自分が見ていないことは、誰から聞いたかを添えて書きます。「仕入先の担当者から、設備が故障したとの連絡を受ける」のように書けば、事実と伝聞を読み分けられます。推測や感想は経緯の欄には入れません。
顛末書との違い
顛末書は、出来事の一部始終に加えて、原因の分析と再発防止策まで書く報告です。社内向けでは、本人の反省を添えることもあります。経緯書は、そのうち起きた順の説明を中心にした書類で、再発防止策は原則として書きません。
どちらを求められているか分からないときは、依頼した人に、原因と今後の対策まで書く必要があるかを確かめます。始末書・顛末書・反省文・経緯書・報告書の違いは、反省文の書き方のページの表で比べられます。
取引先や役所に出すとき
取引先あての経緯書は、宛名を会社名と部署にして「御中」を付け、担当者あてなら「様」にします。差出人は、会社名、部署、氏名の順です。お詫びの気持ちは、経緯書とは別のお詫び状か、送り状に書くと、事実の説明と謝罪を分けて読んでもらえます。
役所や金融機関から経緯の説明を求められたときは、指定された様式があればそれを使います。様式がなければこのページの形で作り、求められた期間の出来事に絞って書きます。
個人情報の漏えいが関わるとき
社外の人の個人データが漏れた、またはそのおそれがあるときは、経緯書をまとめる前に、個人情報保護委員会への報告が必要かを確かめます。報告が必要な場合、速報は発覚から3〜5日以内、確報は30日以内、不正な目的で行われたおそれがある場合は60日以内とされています。
報告の対象になるのは、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正な目的によるおそれがある場合、本人の数が1,000人を超える場合などです。社内でまとめた経緯書は、この報告の材料として使えます。
よくある勘違い
「経緯書には必ずお詫びの言葉を入れる。」
→ 経緯書は事実の説明です。お詫びは別のお詫び状や送り状に書くと、説明と謝罪を分けて伝えられます。
「経緯書と顛末書は同じ書類の別の呼び方だ。」
→ 重なる部分はありますが、顛末書は原因の分析と再発防止策まで書くのが一般的で、経緯書は起きた順の説明が中心です。会社の指示を確かめてください。
よくある質問
経緯の日時が正確に分からないときはどう書きますか。
「11月◯日午後3時ごろ」のように幅を持たせて書きます。記録が見つかったら、その時刻に直して出し直します。
原因がまだ分からないうちに経緯書を出してもよいですか。
かまいません。原因の欄に「現在調査中」と書き、分かった時点で追って報告すると添えます。
出典(確認日)
- 個人情報保護委員会 漏えい等の対応とお役立ち資料(漏えい等報告)(2026-11-02)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月)第67条(けん責)と懲戒の解説(2026-10-24)