BridgeInvoice

個人事業税とは(いくらから、税率、計算、納付の時期)

最終確認日 2026年10月31日

まず、よくある答え

個人事業税は、地方税法で決められた70の業種(法定業種)の事業を営む個人に、都道府県がかける税金です。事業の所得から事業主控除290万円を差し引いた額に、業種ごとの税率(多くは5%、畜産業などは4%、あん摩・マッサージ等と装蹄師業は3%)を掛けて計算し、通常は8月と11月に分けて納めます。

個人事業税の計算

事業所得と青色申告特別控除の額、業種、月数から、課税標準と税額、8月と11月の納付の目安を計算します。

税額を計算する

法定業種と税率(70業種)

業種区分税率
物品販売業第1種事業5%
保険業第1種事業5%
金銭貸付業第1種事業5%
物品貸付業第1種事業5%
不動産貸付業第1種事業5%
製造業第1種事業5%
電気供給業第1種事業5%
土石採取業第1種事業5%
電気通信事業(放送事業を含む)第1種事業5%
運送業第1種事業5%
運送取扱業第1種事業5%
船舶定係場業第1種事業5%
倉庫業第1種事業5%
駐車場業第1種事業5%
請負業第1種事業5%
印刷業第1種事業5%
出版業第1種事業5%
写真業第1種事業5%
席貸業第1種事業5%
旅館業第1種事業5%
料理店業第1種事業5%
飲食店業第1種事業5%
周旋業第1種事業5%
代理業第1種事業5%
仲立業第1種事業5%
問屋業第1種事業5%
両替業第1種事業5%
公衆浴場業(むし風呂等)第1種事業5%
演劇興行業第1種事業5%
遊技場業第1種事業5%
遊覧所業第1種事業5%
商品取引業第1種事業5%
不動産売買業第1種事業5%
広告業第1種事業5%
興信所業第1種事業5%
案内業第1種事業5%
冠婚葬祭業第1種事業5%
畜産業第2種事業4%
水産業第2種事業4%
薪炭製造業第2種事業4%
医業第3種事業5%
歯科医業第3種事業5%
薬剤師業第3種事業5%
あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業第3種事業3%
獣医業第3種事業5%
装蹄師業第3種事業3%
弁護士業第3種事業5%
司法書士業第3種事業5%
行政書士業第3種事業5%
公証人業第3種事業5%
弁理士業第3種事業5%
税理士業第3種事業5%
公認会計士業第3種事業5%
計理士業第3種事業5%
社会保険労務士業第3種事業5%
コンサルタント業第3種事業5%
設計監督者業第3種事業5%
不動産鑑定業第3種事業5%
デザイン業第3種事業5%
諸芸師匠業第3種事業5%
理容業第3種事業5%
美容業第3種事業5%
クリーニング業第3種事業5%
公衆浴場業(銭湯)第3種事業5%
歯科衛生士業第3種事業5%
歯科技工士業第3種事業5%
測量士業第3種事業5%
土地家屋調査士業第3種事業5%
海事代理士業第3種事業5%
印刷製版業第3種事業5%

地方税法72条の2と地方税法施行令で定められた業種です(2026-10-31確認)。業種に当たるかどうかは都道府県が事業の実態から判断します。

いくらからかかるか

個人事業税は、事業の所得が事業主控除の290万円を超えたときにかかります(地方税法72条の49の14)。1年を通して事業をしていれば、所得が290万円以下なら税額は0円です。年の途中で開業したり廃業したりして事業を行った期間が1年に満たないときは、290万円を月割りにした額を差し引きます。

東京都主税局は月割の額を表で示していて、1か月は242,000円、6か月は1,450,000円です。5月に開業して12月まで事業をした人(8か月)なら、1,934,000円を超える所得から税金がかかります。

業種と税率

法定業種は、物品販売業や請負業、飲食店業などの第1種事業(37業種、税率5%)、畜産業・水産業・薪炭製造業の第2種事業(3業種、4%)、医業や弁護士業、デザイン業、コンサルタント業などの第3種事業(30業種、5%)に分かれています。第3種のうち、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復などと装蹄師業だけは3%です(72条の49の17)。

法定業種のどれにも当たらない事業には、個人事業税はかかりません。都道府県は条例で標準税率の1.1倍までの税率を定められるので、実際の税率は住んでいる都道府県の案内で確かめます。下の表で業種名を入れて絞り込めます。

フリーランスの仕事は当たるか

法定業種には、プログラマー、ライター、翻訳、動画編集といった職業名はありません。東京都の審査会の答申は、事業性や業種の認定は個別に判断するものとしていて、同じ職業名でも、契約の内容や働き方で扱いが変わります。

神奈川県は、請負業に当たるかを、仕事の完成を目的とした契約か、資本的経営か、独立性があるか、危険負担があるかの4つで判断すると説明しています。確定申告の内容から都道府県税事務所が照会の文書を送ってくることもあるので、自分の仕事の契約の形を説明できるようにしておきます。

国税庁や都道府県が職業名ごとに示した表はありません。最終的な判断は都道府県が行います。
仕事当たりうる業種メモ
プログラマー・システムエンジニア請負業(第1種・5%)に当たるかで判断法定業種に名前はありません。仕事の完成を約束する請負なら請負業、そうでなければ課税されないことがあり、都道府県が契約や働き方から個別に判断します。
デザイナーデザイン業(第3種・5%)法定業種にデザイン業があります。イラストレーターがデザイン業に当たるかは、仕事の中身で判断されます。
ライター・翻訳法定業種に名前なし文筆や翻訳は法定業種に挙がっていません。請負業や出版業などに当たると判断されると課税されます。
コンサルタントコンサルタント業(第3種・5%)法定業種にコンサルタント業があります。

計算方法と例

課税標準は、所得税の事業所得と同じように計算した所得から、損失の繰越控除(青色申告の人は3年)や事業用資産の譲渡損失などを差し引き、さらに事業主控除を差し引いた額です(72条の49の12)。青色申告特別控除は個人事業税には適用がないので、確定申告書の事業所得に足し戻します。

課税標準は1,000円未満、税額は100円未満を切り捨てます(地方税法20条の4の2)。たとえば青色申告で事業所得が435万円(青色申告特別控除65万円を差し引いた後)、税率5%のデザイン業なら、435万円 + 65万円 − 290万円 = 210万円が課税標準で、税額は210万円 × 5% = 105,000円です。

納付の時期

納期は、8月と11月のうち都道府県の条例で定める日です(72条の51)。東京都は第1期が8月31日、第2期が11月30日(休日なら翌日)で、8月に届く納税通知書で納めます。納税通知書が9月以降に届いた場合は、納期限も変わります。

税額が少ない場合は1回にまとめる都道府県もあり、大阪府と神奈川県は年間の税額が1万円以下なら8月に全額を納めると案内しています。事業をやめた年は、廃業のあとに別の納期限で課税されます。

申告と経費の扱い

所得税の確定申告をしていれば、個人事業税の申告をしたものとみなされ、別に申告書を出す必要はありません(72条の55の2)。確定申告書の第二表にある事業税に関する事項の欄に、業種や事業用資産の譲渡損失などを書いておきます。

納めた個人事業税は、所得税の計算で租税公課として必要経費になります(国税庁 No.2210)。記帳の仕方は勘定科目のページで説明しています。

個人事業税の勘定科目(租税公課)個人事業税の計算個人事業主の確定申告のやり方

よくある勘違い

「個人事業主は全員、個人事業税を払う」

→ かかるのは法定業種に当たる事業で、所得が事業主控除290万円を超えた場合だけです。業種に当たらない事業や、所得が290万円以下の年にはかかりません。

「青色申告特別控除の65万円を引いた所得で計算する」

→ 個人事業税には青色申告特別控除の適用がないので、65万円を足し戻した所得から290万円を差し引いて計算します。

よくある質問

副業でも個人事業税はかかりますか。

副業の事業所得でも、法定業種に当たり、所得が290万円を超えればかかります。給与所得は対象外です。

不動産所得にもかかりますか。

不動産貸付業として一定の規模(部屋数など、都道府県の基準)を超える場合は第1種事業の不動産貸付業として課税されます。

業種の判断に納得できないときは。

納税通知書に書かれた業種について、都道府県税事務所に説明を求めることができ、不服があれば審査請求の手続きがあります。自分の場合の扱いは、税理士または都道府県税事務所に相談します。

出典(確認日)

一般的な情報とセルフチェックの提供です(税理士法52条により、個別の税務相談や申告書の作成はお受けしていません)。個別の判断は税理士または税務署にご相談ください。