BridgeInvoice

取適法の対象:資本金基準・従業員基準と特定運送委託

最終確認日 2026年11月3日

まず、よくある答え

取適法の対象かどうかは、取引の種類と、委託する側と受ける側の規模で決まります。製造・修理・運送の委託などは委託する側の資本金が3億円超(または1,000万円超)、それ以外の情報成果物・役務の委託は5,000万円超(または1,000万円超)で、受ける側がそれ以下なら対象です。資本金で対象にならないときは、委託する側の従業員が300人(一部の取引は100人)を超え、受ける側がそれ以下かで判定します。

取適法の対象判定(無料)

取引の種類と、両社の資本金・従業員数から、対象になるかと、資本金基準・従業員基準のどちらで対象になるかを表示します。

判定する

取引の種類で基準が2つに分かれる

製造委託、修理委託、特定運送委託と、政令で定めるプログラムの作成、運送・物品の倉庫における保管・情報処理の役務は、資本金3億円・1,000万円と従業員300人の区分を使います。

プログラム以外の情報成果物(デザイン、文書、映像など)の作成委託と、それ以外の役務提供委託(ビルメンテナンス、顧客サポートなど)は、資本金5,000万円・1,000万円と従業員100人の区分です。300人の区分は製造業だけのものではない点に注意します。

取引の種類委託する側(委託事業者)受ける側(中小受託事業者)
製造・修理・特定運送・プログラム・運送・保管・情報処理資本金3億円超資本金3億円以下の法人、個人
同上資本金1,000万円超3億円以下資本金1,000万円以下の法人、個人
同上(資本金で対象にならないとき)従業員300人超従業員300人以下
上記以外の情報成果物・役務資本金5,000万円超資本金5,000万円以下の法人、個人
同上資本金1,000万円超5,000万円以下資本金1,000万円以下の法人、個人
同上(資本金で対象にならないとき)従業員100人超従業員100人以下

出典:e-Gov法令検索 同法第二条第八項第一号の情報成果物及び役務を定める政令

境目の数字の扱い

委託する側は「超える」、受ける側は「以下」で判定します。資本金がちょうど3億円の会社は、委託する側としては1,000万円超3億円以下の区分に入り、受ける側としては3億円以下の区分に入ります。資本金がちょうど1,000万円の会社は、委託事業者にはなりません。

従業員がちょうど300人(または100人)の会社も、委託事業者にはならず、受ける側に当たるだけです。資本金のない一般社団法人などは、指定正味財産などの固定的な財産を資本金とみなします。

出典:公正取引委員会 よくある質問コーナー(取適法) Q2

従業員基準と常時使用する従業員の数え方

従業員基準は、資本金基準で対象にならない組み合わせにだけ使う補充的な基準です。資本金では受ける側に当たる会社が、従業員数では委託する側に当たることもあります。

常時使用する従業員は、賃金台帳の対象になる人数で数えます。正社員、契約社員、パート、アルバイト、1か月を超えて続けて使う日雇いを含み、派遣社員は派遣元の人数になるため含めません。グループ会社の人数は合算しません。

人数は、発注した時点で判断します。後から人数が変わっても、その取引の扱いは変わりません。前々月分の賃金台帳の人数を当月の人数として扱う簡便な方法も認められています。

出典:公正取引委員会 よくある質問コーナー(取適法) Q7〜Q12

特定運送委託の範囲

特定運送委託は、自社が販売する物、製造や修理を請け負った物、作成を請け負った情報成果物が載った物を、その取引の相手方(相手方が指定する倉庫業者などを含む)に運ぶ運送を、他の事業者に委託することです。たとえば家具の小売店が、売った家具を客に届ける配送を運送業者に任せる場合が当たります。

無償のサンプルやダイレクトメール、産業廃棄物、支給品、贈答品の運送、自社の拠点間の運送、修理品や下取り品の引取り、自社の工場から自社の店舗への運送は、通常は当たりません。荷積みや荷下ろし、倉庫内の作業も運送には含まれません。運送業者が受けた運送をさらに別の業者に任せる場合は、特定運送委託ではなく役務提供委託として扱われます。

出典:公正取引委員会 よくある質問コーナー(取適法) Q34〜Q41

役務提供委託と、対象にならない取引

役務提供委託は、自社が他者に提供するサービスの全部や一部を他の事業者に委託する取引です。自社で使うためのサービス(自社オフィスの清掃など)を頼むことは、役務提供委託に当たりません。建設業者が建設工事を他の建設業者に請け負わせる取引も除かれ、建設業法が適用されます。

発注する側が個人事業主の取引は、資本金や従業員数にかかわらず取適法の対象外です。この場合でも、受ける側が従業員のいないフリーランスなら、フリーランス・事業者間取引適正化等法がかかることがあります。

出典:e-Gov法令検索 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法) 2条4項・8項

判断に迷うとき

自社の取引がどの種類に当たるか、両社の数字でどちらの基準を使うかに迷ったら、公正取引委員会の取適法の考え方についての相談窓口に問い合わせられます。委託する側からも受ける側からも相談でき、中小企業庁の取引かけこみ寺でも無料で相談を受け付けています。

よくある勘違い

「従業員300人の基準は製造業の取引だけに使う。」

→ プログラムの作成や、運送・倉庫での保管・情報処理の役務の委託も300人の区分です。それ以外の情報成果物・役務の委託が100人の区分になります。

「資本金で対象外なら、取適法は関係ない。」

→ 改正で従業員基準が加わり、資本金では対象外の組み合わせでも、従業員数で対象になることがあります。

よくある質問

従業員数はいつの時点の人数で判断しますか。

発注した時点の人数です。後から増減しても、その取引の扱いは変わりません。

取引先の従業員数を確認する義務はありますか。

公正取引委員会のQ&Aでは、確認は義務ではないとされています。取引先の回答が事実と違った場合も、直ちに勧告の対象にはしないとしています。

グループ会社から受けた仕事を外注するときも対象になりますか。

取引ごとに判断します。親会社から支配を受ける子会社が受けた仕事の全部や大部分を再委託する場合は、子会社を委託事業者とみなす規定もあります。

出典(確認日)

取適法とフリーランス新法の一般的な説明で、個別の取引が対象になるか、違反になるかは判断していません。相談は公正取引委員会の取適法の相談窓口、中小企業庁の取引かけこみ寺、または弁護士にご確認ください。