取適法の明示事項(旧3条書面):発注書に書く項目と記録の保存
最終確認日 2026年11月3日
取適法の対象取引では、委託事業者は発注したら直ちに、給付の内容、代金の額、支払期日などを中小受託事業者に示さなければなりません(4条)。下請法の「3条書面」にあたるもので、示す項目は公正取引委員会の規則で決まっています。書面のほか電子メールなどでも示せ、改正で相手の承諾も不要になりました。
注文書・発注書の作成と明示事項チェック(無料)
発注書の作成ページに、入力中の内容に明示事項がそろっているかを表示するチェック欄があります。作成されるPDFやWordの内容は変わりません。
発注書を作る必ず示す事項
規則1条1項は、次の事項を示すとしています。具体的な金額を決めにくいやむを得ない事情があるときは、代金の算定方法を示すことも認められています。
- 委託事業者と中小受託事業者の名称(または識別できる番号)
- 製造委託等をした日
- 給付の内容(役務は提供される役務の内容)
- 給付を受領する期日(役務は提供を受ける期日または期間)
- 給付を受領する場所
- 検査をするときは、その検査を完了する期日
- 製造委託等代金の額(やむを得ない事情があるときは算定方法)
- 支払期日
該当するときに示す事項
支払いの方法や原材料の扱いによっては、次の事項も示します。手形払いは禁止されたため、手形についての項目はなくなりました。
- 一括決済方式を使う場合は、金融機関の名称、受けられる額と期間の始期、金融機関へ支払う期日
- 電子記録債権を使う場合は、債権の額、支払を受けられる期間の始期、満期日
- 原材料などを有償で支給する場合は、品名・数量・対価・引渡しの期日、決済の期日と方法
- 決められない事項がある場合は、その理由と、内容を定める予定期日
発注書の欄との対応(記入例)
一般的な発注書の欄は、次のように明示事項にあたります。発注書に欄のない事項は、備考などに書き足します。
| 明示事項 | 発注書の欄の例 | 記入例 |
|---|---|---|
| 委託事業者と中小受託事業者の名称 | 発注者・宛先 | 株式会社サンプル商事 → 株式会社見本工業 |
| 製造委託等をした日 | 発注日 | 2026年11月◯日 |
| 給付の内容 | 品名・内容、仕様 | 部品A(図面No.◯◯)10個 |
| 受領の期日と場所 | 納期、納品場所 | 2026年11月◯日、本社倉庫 |
| 検査を完了する期日 | 備考 | 検査完了期日:納品後5営業日 |
| 代金の額 | 単価・金額・合計 | 単価1,200円、合計13,200円(税込) |
| 支払期日 | 支払条件 | 月末締め翌月末払い |
電子メールなどでの明示
明示は、書面のほか、電子メールなどの電磁的方法で、相手の承諾がなくても行えます。中小受託事業者から書面を求められたときは、原則として書面を交付します。
電磁的方法とは、受け取る人を特定して送る電子メールなどの通信や、記録した媒体を渡す方法で、相手の画面に文字ではっきり表示されるものに限られます。
共通事項と、決められない事項
支払方法や検査の方法など、一定の期間に共通する事項は、あらかじめ示しておけば、発注のたびには「あらかじめ示したところによる」と書くだけで足ります。その場合は共通事項の有効期間を明らかにしておきます。
仕様がまだ決まらないソフトウェアの作成や、故障の箇所がわからない修理のように、発注の時点で決められないことが客観的に認められる事項は、決められない理由と内容を定める予定の日を示し、決まったら直ちに示します。算定方法で示せる場合は、この扱いになりません。
フリーランス新法の明示と一緒に示すとき
フリーランスへの発注で両方の法律がかかる場合は、同じ書面や電子メールで両法の記載事項をまとめて示せます。どちらか一方の法律だけが求める事項も、漏れなく含めます。
取引の記録と保存
7条により、委託事業者は、給付の内容と受領日、検査の結果、代金の額と支払った日と方法、変更ややり直しの内容などを記録し、記録をすべて終えた日から2年間保存します。下請法の「5条書類」にあたるものです。
電子データで保存するときは、訂正や削除の履歴を確かめられ、画面に表示して書面に出力でき、取引先や発注日の範囲で検索できる必要があります。
4条の明示や7条の記録の義務に違反すると、50万円以下の罰金の対象になります(14条、法人も罰せられる両罰規定あり)。
出典:e-Gov法令検索 同法第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第10号) 1条〜3条
書き方に迷うとき
自社の発注書の様式で足りるか確かめたいときは、公正取引委員会の取適法の考え方についての相談窓口に、様式を示して相談できます。公正取引委員会と中小企業庁のテキストには、明示の書式例も載っています。
よくある勘違い
「電子メールで発注内容を送るには、取引先の承諾が必要だ。」
→ 改正で、相手の承諾がなくても電子メールなどで示せるようになりました。中小受託事業者から書面を求められたときは、原則として書面を渡します。
「毎回の発注書に、支払方法まで全部書かなければならない。」
→ 期間を通じて共通の事項は、あらかじめ示しておけば、発注ごとには「あらかじめ示したところによる」と書くだけで足ります。
よくある質問
3条書面という言葉はもう使わないのですか。
改正後は4条の明示と呼びます。公正取引委員会は、3条書面と5条書類がそれぞれ4条明示と7条記録になったと説明しています。
口頭で発注して、後から書面を送ってもよいですか。
発注したら直ちに示すのが原則です。決められない事項に正当な理由がある場合だけ、決まった後に直ちに示す扱いが認められています。
取引の記録はいつまで保存しますか。
記録すべき事項をすべて記録した日から2年間です。
出典(確認日)
- e-Gov法令検索 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(2026-11-03)
- e-Gov法令検索 同法第四条の明示に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第8号)(2026-11-03)
- e-Gov法令検索 同法第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第10号)(2026-11-03)
- 公正取引委員会 取適法施行に当たり事業者の皆様に御留意いただきたい事項(2026-11-03)
- 公正取引委員会・中小企業庁 中小受託取引適正化法テキスト(令和7年11月、運用基準を資料6に収録)(2026-11-03)
- 公正取引委員会 フリーランス法 Q&A(2026-11-03)