海外のクライアントに英文請求書を送ったあと、次に考えるのが「どう受け取るか」です。受け取り方法によって、着金までの日数、手数料、適用される為替レートが変わり、最終的な手取りに差が出ます。本記事では、代表的な受け取り方法である銀行の海外送金・Wise・Payoneerを、実務の観点から比較します。

比較の観点

受け取り方法を選ぶときは、次の4点を見ておくと判断しやすくなります。

  • 着金までの日数:即日から数営業日まで幅があります。
  • 手数料:送金手数料・受取手数料・中継銀行手数料の合計で考えます。
  • 為替レート:どのレートで円に換算されるか。銀行のTTBか、仲値に近いレートかで差が出ます。
  • 受け取りやすさ:相手が対応しているか、口座開設の手間はどうか。

銀行の海外送金(被仕向送金)

日本の銀行口座で海外からの送金を受け取る方法です。取引先が銀行から送金し、SWIFT/BICコードを使って着金します。

  • 相手にとってなじみがあり、法人取引で広く使われています。
  • 中継銀行手数料や受取手数料がかかることがあり、着金額が目減りする場合があります。
  • 為替は銀行所定のレートが適用されるのが一般的です。

請求書にはSWIFT/BICコード、口座名義、銀行住所などを正確に記載する必要があります。

Wise

多通貨に対応した送金・受け取りサービスです。

  • 相手が送金しやすく、着金が比較的速い傾向があります。
  • 為替は仲値に近いレートが使われることが多く、手数料体系が明確です。
  • 受け取り用の口座情報(現地の口座番号など)を相手に伝える形で受け取れます。

Payoneer

海外のプラットフォームやクライアントからの受け取りに使われることが多いサービスです。

  • 海外のマーケットプレイスやクライアントが対応している場合、受け取りがスムーズです。
  • 受取手数料や引き出し手数料の体系を事前に確認しておくと、手取りを見積もりやすくなります。

どれを選ぶか

どの方法が有利かは、取引先が対応しているか、金額の大きさ、着金の速さのどれを重視するかによります。少額・多頻度ならオンライン送金サービス、大口の法人取引なら銀行送金、と使い分ける方も少なくありません。国内の受け皿として法人口座を用意しておくと、入金管理がしやすくなります。海外口座や送金まわりの実務はkaigai-freelance.comの情報も参考になります。

為替レートの見方

受け取り方法を比較するとき、手数料と同じくらい重要なのが適用される為替レートです。銀行の被仕向送金では、円に換える際に銀行所定のTTB(対顧客電信買相場)が使われるのが一般的で、仲値との差(為替手数料に相当)が生じます。オンライン送金サービスでは仲値に近いレートが使われることが多く、そのぶん受取額が有利になる場合があります。手数料が安く見えても、適用レートが不利だと最終的な手取りが減ることがあるため、手数料とレートの両方を合わせて比較することが大切です。

着金の確認と記録

入金があったら、請求書番号と照合し、いつ・いくら・どの方法で着金したかを記録しておきます。海外送金では中継銀行手数料などで着金額が請求額とずれることがあるため、差額の理由も控えておくと、後の会計処理や次回の見積りに役立ちます。差し引かれた手数料や現地源泉徴収がある場合は、その内訳がわかる書類を保管しておきましょう。

請求書側で準備しておくこと

どの方法で受け取る場合も、請求書には受け取りに必要な情報を正確に載せておくことが大切です。

  • 銀行送金:SWIFT/BICコード、口座名義、口座番号、銀行名・支店・住所。
  • オンライン送金:相手に伝える受け取り用の口座情報。
  • 送金手数料の負担区分(当方・折半・先方)を明記。

振込先情報は振込先QRコードの作成ツールでQR化しておくと、相手の入力ミスを減らせます。支払条件の英語表現は請求書の支払条件の英語表現で解説しています。

銀行送金で特に間違いが多いのがSWIFT/BICコードと口座名義の綴りです。コードは8桁または11桁で、桁数や英数字の並びを取引先に伝える前に確認しておきましょう。口座名義はパスポートや登記上の表記と一致させ、途中で表記を変えないことが、着金トラブルを避けるうえで重要です。

よくある質問

Q. 手取りを最大化するにはどの方法がよいですか。 一概には言えません。手数料だけでなく、適用される為替レートと着金の速さを合わせて比較する必要があります。金額が大きいほど為替レートの差が効いてきます。

Q. 受け取り方法は請求書に書くべきですか。 受け取りに必要な口座情報は請求書に明記します。複数の方法に対応している場合は、相手が選びやすいように主たる方法を先に記載するとよいでしょう。

Q. 少額の入金が多い場合はどうすればよいですか。 少額・多頻度の入金では、送金1件あたりの固定手数料の影響が大きくなります。手数料体系が明確で、少額でも割高になりにくい方法を選ぶと、手取りを守りやすくなります。まとめて請求できる取引は、請求のタイミングを工夫するのも一案です。

Q. 為替が不利なタイミングでの入金を避けられますか。 入金のタイミングは相手の支払い次第のため、完全にはコントロールできません。支払期日を明確にし、必要に応じて外貨のまま保有できる受け取り方法を選ぶと、円転のタイミングをある程度自分で選べます。

まとめ

海外からの入金は、銀行送金・Wise・Payoneerなど複数の方法があり、着金速度・手数料・為替レートに差が出ます。取引先の対応状況と金額に応じて使い分け、請求書には受け取りに必要な情報を正確に記載しておくことが、手取りを守るうえで重要です。